『3月末で帰任や。』
日本出張中の夫からその連絡が来たのは、
モスクワ時間午前3時のことであった。
うっかりその連絡を見てしまったひよこよさんの心臓は、一瞬口から出た。
もう眠れない。
帰任である。
本帰国である。
決まった以上は覆せない。
『まじか…帰任なんや…』
というふわふわした気持ちのまま朝が来るのを待ちながら、
『ブログも終わるんや…』
とはっとした。
元々ロシアでの生活を親族に見てもらうため、
さらには息子たちに将来、
『母の偉大なる頑張りを見よ』
と上から目線で言い放ちたくて始めたブログである。
日本へ一時帰国をする時には
『日本での一時帰国話、誰も興味ない説』
を説いていたのでブログをお休みしていた。
なので日本へ帰ったらブログを書くことは考えていない…
寂しいな。
これが素直な本音である。
このブログを書いていたおかげで始まった出会いがくそほどある。
初めて会った人から
「ブログ…書いてる?」
と当てられたこともある。
「ブログ、読んでるよ!」
と言われるほど嬉しいことはなく、『読み物』として読者さんを楽しませていることに感動を覚えた。
ブログを書きたいから、もっと知りたいと思ってロシアの人と話し、勉強もした。
何も取り柄のない、半人前で右往左往ばかりしていた主婦のひよこよさんは少し自信を持てたのだ。
“ひよこよさん”は読者さんによって育てられたのである。
ひよこよさんにとってブログとは、ロシアの思い出のすべて。
これに尽きる。
しかし始まりがあれば終わりもある。
今の現状のありがたさに後ろ髪を引かれつつも、迫る帰任日までにやることはたくさんあろう。
何より今回の懸念は…
おまりーである。
2年前日本の検疫所で行った、狂犬病の抗体価検査の証明期限が3月で切れるー…。
それにより3月末までモスクワで働く夫を残し、2月末にひよこよさんと子どもたち、及びおまりーが先行して日本へと帰ることとなった。
そう決まればもう時間は限られている。
買い集めたいものは後悔のないよう買い集めたい。
…しかしひよこよさんは日本での暮らしで恐れていることがある。
それは…
『ひよこよさん、
人から“カブれてる”と思われたくない問題。』
何となく言いたいことはお分かりであろうか。
何かの会話で
「日本ではそうやんな、でもロシアでは〜」
という発言は万死に値すると思っている。
「わし、ラブやで!ロシア!」
と部屋にロシア国旗を飾れるほどひよこよさんの心の臓は強くない。
きっと各国を経験してきた方であれば、また違かろう。
歳を重ね、それとともに培った知識とセンスとを融合したコレクションを飾るのであれば、それは羨望と優美以外の何物でもない。
しかしひよこよさんはまさにまだひよっこ。
まだそこまでは到底、達していない。
いつかひよこよさんもそうなりたいと心から望んでいるが、
今後到達出来るかどうかも不明である。
飾りたい気持ちは山々、飾りたい気持ちはそらもう山々であるが、
「こちら、旅の思い出に買うたマトリョーシカですー」
くらいにマトリョーシカを部屋にポンとひとつ飾るくらいがひよこよさんには丁度良かろう。
自意識過剰かも知れない。
『そんなんでカブれてるなんて思う人なんて今どきおらんわ』
と思われるかもしれない。
しかし、こんなにくそくそブログで言っておいて申し訳ないのであるが、
ひよこよさんは人一倍世間体というものを怖れれている人なのである。
『カブれ
ダメ。
ゼッタイ。』
これを自身のスローガンにし、
引越し荷出しの日までに買い集めたいものをロックオンしたひよこよさんであった。
よろしくおねしゃす。
**いつも読んでいただき、ありがとうございます。
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おまりーの散歩中に雪の中で何かを踏んだ違和感で見てみると…
鍵…
しかも5つもついてた…
ベンチの上に置いておいたこの鍵を、持ち主さんが見つけることを心から願う…!
これからもよろしくおねしゃす。**
インスタグラム『ひよこよさんの世の中くそだらけ。』もおねしゃす。