いよいよ虫歯治療開始のゴングが鳴り響いた。
チュイーンと歯が削られ始め、
しばらくすると歯を覗こうとぽよよん女医の手がシリコンを押しに押し、それが下顎の歯茎に当たってとにかく痛い。
大好きな大福にかぶりつく想像をしたり、鈴木亮平とデートする妄想でごまかしていたものの、
歯茎にシリコンが刺さる痛さに堪り兼ね、
「へんへい、ひはい…(先生、痛い)」
と言うと、
「今削ってる歯が痛いん?」
と言うので、指で下の歯茎を指すと
「それならええわ。」
と治療は続行された。
ひよこよさんの歯茎、万事休す。
するとその時である。
デスクの上にあったぽよよん女医のケータイの着信音が大音量で診察室内に鳴り響いた。
Pharrell Williamsの『Happy』である。
『Because I’m happy〜』とやたら繰り返される室内。
なにがHappyやねん。
削り終わると何かを塗る。
塗るための使い捨ての道具や器具は全て置かれる。
ひよこよさんのエプロンの上に。
何なら削る機械も小さなミラーも全部エプロンの上に置く。
『あぁ…これは患者のエプロン兼、道具置き場なんや…。』
と素直に受け入れる。
何かを塗って、それを押し込んでは岡本太郎の『太陽の塔』みたいな形の機材で光を照射する。
塗っては押し込み、太陽の塔で照射。
たまにぽよよん女医と助手のお嬢さんが笑い話に花を咲かせ、太陽の塔の照射照準がずれていてもそのまま照射。
ここでやっと、
『あぁ、抜かずに済んだんや…。』
と確信。
2時間の治療の末、
「根っこに近い所やったから危なかったで。
これで大丈夫や。」
と強制開口シリコンとサングラスを外してくれた。
口が閉じられるありがたさ…!!
さらにありがたいのは、2時間と治療はぶっ通しで行うものの、
虫歯治療を今回で全て終えてくれたことである。
日本のように、
『じゃ、次回は消毒で。』
と何回も通う必要がないのである。
お礼を深々とし、もう虫歯に脅かされずにいられる…と晴れ晴れとした気持ちで診察室を後にしたひよこよさん。
診察室の横にある大きな姿鏡で服を整えようと、鏡の前に立つ。
しかしそこには『歯茎シリコン刺し』に耐えられずに流しに流した涙でとんでもない顔になっている、ぼろぼろの33歳の女が映っていた…。
よろしくおねしゃす。
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さぁ、長きにお送りしていた歯医者シリーズが完結いたしました。
さぁ、長きにお送りしていた歯医者シリーズが完結いたしました。
歯茎シリコン刺しのおかげでただいま口内が口内炎パーティを絶賛開催中でございます。
でも腕は確か。
ぽよよん女医、ありがとう。
これからもよろしくおねしゃす。**