「マジで長坂からじゃねぇよな?」
「死んだ奴からメールなんてホラードラマじゃねぇんだし;単なるイタズラだろ;」
クラスメイト達が騒ぐ中、1人の男子に1通のメールが届いた。
《今日の夜8時、アナタに復讐と言う死を与えに行くから待っててね》
この内容を送って来た人物...それはクラスメイト達からイジメを受け耐え切れなくなり屋上から飛び降り自殺した瑠璃、本人からだった...。
瑠璃が自殺する1年前に瑠璃は男女共学の高校に入学した。
友達の風花を含めた3人の友達ができ、今は幸せでいた。
幼なじみの悠太とは中学まで一緒の学校だったが高校は全寮の男子校に行きメールだけの絡みになった。
「ねぇねぇ、悠太君とは上手く付き合ってるの?」
今朝から心美は興味津々に瑠璃の席に近付いて来た。
「だからさぁ、付き合ってないって何回、言えば分かるのよ;悠太とは単なる幼なじみ!分かった?」
「でも悠太君って意外と瑠璃の事、気にしてたりしてね♪」
「そっから発展する恋も有るよね♪幼なじみとの恋かぁ♪なんか、ロマンチック♪」
2人の友達は自分の世界に入ったかのようにキャァキャァ騒ぎ始める。
その姿に瑠璃は呆れて溜め息を付き携帯を開くと悠太からメールが届いていた。
瑠璃がメールの内容を確認すると少し驚いた顔をし届いたメールに釘付けになっていた。
「どしたの?」
「見せて見せて♪」
心美は勝手に瑠璃の携帯を奪い内容を読み始める。
「なになに?“今週の日曜日に会えないか?久々に瑠璃の顔が見たい”だって!キャァ♪ラブラブ♪」
「っちょ...返してよ!」
瑠璃は恥ずかしそうに心美から携帯を取り戻し悠太に返信する。
「なぁ、長坂。今日、日直だろ?担任の先生がクラス全員に配るプリント、いつ持って行くんだーってキレてたぞ?」
「げっ;やっば!忘れてた!」
男子の言葉に瑠璃は携帯を制服のポケットに仕舞い慌てて教室を出る。
暫くして戻って来た瑠璃は教卓の上にプリントを置き溜め息を付く。
「お帰り、恋人持ちの瑠璃♪」
「だから悠太とは何の関係も無いって!」
心美は相変わらず瑠璃を、おちょくり始め風花達はクスクスと笑っていた。
それから授業の始まる鐘が鳴り皆は自分の席に着き一時して担任が入って来た。
「長坂、プリント配っとけって言っただろ;」
「ぁ、すみません;」
「ったく...次からは気を付けろ」
そう言いながら担任は前の席に何枚かプリントを配り始める。
そこから直ぐに午前の授業が始まり昼休みに入った。
「ぁ、ごめん、悠太からだ」
瑠璃は携帯を見るやいなや教室を出ると着信で掛かって来た悠太の電話に出ると懐かしい声が耳に入って来た。
《久しぶり、瑠璃。元気してっか?》
男らしい声に瑠璃は顔が真っ赤になる。
「ぁ、ぅん。元気元気♪それよりどうしたの?悠太から電話なんて珍しいね」
瑠璃の言葉に悠太は少し間を置き友達らしき子の声が電話越しから聞こえてきた。
《いや、何つぅかその...急に瑠璃の声が聞きたくなってよ...ぁ、日曜さ、丁度、学校が文化祭で俺、行かねぇんだ。だから朝、お前ん家、来て良いか?》
悠太の声だけで瑠璃は胸が高鳴り自分を落ち着かせようとする。
「良いよ♪住所、変わってないから待ってるね♪」
そう言って瑠璃は悠太と通話を切り教室へ戻ると心美がニヤニヤしながら駆け寄って来た。
「早速、デートのお誘いですかー?♪」
「違うし!日曜の話してただけ!ぁ~、早く食べよ~」
瑠璃は心美の話を聞き逃しながら自分のバッグから弁当を取り食べ始める。
心美も仕方無く弁当を瑠璃のトコに持って行き空席になった椅子を瑠璃の方向へ向け皆と食べる。
それから色々、話してる内に昼休みが終わり、午後の授業に入る。
放課後になると途中で友達と別れ瑠璃は悠太に早く会いたくて日曜が来るのを楽しみにしながら学校生活を送っていた。
そして日曜日...。
瑠璃は、だらしがないようお出掛け用の可愛いワンピースを来て悠太が来るまで家で待っていた。
母は悠太の為にクッキーを作って仕事に行き1人になった瑠璃はテレビを付けようとした時、インターホンが鳴り急いで玄関を開けると懐かしい悠太が立っていた。
「よ、瑠璃。電話でも言ったが久しぶりだな」
あまりの嬉しさに瑠璃は思わず悠太を抱き締める。
「久しぶり!会いたかったよ~」
スリスリし甘え始める瑠璃に悠太は思わず笑いが出始める。
「お前は子供か!ってか...俺も会いたかった...」
そう言って悠太も瑠璃を抱き締め暫くして離れると瑠璃は悠太を中に通した。
「これ、ママが作ってくれたの。私じゃ、失敗しちゃうから;」
瑠璃は皿に入ったクッキーを持ち悠太のトコに持って行く。
「ぉ、美味そう♪いっただきまーす♪」
悠太は1つクッキーを取り半分だけ口に含み飲み込む。
「うめぇ♪瑠璃も早く菓子作り上手くなれよ。俺、瑠璃の作ったお菓子、食べてみたいし」
「ぅん...」
その言葉に瑠璃は恥ずかしそうに俯きながら悠太の隣に座る。
「ぁ、所でさ、学校、楽しいか?」
急に学校の話に変わり瑠璃は少し驚くも返答する。
「ぅん、楽しいよ。私達、幼なじみって言ってるのに1人の友達に恋人だと思われちゃってるみたいで困っちゃうよね;」
苦笑いしながら瑠璃はクッキーを1つ手に取り口に頬張る。
