おじさん(ロシア人47歳)に何か渡したい。
ここ1カ月はそればかり考えていた。
先だっての一時帰国で色々探しはしたものの、良いものが思い浮かばなかったのだ。
例えば、いつも車の助手席にあるおじさんのランチ。
ご飯やパンは、サラダ的な何かが入って売っていたであろう、プラスチックの容器を再利用したものに入っている。
お弁当箱はどうか。
でもタッパー的なものはロシアでも売っているし、おじさんはお弁当箱にあまり機能的なものは求めていなさそうであった。
お弁当箱、却下。
洋服はどうか。
身長はさほど高くないおじさんであるが、体重は80kg。
甘いものがたくさん詰まっている丸いお腹にフィットする洋服は難しいし、好みもある。
しかも防寒的なものはロシアのものの方が優れていると思う。
洋服、却下。
悩んでる間にここまできてしまった。
結局、手紙を書くことと、ひよこよさん家族の写真立てという無難なものに行き着いた。
そう安心していたが、昨日気がついたことがある。
用意していた写真と写真立てが、引っ越し荷物としてすでにモスクワへ出発してしまったのだ。
写真を現像せねばならない。
私の知る限り、携帯からセルフで現像できる機械がウラジオストクに一台ある。
急遽そこへ。
休止中。
万事休す。
おじさんに渡すための写真の現像するために、おじさんに現像出来る場所を聞く。
「あそこなら、きっと現像してくれるだろう。」
そう指さす先には…
なるほど、黄色が目印のフォト。
ここに入ってみよう。
ドアを開けたら1秒で店主。
広さ一畳ほどの店内。
勢いよく入店すると危ない、くちづけまで僅かな距離だ。
「携帯に入っている写真を現像したい。」
と伝えると、店主が
「俺のパソコンに写真送ってくれ。
それをプリントしよう。」
と、手書きのメールアドレスを見せてきた。
色々頭を巡ったが、ここは躊躇していられない。
得体の知れないおじさんにプライベートなアドレスでプライベートな家族写真を送る。
店主、私はあなたを信じる!
…プリント中に、証明写真用であろうサイズ表記を見る。
ハリーポッターの眼力。
すると5分後、くっそ粒子の荒い写真を笑顔で渡された。
最後まで豆鉄砲を食らわせる街、ウラジオストク。
せめて手紙だけは心を込めて書きたい。
よろしくおねしゃす。
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いきなり写真立てを買って、急いで写真を現像してって…おじさんも色々気づくでしょうね。
でもこれも思い出!!
全部思い出よ!!
これからもよろしくおねしゃす。**