「ひよこよサン、聞いテモいいですカ?」
お兄さん(ロシア人38歳)が言った。
「ひよこよサン、さっきから
『そっかーそっかー』
日本語で言いマス。
『そっかー』って何でスカ?」
…さらっと登場させたが、『ウラジオストクのおじさん』に続く、『モスクワのお兄さん』である。
うーん…お兄さん…。
『おじさん(48歳)』と並べて分かりやすく『お兄さん(38歳)』としてみたものの、
書いているひよこよさんが正直しっくりとこない。
何か違う。
お兄さん違う。
しかしこの登場初回で呼び名を決めなければブレてしまう。
…彼の名前に少し手を加えて、『げにげにー』とする。
本名にほぼ近い名前で、『げにげにー』なのだ。
『げにげにー(38歳)』、爆誕である。
ひよこよさんはげにげにーと話す時、自然に
『そっかー、なるほどね。』
と日本語で相槌を打つ。
というか、ロシア語で話していても
『あーそっかそっか。』
みたいなのが反射的に出てしまうのだ。
「…『そっかー』はなんやろな。
『ясно(ロシア語で納得の意味の“なるほど”』みたいな感じなんかな。
『なるほどね!』的な。」
「ひよこよサン、日本語の『そっかー』は、ロシア語で『あばずれ』デス。」
あばずれ。
「ロシア語であばずれはсукаですヨ。
ひよこよサン、なるほどデス。
納得ですヨ。
気になっテたんデス。
教えてくれて、ありがとうございまス。」
夏の間は水着で車を運転していたおじさんと違い、
げにげにーは生真面目な男なのである。
それにしても…あばずれて。
よろしくおねしゃす。