「俺は瑠璃で良いと思ってるぜ」
悠太の言葉に瑠璃は動かしていた口を止め悠太を見る。
「俺達、幼なじみの付き合いなげぇしな。だけど幼なじみってだけの関係もちょっとなって思ったりする。こんな近くにお前が居るのに何も出来ないなんて少し辛いって言うか...って何、言ってんだろうな俺;ハハッ;頭、おかしくなったのかな?」
悠太は自分の言った言葉に嫌気がさしたのか、またクッキーを1つ口に入れ食べる。
その姿を見て瑠璃は時が止まったかのように動けなくなった。
「ゆ、悠太って本当におかしいね!ちょっと私、トイレ行って来るね!」
瑠璃はあまりの嬉しさと喜びにリビングを出た。
トイレに入り鍵を閉めると恥ずかしそうに顔を赤くしながら喜びを噛み締める。
一時して落ち着きを取り戻すとトイレの水だけ流し鍵を開けリビングに戻るとテレビを見ている悠太の姿があった。
「ぁ、クッキー、全部、食っちゃったけど良かったか?」
「ぅん、悠太の為に作ったお菓子だから。お礼なら私のママに言ってね」
「おぅ、分かった。じゃ、行くか」
そう言って悠太は付けていたテレビを消し瑠璃の手を握ると玄関へと足を運ぶ。
「え?何処に?」
悠太は靴を履き玄関を開けた際、瑠璃の方に顔だけ向ける。
「俺の学校。今日、文化祭って言っただろ?」
「で、でも電話じゃ行かないって」
「あれは嘘。友達と居るよりお前と行った方が楽しいじゃん?俺達、カップルみてぇだし」
悠太はニッと笑みを見せながら瑠璃を連れて男子校へと向かう。
到着すると悠太のクラスメイト達が瑠璃を見て彼女だと言い張り恥ずかしそうに、それを否定する瑠璃を見て悠太はクスクスと笑っていた。
それから悠太と2人っきりで色んな場所を回り日が暮れ夜になると瑠璃は悠太にお礼を言って自分の家に帰る。
すると悠太は瑠璃を1人にさせると危ないからと言って家まで送ってもらった。
翌日、風花達に悠太の事を色々、聞かれ瑠璃は昨夜の事を風花達に話した。
心美は、その話を聞いて、また自分の世界に入ったのか1人で盛り上がり、その光景を瑠璃達は呆れながら見ていた。
けれど瑠璃はそんな楽しい学校生活が崩れ去ろうとも知らずに友達と楽しんでいた。
次の日、瑠璃のクラスに新しい転校生がやって来た。
名前は武田真帆。
真帆は大人しく暗い性格だった為、最初の印象から大人しめな子だと周りから思われていた。
明るい瑠璃と正反対の真帆は転校して来た日から1ヶ月が経とうとしても友達が1人も出来ずにいた。
周りは暗い女子だと言われ瑠璃は1人になった真帆と友達になりたくて真帆に連絡先を教えてもらった。
そして翌朝、学校に登校して来た瑠璃は教室のドアを開けると周りは昨日とは違い瑠璃を見ては冷たい目で見る。
「え?皆、どうしたの?」
この時、隅で泣いていた真帆を見て瑠璃は真帆を見る。
「武田さん?どうして泣いて「瑠璃ってさぁ、マジで悪女だよね」」
その声を聞いて瑠璃は心の底から驚いた。
友達だと思っていた心美の声だったから...。
「な、何言ってるの?」
ワケも分からず瑠璃は真帆から目が離せずにいた。
「さっき、長坂が登校する前に武田から聞いたんだよ。長坂さんが私をイジメて来たって」
男子の言葉に瑠璃は意味が分からなくなってきた。
「え?私、イジメてないよ?」
「嘘もいい加減にしたら?昨日、私らと別れた後、真帆を公園に呼び出して真帆に死んでって言ってカッターで切りかかって来たそうじゃない。瑠璃の事、友達だと思ってたのにガッカリだよ」
風花の言葉に瑠璃は全く覚えが無いと主張するも誰も瑠璃の言葉に耳を傾けようとはしなかった。
この日から瑠璃は学校のクラスメイト達、全員からイジメを受けるようになった。
上履きの中に死んだゴキブリを入れられたり机の中に腐った食べ物やゴミを入れられたりと毎日が地獄だった。
1番、恐怖だったのが無理矢理、両手首を掴まれカッターで手首を切られそうになった時だった。
昼休みの時は持っていた自分の弁当を勝手に取られゴミ箱におかずやご飯を捨てられたりした。
それを見て周りはクスクスと笑い瑠璃は悠太に助けを求めようともした。
けれど悠太に頼っちゃいけないと思い瑠璃はイジメと言う地獄を1人で耐えきった。
瑠璃がイジメを受けてから約、半年が過ぎようとしていた頃、真帆から屋上に来るように誘われた。
「話って何?」
「良く、あんなイジメ、耐えきれるよね。私だったら辞めてるなぁ、学校。ってかさ、アンタの味方、誰1人居ないの分かってて学校来てるの?ばっかじゃない?さっさと死んでよ。アンタが死んでも誰も悲しまないし」
ケラケラ笑いながら真帆は屋上を出る。
「...ぅん、死んでも良いよ...けどね...死んでもアナタ達を許さないかも私...」
1人、呟く瑠璃は携帯を開くとメールの新規作成のアドに悠太の名前を入れメールをすると直ぐに悠太からメールが届いたが瑠璃はメールの内容を見ようとはせず携帯を閉じギュッと携帯を握り締めたまま前に歩き出す。
そして1番、ギリギリのトコまで来ると瑠璃は心の中で悠太に、さよならを告げ目を閉じ屋上から飛び降りた。
その翌日、悠太は担任から瑠璃が屋上から飛び降り自殺した事を告げられた。
悠太は、あのメールが本当だったんだと思いながら担任に早退の許可を貰い瑠璃の通っていた学校へと向かう。
