結婚前、 ひよ子が会社勤めをしていたころの とある年末。

 

会社の人の家で忘年会があり、 家が近いひよ子も お呼ばれすることになった。

 

 

 

会社の人 「迎えに行かせるやつ決まったら電話するから、 家で待ってて」 

 

 


みんなは ひよ子のペーパードライバーっぷりを熟知しているので、 

 

こういうとき、 誰かが ひよ子家まで 車で迎えに来てくれる (みんな、いつもスイマセン)。

 

身支度をして 居間で待っていると、 見覚えの無い番号から 着信が来た。

 

春に入社したばかりの 若い営業さんだった。

 

 

 

営業さん 「お疲れ様です。 なんか、 ひよ子さんを迎えに行けって言われたんですけど…(汗)」

 

私     「あれ、 ○○くんが来てくれるの??? (← 誰か女の子が来ると思っていた)


       わざわざゴメンねぇ、 手間取らせて…。 

 

       あ、 ついでに 買出し して来いって?

 

       えーと、 今 どこにいる? ……じゃあ、 国道に出てもらってねえ…」 

 

 

 

このときは あまり 気に留めていなかったが、 そういえば 居間には 姉も一緒にいたのだった。

 

 

 

私     「…うん、 パチンコ屋の信号を曲がって…、 最初の信号で…

 

       で、 道沿いに駐車場があるから、 とりあえず そこで待っててね。 出て行くから」

 

 

 

今思うと、 姉はこのとき、 「自分で運転しろ」 だとか 「人に頼るな」 とか、

 

そういう小言を言おうと思って 待ってたんだと思う。 

 

でも、 ひよ子の発した言葉で その思いが 吹っ飛んでしまったようだ。

 

 

 

私     「でさあ、 どんな車に乗ってるの?」

 

 

 

……別に 深い意味は無く、 

 

広い駐車場に停まってる車のうちの どの車に行けばいいのか確認するために 聞いたんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私     「……それじゃあ、 わかんないよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉     「ぶっ!!! (*≧н≦)=з

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんか おねえちゃんが笑ってるなあ、と思いつつ、 さらにひよ子は 会話を続ける。

 

 

 

私     「もっとなんか、 あるじゃん? 色とか 形とか、 分かりやすい特徴がさあ。

 

       白いとか、 大きいとか、 四駆とか、 スポーツタイプとか…。

 

       イヤイヤ だって 駐車場に いっぱい車が停まってるんだよ?

 

       どの車を目指していけば良いのか わかんないと困るじゃん!

 

 

 

       ……あ、 じゃあ 車から出て 待っててくれるのね?

 

       うん、 それなら分かるよ。 はい、 じゃあ 着いたらまた電話してね」

 

 

 

電話を切ると、 姉は げらげら笑いながら ひよ子に向かって こう言った。

 

 

 

姉     「なに アンタ、 車の名前言われて どんな車か わかんないの!?」

 

私     「は? なんで?」

 

姉     「いま、 車の名前聞いて わかんない って言ってたじゃん!」

 

私     「……あ。  あー、 違うよ。 そういう意味じゃない」

 

姉     「えぇ~? じゃあ どういう意味~?」

 

 

 

笑い疲れて ひいひい言っている姉に、 ひよ子はとどめを刺したようだ。

 

 

 

私     「『どんな車?』 って聞いたらさあ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ふつうのです って言うんだもん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉、 爆笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉     「あ~、 そりゃ わかんないわ~ (つ▽≦。)ウケル

 

       それで 車種とか分かったら アンタ 怖いよ」

 

私     「……逆に、 普通じゃない車ってのが どんなんか 聞きたい (´Д`;)」

 

 

 

なんつーか、 コンパ的なノリで聞かれたと思って 警戒されたんだろーか。

 

おあいにくさまだが このときにはすでに 夫さんとお付き合いが始まっていたので、

 

こちらにそんな気は 毛頭無いのだが。

 

 

 

結局 やってきた営業さんの車は、 シルバーのスポーツタイプだった。

 

……まあ 確かに、 普通っちゃ 普通だわね。