Road to the Oscars -5ページ目

イエローキッド

「イエローキッド」という作品を試写で観てきた。

http://www.yellow-kid.jp/


真利子哲也監督による、東京芸術大学大学院映像研究科の修了作品である。

http://www.fnm.geidai.ac.jp/geidai3/index.html


苦労人でボクサーを目指す青年と、売れないけどマニアックなファンを持つ漫画家の二重視点で進むストーリーなのだが、現実と虚構が織り交ざり複雑なのであるが、それを若さゆえのパワーで押し切り、がっつり力強く見せつけてくれる。


学生映画といえば学生映画なのであるが、それを感じさせないクオリティと、学校のバックアップがあるといえ200万円の予算であれだけのものを撮りあげているのはやはりすごいと言わざるを得ない。


また一人今後が楽しみな監督が増えた。

二日酔い

昨夜は、某俳優兼プロデューサーのNさんと会食。

中目黒の焼き肉屋でがっつりレモンサワー10杯コース。

Nさんは同い年だが、たじろぐほどのパワフルな人で、

むちゃくちゃ面白かった。

映画の話や役者の話や昔のやんちゃ話で楽しませてもらった。

彼が現在動かしているプロジェクトがハリウッド映画で、

もし実現すれば、結構すごいことだなと思うと同時に

羨ましい。

いかんいかん、人を羨んではいけない。


子供が生まれたばかりのNさんはいそいそと帰っていき、

残された俺らは六本木へ。

あちらこちら飲み歩き、家に着いたのは朝の4時でした。

いやー、きつい。

さすがに朝まではほんとにきつい。

日本の映画製作の実情①

今日は事務所で企画でも考えようかなとまったり中。


と、いうことで、これからあまり書くことがないときは日本の映画製作の実情を個人的な不平不満を交えながらちょっとご紹介していこうかなと思う。要は愚痴です。


最初は映画産業(産業と呼べるのかは微妙という声もありますが)の概況から。


日本国内での映画の興行収入は、ここ10年あたり2000億円あたりを行ったり来たり。基本的に頭打ちです。

2008年の統計発表では、邦画が約1159億、洋画が約790億です。邦画バブルだ!邦画復活だ!と言われていますが、別に洋画にあまり魅力的な物がなかったからそれが邦画に流れたにすぎません。基本はパイの食い合いです。そこのところを念頭に。


そして、昨今、シネコンが増えたことにより、スクリーン数は増加しています。

すると単純にいえば1スクリーンあたりの収入は減るわけですが、そこがシネコンマジック。

売れる作品だけを選んでバンバンお客さんを入れ、売れない作品はどんどん淘汰されていくわけです。


邦画、洋画合わせて2000億円の中で、いわゆるメジャーの配給会社(東宝、松竹、東映、洋画メジャー系)が8割とか9割のシェアを持っているわけです。インディーズの映画はその残りのパイを食い合わなくてはいけない。そこに現実が垣間見えます。


現実的に、配給会社が多くの劇場とかシネコンとを持っているわけですから、自分らの製作した映画を、自分らの劇場で流して、とりあえずお客が入ったら、他のスクリーンでやっている売れていない映画をちょっとどかして、もっとお客さん入れて、全体の収益をマキシマイズするわけですが、インディーズはそんなことで必然的に埋もれていきます。


そしてもっと日本的なのが、座組み。


日本の映画製作の多くは、リスクヘッジという名の製作委員会方式を取るわけですが、これがいわゆる宣伝委員会。多くはメディアやそれに影響力のある企業が名を連ね、大宣伝大会を繰り広げるわけです。テレビ局が入れば、自社の余っているCM枠にボンボン大量出稿したり、タレントとのバーターで特別番組組んだり、洗脳が始まるわけです。まあ、もちろんバンバン宣伝したって当たらない映画は全く当たりませんが。

ただ、よっぽどの事がない限りテレビ局とかは小ぶりな作品には参加しません。当たり前です。ドラマの映画化とか、ベストセラー漫画とかの方が確実にあたりますもの。大資本は大資本に群がるわけです。


劇場も牛耳られ、メディアも牛耳られ、そもそもインディーズの映画に目が向くわけがない。

まさにさじを投げたくなるわけですが、そんな事も言っていられない。


そこに企画勝負がかかってくるわけです。ほとんど宝くじ状態だけど、可能性はゼロではない。


インディーズの宿命ですが、とんがってなきゃ駄目なわけです。大きいところと同じ理論で戦っても全く太刀打ち出来ません。けど、とんがっているだけでも駄目。自己満足であれば好きなもの作ってどこかで流せばいいわけですが、それなりにお金がかかるのでちゃんと売れるものじゃないといけない。儲けなくてはいけない。そこに断絶が発生するわけです。


そんなことを念頭に企画立案に一球入魂なわけですが、それは次回という事で。