瑠璃の居た教室のドアを開け教卓に向かうとクラスメイト達は悠太を見てザワザワ賑わい始める。
「マジでお前ら後悔するぞ?」
悠太の言葉にクラス全員は何の事か分からないまま騒ぎは止まらない。
「...昨日、瑠璃から俺にメールが届いた。読んでやるから静かにしろよ」
そう言って悠太は携帯を開き瑠璃から最後に届いたメールを読み始める。
「[悠太、私、もう、どうしたら良いか分からない。転校して来た武田真帆さんのせいで私がイジメの標的になった。苦しい、辛いよ。もし私が死んだら、怒りと憎しみでクラス全員に復讐するかもしれない。会えなくなるのは嫌だけど悠太は私の1番の幼なじみだよ。私が居なくなっても悠太は私の分まで生きてね。さよなら]だと。俺はアイツとは幼い頃から、ずっと一緒だったが、ここまで瑠璃を追い詰めたのは、お前らだよな?俺には関係ねぇが瑠璃が、もし本当に、お前らに死んでも復讐しに来るんなら、それは自業自得だよな?瑠璃に呪われても俺は知らねぇからな!」
悠太は自分の携帯を閉じ涙を堪えたまま校舎を出た途端、溜まっていた涙を流し自分を責め続けた。
次の日、1人の男子に知らないメールが1通届いた。
宛名は不明で、あまり気にもせず単なるイタズラだろうと思い、そのメールを削除した。
けれど休み時間になっても、そのメールは届いてきた。
「気味悪いだろ;」
「どした?大輝」
大輝の友達が近寄り大輝は送られてきたメールを見せる。
「[今日の夜8時、アナタに復讐と言う死を与えに行くから待っててね]って...マジで気味がわりぃな;消したらどうだ?」
「いや、何回も消してるんだけど、やっぱり来るんだよ;なぁ、これってマジで長坂からじゃねぇよな?」
「死んだ奴からメールなんてホラードラマじゃねぇんだし;単なるイタズラだろ;」
「だ、だよな!」
大輝は友達の言葉を信じメールの内容を全く気にする事は無く学校生活を送った。
それから大輝は友達と別れ家へと帰る。
8時まで残り30分はあった。
母に、おつかいを頼まれ歩いて10分のスーパーで頼まれていた物を買い帰宅しようとした、その時だった。
大輝は車に跳ねられ亡くなった。
丁度、メールと同じ8時ピッタリだった。
大輝の母は息子の死にショックを隠しきれずクラスメイト達は大輝の死を悲しんだ。
「何で大輝がッ...」
「ね、ねぇ、本当に瑠璃が私達を殺しに来てるとか無いよね?」
「なワケ有るか!」
「ぁ、そういや、今日、大輝に妙なメールが届いてた」
大輝の友達の言葉に周りは何々と集まる。
「...何かよ、[今日の夜、8時にアナタに復讐と言う死を与えに行くから待っててね]って。大輝本人も最初は気味が悪いって言ってたけど俺は単なるイタズラだろって言ったんだ。まさか...マジで長坂からの恨みなんじゃねぇかな?」
その言葉にクラスメイト達は今度は自分達が殺されると思い怖くなったのか死んだ瑠璃に許してと何度も何度も呟いた。
そして瑠璃の友達だった心美のポケットから携帯が鳴った。
心美は恐る恐る携帯を開きメールを開くと大輝と全く同じ内容だった。
「ひッ!」
怖くなった心美は携帯を落としガタガタと震えながら、しゃがみ込む。
「お願い...許して瑠璃...私が悪かった...殺さないで...」
心美は泣きながら瑠璃に呟き始めた。
けれど、その願いは届く筈も無く心美は大輝と全く同じ時間帯に今度は海の上で遺体となって発見された。
放課後、風花達は亡くなった心美に対して悲しみ瑠璃の墓に向かった。
そこで花を供え手を合わせる。
「お願い、瑠璃...もうこんな事、やめて...私達が悪かった...瑠璃が1人で苦しんでたなんて私達知らなかった...何回でも謝るから...だから許して...」
その時、風花の携帯が鳴り風花は恐る恐る携帯を開きメールを開くと亡くなった2人と全く同じ内容だった。
「...今度は...私を殺そうとするの?何で...こうやって謝ってんのに何で友達の私まで殺そうとすんのよ!ねぇ!」
「風花、落ち着いて!」
「瑠璃からしたら、もぅお前らは友達でも何でもねぇよ」
丁度、瑠璃の墓参りにやって来た悠太は風花を見て、そう呟いた。
「瑠璃は謝ったとしても許さねぇと思う。そんだけお前らが瑠璃に酷い事をしたからだ。アイツはお前らを友達じゃなく敵として見てる。お前らだけじゃねぇ。クラスの連中も」
そう言って悠太は瑠璃の墓の前に百合の花束を添え手を合わせる。
「...教室で言ったメールの内容で、まだ続きが有るんだ」
「ぇ...」
「知りたいか?」
悠太の言葉に2人は頷くと悠太は立ち上がりポケットから携帯を開くと瑠璃のメールを開く。
「...[本当に私の友達だったら裏切らないよね?真帆さんだけは絶対に許せない。悠太に頼っちゃいけないと分かってたけど私、真帆さん以外は死んでも殺すかも。真帆さんには私と同じ痛み、苦しみ、辛さを味わってから死んで逝って欲しい。だから悠太。私が皆を殺した時、真帆さんを屋上に連れて来て。誰も居ない夜8時に]...これで終わりだ。ま、瑠璃の言う通りだよな?」
「で、でも何で8時丁度なの?時間は沢山有るでしょ?」
