ワルシャワの自宅に着いたのは早朝6時半であった。





着いてそのままおまりーと散歩へ。


誰も興味のないおまりーの検疫などの話はまた後日。



そして前日あんなに詰め込んだ荷物をほどき始める。






仕舞えど仕舞えど終わらない荷解き。



しかしここで適当に仕舞ってはのちの自分が痛い目を見るので、ちょっとだけ考えることを頑張りながら仕舞う。




…ひよこよさんは時間を気にしていた。




お隣さんへご挨拶に行きたいのである。




お隣さんとていきなり得体の知れないアジア人が越してきたと分かったら不審に思うだろう。


もし逆にひよこよさんがお隣さんの立場だったら100%、

『一体どこの人や…』

と思うに違いない。



しかもひよこよさん家は息子2人に加えて犬もいて、さらにひよこよさん自身もかしましい一家である。



ご挨拶しておくだけでも違うと踏んだのだ。

そしてひよこよさんもお隣さんがどんな方たちなのか知りたい。




と言ってもポーランド語も英語もおちょんちょんなひよこよさんである。


手紙を書いてヒッチハイク風に見せながらご挨拶するスタイルを取りたい。






ざっくりとした内容は



『うちら日本から引っ越してきましてな。

家族は息子2人と犬1匹やねん。

日本では引越してくるとお隣さんに贈り物をする文化がおって、これらはわしのおすすめお菓子ですわ。

お隣さん、いっちょよろしく頼むよ。』


である。


そして袋に入ったお菓子たちを用意。






あとは簡単なポーランド語を頭に叩き込んでご挨拶に行く。


全部を手紙に託すのではなく、

少しくらいはおしゃべりも頑張りたい。




朝9時を過ぎたころ、覚えたポーランド語を繰り返し口ずさみながら向かう。





さぁ、ぴんぽん。

お隣さん、日本から来たひよこよですよ。







出てきたのはシャワー後の

腰巻きタオル1枚の青年であった。







いきなりのヨーロッパ半裸に全てぶっ飛ぶポーランド語。


ポーランド語のみならず鼻血もぶっ飛ぶ勢いである。





とっさに目を瞑りながら、書いた手紙をラウンドガールのように大きく掲げた。




ゆるいカールがかった髪の青年は、申し訳なさそうに謝りながら手紙とお土産を受け取ってくれた。

ひよこよさんもひたすら深々と頭を下げて謝りながら部屋へ戻った。







危ねぇ。



いきなりのダビデ像は面食らう。





しかしお隣さんはダビデ像だということも分かったし、今回はよしとしよう。





荷解きを済ませ、買い物に行き、時刻は18時をまわっていた。

簡単な夕食を作って一息ついていると、我が家のチャイムが鳴った。





ダビデ像の父である。





父は


『この手紙やお土産にとても感動したで。

ポーランド語は出来るんか?出来ないんか。

この手紙は調べて書いてくれたんか、そうか!


困ったことや分からないことがあったらいつでもうちを訪ねてくれや。

息子もおるし、嫁も家におるからな。

もし連絡つかなかったら、これわしの番号やさかい。

いつでもかけてくれな。』


と流暢な英語で話し、電話番号を渡してくれた。






ダビデ像の父はとても柔和な笑顔で優しそうなぽっちゃり父であった。

そして

『息子が半裸でびっくりしたやろ。

申し訳なかったな。』

とまた謝ってくれた。




ものすごく良い人である。




挨拶してよかった。

これでお隣さんがひよこよさん家を見ても不審がることはない。




こうやって少しずつ暮らしに笑顔と、半裸に鼻血を出す生活を送りたいと願うひよこよさんであった。



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