ひよこよさんが小学校3年生のことである。



その日の給食はカレーライスで、給食当番であったひよこよさんはカレーの担当であった。

クラスメイトにカレーを配り、また配り、また配る。


その途中で、お鍋の中に何とも美味しそうなお肉を見つけた。


…幼き頃のひよこよさんはどうしてもこのお肉を自分のものにしたく、クラスメイトのカレーを注意深く注ぎ、最後の自分の番まで楽しみにお肉を取っておいた。


そして迎えた自分のカレーにお楽しみのお肉を乗せ、いただきますの号令と共にそのお肉を口に頬張った。



カレールゥの塊であった。


お肉ではなく、ルゥ。
楽しみにしていた、最後まで取っておいたお肉は溶けていなかったカレールゥ…。



…ひよこよさんは昔から楽しみにしているとそれが叶わない傾向にある。


傾向にあるというか、ほぼ、叶わない。


靴が欲しくてお気に入りの靴屋さんに行くと閉店していたり、

朝焼きたてのパンに自分好みの卵フィリングを挟んでお昼に食べようとしたら、窓から入ってきた風がラップを払いのけており、食べる頃にはサンドイッチがかっぴかぴになっていたり、

担々麺を食べたくて、さらにコクを出したくて練りごま持参でラーメン屋さんに入ったら担々麺だけやってなかったり…。


例に出したらキリがないほど、『楽しみにすればするほど、それは叶わない』という十字架を背負っている。



夫にはいつも言われる。

「楽しみにしたらあかん。
いつもやん。
いつも楽しみにしてもうて痛い目見とるやろ。
楽しみにしたらあかんのや。」

と。


…しかしひよこよさんは願ってしまった。

青空の広がるサンクトペテルブルグを歩きたいと。
子どもたちに注意を払うことなく、ひとりで、伸び伸びと歩けることを楽しみにしてしまってたのだ。


そしてその結果が。




傘が破損するほどの暴風雨。


昨日まで。
昨日まで半袖になれるほど暖かく、あんなに晴れていたのに。


みぞれまじりの極寒暴風雨。




鳥のモニュメントが本家の鳥を超えるほどうねる。


びしょびしょの人が売る、びしょびしょの雨合羽を買おうか本気で迷うほどの天気。




そんな天気の中、ビーフストロガノフ発祥の宮殿『ストロガノフ宮殿』を見たくて壊れた傘を押さえながら歩いたのだが、




もんのすごい長いバスが停車しており、ストロガノフ宮殿の全貌が見えない。


『なにくそ』と力をつけたくなったひよこよさんは夕飯にステーキが食べたく、探しに探した。


4店舗回ったが、全て満員で入れず。
1人なのに、ひとり席もない。




恐るべしひよこよさんの背負う十字架。



よろしくおねしゃす。


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夜、ホテルで口さみしくなってホテルにあったプリングルスに手を出そうか迷い、夫に連絡しました。



水を飲みました。


これからもよろしくおねしゃす。**