「...8時丁度が瑠璃の父親が亡くなった時間なんだよ。アイツが幼い時、母は出稼ぎで家には瑠璃1人だった。父親は重い病気でな。癌だったんだ。医者には入院した方が良いと言われたが娘の心配する顔は見たくないと家に帰った。瑠璃が10歳の時、丁度、夜8時に父親は瑠璃の前で癌と言う重い病気で亡くなった。お前らも瑠璃の父親が亡くなった時間帯と同じにあの世に連れて逝かされるんだよ。瑠璃の手でな」
悠太は携帯を閉じポケットに仕舞うと長坂家の墓と掛かれた文字に目を向ける。
「そ...そんな...」
「アイツだって怖かったんだろうな...1人で苦しんで屋上から飛び降りる瞬間...誰にも助けを求めず勝手に俺より先に逝きやがって...瑠璃の気持ちに気付いてやれなかった...ごめんな...瑠璃...」
そう言いながら悠太は少し寂しそうに瑠璃の墓から離れて行った。
それから風花は瑠璃に泣きながら何度も何度も謝るも結局、届く筈も無く次は工事の鉄パイプが見事、風花に直撃し、風花は即死だった。
次の日も、またその次の日も真帆以外のクラスメイト達、全員はメールが届いた夜8時ピッタリに何らかの事故に遭い皆、亡くなった。
悠太は瑠璃の頼み通り真帆を夜8時に屋上へ呼び出した。
真帆はギィッと言う音でドアを開くと、そこには亡くなった筈の瑠璃の姿があった。
「やっと来たか」
出入り口付近で壁に背を付け待っていた悠太は真帆が来た事に内心、怒りが湧いた。
「な、何で長坂さんが居るの?死んだんじゃないの?」
真帆の言葉に瑠璃は背を向けたまま父から教えて貰った曲を鼻歌で歌っていたが真帆の声に途中で曲が止まった。
「ねぇ、悠太。どうして皆、死んじゃったんだっけ?」
「お前が殺したんだろ」
「ぁ、そっか♪私がクラスの皆を消しちゃったんだ♪」
2人の会話に真帆の顔が青ざめていく。
「じゃ、最後は...その子を消さなきゃね♪でも、その子だけは普通に死なせるのも勿体無いし♪私と同じ痛みや苦しみや辛さを味わってもらわないとね♪」
「じゃ、俺は出とくな。終わったら呼びに来い。お前と話がしたい」
「ぅん、分かった♪」
悠太が出て行くと真帆は怖くなったのかドアを開けようとするも悠太みたいに何故か普通に開かずドンドンとドアを叩く。
「やっと2人っきりになったね、武田真帆さん♪」
瑠璃は未だ背を向けたまま語り掛けてくる姿に真帆は恐怖を感じた。
「怖い?でも私も怖かったんだよ♪“アンタニイジメラレテ”」
瑠璃の最後の言葉が何故か普通の人の声じゃ無いと分かった真帆は、その場にしゃがみ込みガタガタと怯える。
「ぁ、1番、怖かったのはね、私の手首をカッターで切り付けられるトコだったかな♪あそこは本当に死ぬかと思った♪」
その時、真帆の手首に痛みが走った。
良く見ると手首から血が流れ切られてる事が分かった。
「悠太に悪い事したなぁ♪悠太だけじゃない。ママも。1人にさせちゃったら可哀想だよね♪ぁ、悠太にお願いしよ♪そっちの方がママも寂しくないよね?」
瑠璃は、ゆっくり真帆に振り返ると全身、痛々しく流血していた。
「ひッ!」
真帆は怖くなり怯えながら目を閉じる。
「その前に貴女を殺さないとね♪先ずは...ゴキブリの刑♪」
その途端、真帆の身体にゴキブリが何匹も付いては動く。
「やッ!やッ!」
必死にゴキブリを振り払う姿に瑠璃はキャハハと笑い始める。
「こんなに楽しいなんてね♪ぁ、そうだ!特別に私が考えたんだけど♪」
「な...何...や、やめて...」
ゆっくり近付いて来る瑠璃の姿に真帆は涙を流しながら怯えていた。
「サービスって事で首吊りの刑♪」
その時、真帆の首が持ち上がり真帆は息苦しさと怖さで身体をバタ付かせる。
「どう?痛い?苦しい?辛い?私は、それ以上に痛かったし苦しかったし辛かったんだよね♪お願いだからさぁ...“ハヤクミンナノトコニイッテヨ”」
瑠璃は思いっきり真帆を睨むと真帆は暫くしてピクリとも動かなくなった。
「あれ?死んじゃったの?もっと遊びたかったなぁ...でも良いや...悠太のトコに行こっ♪」
屋上のドアを通り過ぎた途端、中からドサッと音がし瑠璃は普通の女の子に戻り悠太の側に来た。
「終わったか?」
「ぅん!あのね、悠太。お願いなんだけど...」
「ん?何だ?」
「もし悠太が亡くなって私のトコに来たら恋人として付き合っても良いよ?」
瑠璃の言葉に悠太はプッと笑い出す。
「俺が死ぬのは、まだまだ先だからな。それまで、ずっと待っててくれ」
「ぅん、永遠に待ってる。後ね、私のママと暮らして欲しいんだ♪パパも居なくて私も居ないからママ、きっと寂しくて1人ぼっちだから...幼なじみの悠太が側に居てくれた方が、きっとママも安心するだろうし...」
「分かった。時々、お前の母親に会いに行くよ。高校卒業したら瑠璃の母親と暮らす」
「有難う、悠太♪これで安心して逝ける...ずっとずっと悠太を見守っとくからね。私以外の人と浮気したら絶対、許さないから♪」
「はいはい。約束する」
瑠璃は嬉しそうな顔をしながら最後に悠太にバイバイと伝え悠太の前から跡形も無く笑顔で消えて逝った。
「...安心して、あの世で見守っとけよ...瑠璃...」
悠太は中学の頃、誕生日の日に瑠璃から貰った手作りのブレスレットをポケットから取り出し手に持つと、そのまま学校を後にした。
END
「死んだ奴からメールなんてホラードラマじゃねぇんだし;単なるイタズラだろ;」
クラスメイト達が騒ぐ中、1人の男子に1通のメールが届いた。
《今日の夜8時、アナタに復讐と言う死を与えに行くから待っててね》
この内容を送って来た人物...それはクラスメイト達からイジメを受け耐え切れなくなり屋上から飛び降り自殺した瑠璃、本人からだった...。
瑠璃が自殺する1年前に瑠璃は男女共学の高校に入学した。
友達の風花を含めた3人の友達ができ、今は幸せでいた。
幼なじみの悠太とは中学まで一緒の学校だったが高校は全寮の男子校に行きメールだけの絡みになった。
「ねぇねぇ、悠太君とは上手く付き合ってるの?」
今朝から心美は興味津々に瑠璃の席に近付いて来た。
「だからさぁ、付き合ってないって何回、言えば分かるのよ;悠太とは単なる幼なじみ!分かった?」
「でも悠太君って意外と瑠璃の事、気にしてたりしてね♪」
「そっから発展する恋も有るよね♪幼なじみとの恋かぁ♪なんか、ロマンチック♪」
2人の友達は自分の世界に入ったかのようにキャァキャァ騒ぎ始める。
その姿に瑠璃は呆れて溜め息を付き携帯を開くと悠太からメールが届いていた。
瑠璃がメールの内容を確認すると少し驚いた顔をし届いたメールに釘付けになっていた。
「どしたの?」
「見せて見せて♪」
心美は勝手に瑠璃の携帯を奪い内容を読み始める。
「なになに?“今週の日曜日に会えないか?久々に瑠璃の顔が見たい”だって!キャァ♪ラブラブ♪」
「っちょ...返してよ!」
瑠璃は恥ずかしそうに心美から携帯を取り戻し悠太に返信する。
「なぁ、長坂。今日、日直だろ?担任の先生がクラス全員に配るプリント、いつ持って行くんだーってキレてたぞ?」
「げっ;やっば!忘れてた!」
男子の言葉に瑠璃は携帯を制服のポケットに仕舞い慌てて教室を出る。
暫くして戻って来た瑠璃は教卓の上にプリントを置き溜め息を付く。
「お帰り、恋人持ちの瑠璃♪」
「だから悠太とは何の関係も無いって!」
心美は相変わらず瑠璃を、おちょくり始め風花達はクスクスと笑っていた。
それから授業の始まる鐘が鳴り皆は自分の席に着き一時して担任が入って来た。
「長坂、プリント配っとけって言っただろ;」
「ぁ、すみません;」
「ったく...次からは気を付けろ」
そう言いながら担任は前の席に何枚かプリントを配り始める。
そこから直ぐに午前の授業が始まり昼休みに入った。
「ぁ、ごめん、悠太からだ」
瑠璃は携帯を見るやいなや教室を出ると着信で掛かって来た悠太の電話に出ると懐かしい声が耳に入って来た。
《久しぶり、瑠璃。元気してっか?》
男らしい声に瑠璃は顔が真っ赤になる。
「ぁ、ぅん。元気元気♪それよりどうしたの?悠太から電話なんて珍しいね」
瑠璃の言葉に悠太は少し間を置き友達らしき子の声が電話越しから聞こえてきた。
《いや、何つぅかその...急に瑠璃の声が聞きたくなってよ...ぁ、日曜さ、丁度、学校が文化祭で俺、行かねぇんだ。だから朝、お前ん家、来て良いか?》
悠太の声だけで瑠璃は胸が高鳴り自分を落ち着かせようとする。
「良いよ♪住所、変わってないから待ってるね♪」
そう言って瑠璃は悠太と通話を切り教室へ戻ると心美がニヤニヤしながら駆け寄って来た。
「早速、デートのお誘いですかー?♪」
「違うし!日曜の話してただけ!ぁ~、早く食べよ~」
瑠璃は心美の話を聞き逃しながら自分のバッグから弁当を取り食べ始める。
心美も仕方無く弁当を瑠璃のトコに持って行き空席になった椅子を瑠璃の方向へ向け皆と食べる。
それから色々、話してる内に昼休みが終わり、午後の授業に入る。
放課後になると途中で友達と別れ瑠璃は悠太に早く会いたくて日曜が来るのを楽しみにしながら学校生活を送っていた。
そして日曜日...。
瑠璃は、だらしがないようお出掛け用の可愛いワンピースを来て悠太が来るまで家で待っていた。
母は悠太の為にクッキーを作って仕事に行き1人になった瑠璃はテレビを付けようとした時、インターホンが鳴り急いで玄関を開けると懐かしい悠太が立っていた。
「よ、瑠璃。電話でも言ったが久しぶりだな」
あまりの嬉しさに瑠璃は思わず悠太を抱き締める。
「久しぶり!会いたかったよ~」
スリスリし甘え始める瑠璃に悠太は思わず笑いが出始める。
「お前は子供か!ってか...俺も会いたかった...」
そう言って悠太も瑠璃を抱き締め暫くして離れると瑠璃は悠太を中に通した。
「これ、ママが作ってくれたの。私じゃ、失敗しちゃうから;」
瑠璃は皿に入ったクッキーを持ち悠太のトコに持って行く。
「ぉ、美味そう♪いっただきまーす♪」
悠太は1つクッキーを取り半分だけ口に含み飲み込む。
「うめぇ♪瑠璃も早く菓子作り上手くなれよ。俺、瑠璃の作ったお菓子、食べてみたいし」
「ぅん...」
その言葉に瑠璃は恥ずかしそうに俯きながら悠太の隣に座る。
「ぁ、所でさ、学校、楽しいか?」
急に学校の話に変わり瑠璃は少し驚くも返答する。
「ぅん、楽しいよ。私達、幼なじみって言ってるのに1人の友達に恋人だと思われちゃってるみたいで困っちゃうよね;」
苦笑いしながら瑠璃はクッキーを1つ手に取り口に頬張る。
「俺は瑠璃で良いと思ってるぜ」
悠太の言葉に瑠璃は動かしていた口を止め悠太を見る。
「俺達、幼なじみの付き合いなげぇしな。だけど幼なじみってだけの関係もちょっとなって思ったりする。こんな近くにお前が居るのに何も出来ないなんて少し辛いって言うか...って何、言ってんだろうな俺;ハハッ;頭、おかしくなったのかな?」
悠太は自分の言った言葉に嫌気がさしたのか、またクッキーを1つ口に入れ食べる。
その姿を見て瑠璃は時が止まったかのように動けなくなった。
「ゆ、悠太って本当におかしいね!ちょっと私、トイレ行って来るね!」
瑠璃はあまりの嬉しさと喜びにリビングを出た。
トイレに入り鍵を閉めると恥ずかしそうに顔を赤くしながら喜びを噛み締める。
一時して落ち着きを取り戻すとトイレの水だけ流し鍵を開けリビングに戻るとテレビを見ている悠太の姿があった。
「ぁ、クッキー、全部、食っちゃったけど良かったか?」
「ぅん、悠太の為に作ったお菓子だから。お礼なら私のママに言ってね」
「おぅ、分かった。じゃ、行くか」
そう言って悠太は付けていたテレビを消し瑠璃の手を握ると玄関へと足を運ぶ。
「え?何処に?」
悠太は靴を履き玄関を開けた際、瑠璃の方に顔だけ向ける。
「俺の学校。今日、文化祭って言っただろ?」
「で、でも電話じゃ行かないって」
「あれは嘘。友達と居るよりお前と行った方が楽しいじゃん?俺達、カップルみてぇだし」
悠太はニッと笑みを見せながら瑠璃を連れて男子校へと向かう。
到着すると悠太のクラスメイト達が瑠璃を見て彼女だと言い張り恥ずかしそうに、それを否定する瑠璃を見て悠太はクスクスと笑っていた。
それから悠太と2人っきりで色んな場所を回り日が暮れ夜になると瑠璃は悠太にお礼を言って自分の家に帰る。
すると悠太は瑠璃を1人にさせると危ないからと言って家まで送ってもらった。
翌日、風花達に悠太の事を色々、聞かれ瑠璃は昨夜の事を風花達に話した。
心美は、その話を聞いて、また自分の世界に入ったのか1人で盛り上がり、その光景を瑠璃達は呆れながら見ていた。
けれど瑠璃はそんな楽しい学校生活が崩れ去ろうとも知らずに友達と楽しんでいた。
次の日、瑠璃のクラスに新しい転校生がやって来た。
名前は武田真帆。
真帆は大人しく暗い性格だった為、最初の印象から大人しめな子だと周りから思われていた。
明るい瑠璃と正反対の真帆は転校して来た日から1ヶ月が経とうとしても友達が1人も出来ずにいた。
周りは暗い女子だと言われ瑠璃は1人になった真帆と友達になりたくて真帆に連絡先を教えてもらった。
そして翌朝、学校に登校して来た瑠璃は教室のドアを開けると周りは昨日とは違い瑠璃を見ては冷たい目で見る。
「え?皆、どうしたの?」
この時、隅で泣いていた真帆を見て瑠璃は真帆を見る。
「武田さん?どうして泣いて「瑠璃ってさぁ、マジで悪女だよね」」
その声を聞いて瑠璃は心の底から驚いた。
友達だと思っていた心美の声だったから...。
「な、何言ってるの?」
ワケも分からず瑠璃は真帆から目が離せずにいた。
「さっき、長坂が登校する前に武田から聞いたんだよ。長坂さんが私をイジメて来たって」
男子の言葉に瑠璃は意味が分からなくなってきた。
「え?私、イジメてないよ?」
「嘘もいい加減にしたら?昨日、私らと別れた後、真帆を公園に呼び出して真帆に死んでって言ってカッターで切りかかって来たそうじゃない。瑠璃の事、友達だと思ってたのにガッカリだよ」
風花の言葉に瑠璃は全く覚えが無いと主張するも誰も瑠璃の言葉に耳を傾けようとはしなかった。
この日から瑠璃は学校のクラスメイト達、全員からイジメを受けるようになった。
上履きの中に死んだゴキブリを入れられたり机の中に腐った食べ物やゴミを入れられたりと毎日が地獄だった。
1番、恐怖だったのが無理矢理、両手首を掴まれカッターで手首を切られそうになった時だった。
昼休みの時は持っていた自分の弁当を勝手に取られゴミ箱におかずやご飯を捨てられたりした。
それを見て周りはクスクスと笑い瑠璃は悠太に助けを求めようともした。
けれど悠太に頼っちゃいけないと思い瑠璃はイジメと言う地獄を1人で耐えきった。
瑠璃がイジメを受けてから約、半年が過ぎようとしていた頃、真帆から屋上に来るように誘われた。
「話って何?」
「良く、あんなイジメ、耐えきれるよね。私だったら辞めてるなぁ、学校。ってかさ、アンタの味方、誰1人居ないの分かってて学校来てるの?ばっかじゃない?さっさと死んでよ。アンタが死んでも誰も悲しまないし」
ケラケラ笑いながら真帆は屋上を出る。
「...ぅん、死んでも良いよ...けどね...死んでもアナタ達を許さないかも私...」
1人、呟く瑠璃は携帯を開くとメールの新規作成のアドに悠太の名前を入れメールをすると直ぐに悠太からメールが届いたが瑠璃はメールの内容を見ようとはせず携帯を閉じギュッと携帯を握り締めたまま前に歩き出す。
そして1番、ギリギリのトコまで来ると瑠璃は心の中で悠太に、さよならを告げ目を閉じ屋上から飛び降りた。
その翌日、悠太は担任から瑠璃が屋上から飛び降り自殺した事を告げられた。
悠太は、あのメールが本当だったんだと思いながら担任に早退の許可を貰い瑠璃の通っていた学校へと向かう。
瑠璃の居た教室のドアを開け教卓に向かうとクラスメイト達は悠太を見てザワザワ賑わい始める。
「マジでお前ら後悔するぞ?」
悠太の言葉にクラス全員は何の事か分からないまま騒ぎは止まらない。
「...昨日、瑠璃から俺にメールが届いた。読んでやるから静かにしろよ」
そう言って悠太は携帯を開き瑠璃から最後に届いたメールを読み始める。
「[悠太、私、もう、どうしたら良いか分からない。転校して来た武田真帆さんのせいで私がイジメの標的になった。苦しい、辛いよ。もし私が死んだら、怒りと憎しみでクラス全員に復讐するかもしれない。会えなくなるのは嫌だけど悠太は私の1番の幼なじみだよ。私が居なくなっても悠太は私の分まで生きてね。さよなら]だと。俺はアイツとは幼い頃から、ずっと一緒だったが、ここまで瑠璃を追い詰めたのは、お前らだよな?俺には関係ねぇが瑠璃が、もし本当に、お前らに死んでも復讐しに来るんなら、それは自業自得だよな?瑠璃に呪われても俺は知らねぇからな!」
悠太は自分の携帯を閉じ涙を堪えたまま校舎を出た途端、溜まっていた涙を流し自分を責め続けた。
次の日、1人の男子に知らないメールが1通届いた。
宛名は不明で、あまり気にもせず単なるイタズラだろうと思い、そのメールを削除した。
けれど休み時間になっても、そのメールは届いてきた。
「気味悪いだろ;」
「どした?大輝」
大輝の友達が近寄り大輝は送られてきたメールを見せる。
「[今日の夜8時、アナタに復讐と言う死を与えに行くから待っててね]って...マジで気味がわりぃな;消したらどうだ?」
「いや、何回も消してるんだけど、やっぱり来るんだよ;なぁ、これってマジで長坂からじゃねぇよな?」
「死んだ奴からメールなんてホラードラマじゃねぇんだし;単なるイタズラだろ;」
「だ、だよな!」
大輝は友達の言葉を信じメールの内容を全く気にする事は無く学校生活を送った。
それから大輝は友達と別れ家へと帰る。
8時まで残り30分はあった。
母に、おつかいを頼まれ歩いて10分のスーパーで頼まれていた物を買い帰宅しようとした、その時だった。
大輝は車に跳ねられ亡くなった。
丁度、メールと同じ8時ピッタリだった。
大輝の母は息子の死にショックを隠しきれずクラスメイト達は大輝の死を悲しんだ。
「何で大輝がッ...」
「ね、ねぇ、本当に瑠璃が私達を殺しに来てるとか無いよね?」
「なワケ有るか!」
「ぁ、そういや、今日、大輝に妙なメールが届いてた」
大輝の友達の言葉に周りは何々と集まる。
「...何かよ、[今日の夜、8時にアナタに復讐と言う死を与えに行くから待っててね]って。大輝本人も最初は気味が悪いって言ってたけど俺は単なるイタズラだろって言ったんだ。まさか...マジで長坂からの恨みなんじゃねぇかな?」
その言葉にクラスメイト達は今度は自分達が殺されると思い怖くなったのか死んだ瑠璃に許してと何度も何度も呟いた。
そして瑠璃の友達だった心美のポケットから携帯が鳴った。
心美は恐る恐る携帯を開きメールを開くと大輝と全く同じ内容だった。
「ひッ!」
怖くなった心美は携帯を落としガタガタと震えながら、しゃがみ込む。
「お願い...許して瑠璃...私が悪かった...殺さないで...」
心美は泣きながら瑠璃に呟き始めた。
けれど、その願いは届く筈も無く心美は大輝と全く同じ時間帯に今度は海の上で遺体となって発見された。
放課後、風花達は亡くなった心美に対して悲しみ瑠璃の墓に向かった。
そこで花を供え手を合わせる。
「お願い、瑠璃...もうこんな事、やめて...私達が悪かった...瑠璃が1人で苦しんでたなんて私達知らなかった...何回でも謝るから...だから許して...」
その時、風花の携帯が鳴り風花は恐る恐る携帯を開きメールを開くと亡くなった2人と全く同じ内容だった。
「...今度は...私を殺そうとするの?何で...こうやって謝ってんのに何で友達の私まで殺そうとすんのよ!ねぇ!」
「風花、落ち着いて!」
「瑠璃からしたら、もぅお前らは友達でも何でもねぇよ」
丁度、瑠璃の墓参りにやって来た悠太は風花を見て、そう呟いた。
「瑠璃は謝ったとしても許さねぇと思う。そんだけお前らが瑠璃に酷い事をしたからだ。アイツはお前らを友達じゃなく敵として見てる。お前らだけじゃねぇ。クラスの連中も」
そう言って悠太は瑠璃の墓の前に百合の花束を添え手を合わせる。
「...教室で言ったメールの内容で、まだ続きが有るんだ」
「ぇ...」
「知りたいか?」
悠太の言葉に2人は頷くと悠太は立ち上がりポケットから携帯を開くと瑠璃のメールを開く。
「...[本当に私の友達だったら裏切らないよね?真帆さんだけは絶対に許せない。悠太に頼っちゃいけないと分かってたけど私、真帆さん以外は死んでも殺すかも。真帆さんには私と同じ痛み、苦しみ、辛さを味わってから死んで逝って欲しい。だから悠太。私が皆を殺した時、真帆さんを屋上に連れて来て。誰も居ない夜8時に]...これで終わりだ。ま、瑠璃の言う通りだよな?」
「で、でも何で8時丁度なの?時間は沢山有るでしょ?」
「...8時丁度が瑠璃の父親が亡くなった時間なんだよ。アイツが幼い時、母は出稼ぎで家には瑠璃1人だった。父親は重い病気でな。癌だったんだ。医者には入院した方が良いと言われたが娘の心配する顔は見たくないと家に帰った。瑠璃が10歳の時、丁度、夜8時に父親は瑠璃の前で癌と言う重い病気で亡くなった。お前らも瑠璃の父親が亡くなった時間帯と同じにあの世に連れて逝かされるんだよ。瑠璃の手でな」
悠太は携帯を閉じポケットに仕舞うと長坂家の墓と掛かれた文字に目を向ける。
「そ...そんな...」
「アイツだって怖かったんだろうな...1人で苦しんで屋上から飛び降りる瞬間...誰にも助けを求めず勝手に俺より先に逝きやがって...瑠璃の気持ちに気付いてやれなかった...ごめんな...瑠璃...」
そう言いながら悠太は少し寂しそうに瑠璃の墓から離れて行った。
それから風花は瑠璃に泣きながら何度も何度も謝るも結局、届く筈も無く次は工事の鉄パイプが見事、風花に直撃し、風花は即死だった。
次の日も、またその次の日も真帆以外のクラスメイト達、全員はメールが届いた夜8時ピッタリに何らかの事故に遭い皆、亡くなった。
悠太は瑠璃の頼み通り真帆を夜8時に屋上へ呼び出した。
真帆はギィッと言う音でドアを開くと、そこには亡くなった筈の瑠璃の姿があった。
「やっと来たか」
出入り口付近で壁に背を付け待っていた悠太は真帆が来た事に内心、怒りが湧いた。
「な、何で長坂さんが居るの?死んだんじゃないの?」
真帆の言葉に瑠璃は背を向けたまま父から教えて貰った曲を鼻歌で歌っていたが真帆の声に途中で曲が止まった。
「ねぇ、悠太。どうして皆、死んじゃったんだっけ?」
「お前が殺したんだろ」
「ぁ、そっか♪私がクラスの皆を消しちゃったんだ♪」
2人の会話に真帆の顔が青ざめていく。
「じゃ、最後は...その子を消さなきゃね♪でも、その子だけは普通に死なせるのも勿体無いし♪私と同じ痛みや苦しみや辛さを味わってもらわないとね♪」
「じゃ、俺は出とくな。終わったら呼びに来い。お前と話がしたい」
「ぅん、分かった♪」
悠太が出て行くと真帆は怖くなったのかドアを開けようとするも悠太みたいに何故か普通に開かずドンドンとドアを叩く。
「やっと2人っきりになったね、武田真帆さん♪」
瑠璃は未だ背を向けたまま語り掛けてくる姿に真帆は恐怖を感じた。
「怖い?でも私も怖かったんだよ♪“アンタニイジメラレテ”」
瑠璃の最後の言葉が何故か普通の人の声じゃ無いと分かった真帆は、その場にしゃがみ込みガタガタと怯える。
「ぁ、1番、怖かったのはね、私の手首をカッターで切り付けられるトコだったかな♪あそこは本当に死ぬかと思った♪」
その時、真帆の手首に痛みが走った。
良く見ると手首から血が流れ切られてる事が分かった。
「悠太に悪い事したなぁ♪悠太だけじゃない。ママも。1人にさせちゃったら可哀想だよね♪ぁ、悠太にお願いしよ♪そっちの方がママも寂しくないよね?」
瑠璃は、ゆっくり真帆に振り返ると全身、痛々しく流血していた。
「ひッ!」
真帆は怖くなり怯えながら目を閉じる。
「その前に貴女を殺さないとね♪先ずは...ゴキブリの刑♪」
その途端、真帆の身体にゴキブリが何匹も付いては動く。
「やッ!やッ!」
必死にゴキブリを振り払う姿に瑠璃はキャハハと笑い始める。
「こんなに楽しいなんてね♪ぁ、そうだ!特別に私が考えたんだけど♪」
「な...何...や、やめて...」
ゆっくり近付いて来る瑠璃の姿に真帆は涙を流しながら怯えていた。
「サービスって事で首吊りの刑♪」
その時、真帆の首が持ち上がり真帆は息苦しさと怖さで身体をバタ付かせる。
「どう?痛い?苦しい?辛い?私は、それ以上に痛かったし苦しかったし辛かったんだよね♪お願いだからさぁ...“ハヤクミンナノトコニイッテヨ”」
瑠璃は思いっきり真帆を睨むと真帆は暫くしてピクリとも動かなくなった。
「あれ?死んじゃったの?もっと遊びたかったなぁ...でも良いや...悠太のトコに行こっ♪」
屋上のドアを通り過ぎた途端、中からドサッと音がし瑠璃は普通の女の子に戻り悠太の側に来た。
「終わったか?」
「ぅん!あのね、悠太。お願いなんだけど...」
「ん?何だ?」
「もし悠太が亡くなって私のトコに来たら恋人として付き合っても良いよ?」
瑠璃の言葉に悠太はプッと笑い出す。
「俺が死ぬのは、まだまだ先だからな。それまで、ずっと待っててくれ」
「ぅん、永遠に待ってる。後ね、私のママと暮らして欲しいんだ♪パパも居なくて私も居ないからママ、きっと寂しくて1人ぼっちだから...幼なじみの悠太が側に居てくれた方が、きっとママも安心するだろうし...」
「分かった。時々、お前の母親に会いに行くよ。高校卒業したら瑠璃の母親と暮らす」
「有難う、悠太♪これで安心して逝ける...ずっとずっと悠太を見守っとくからね。私以外の人と浮気したら絶対、許さないから♪」
「はいはい。約束する」
瑠璃は嬉しそうな顔をしながら最後に悠太にバイバイと伝え悠太の前から跡形も無く笑顔で消えて逝った。
「...安心して、あの世で見守っとけよ...瑠璃...」
悠太は中学の頃、誕生日の日に瑠璃から貰った手作りのブレスレットをポケットから取り出し手に持つと、そのまま学校を後にした。
END