年に数回、ひよ子の実家に 親戚が集まることがある。
ゴールデンウイークのど真ん中に 集まった親戚は、 小学生やら 幼稚園児やら
ひよ子の従姉妹たちが その子供たちを連れてくるので まるで動物園のような 大騒ぎだ。
子供がたくさん来ることは 最初から分かっているので、
母はとりあえず 用意しておいた食べ物で 静かにさせる作戦だ。
母 「はい、おやつあるよ! ちょっとこれ 子供たちに配って!」
従姉妹の目の前に、買い物袋から出した カップデザートを ごろごろと出した 母。
従姉妹 「わあ~、みんな 来てごらん!いっぱいあるよ!」
従姉妹は 子供の気を引くために、 大きな声で 喋り始めた。
従姉妹 「プリンでしょー、ゼリーでしょー、ヨーグルトにー……」
はたと 動きを止める従姉妹。
従姉妹 「……もずく。」
はい?
従姉妹 「おばちゃーーーん!!
もずくが 混ざってるけど、 これもおやつーーー!?」
見ると、従姉妹の手には カップデザートのような形をした もずく酢が。
ち、違うと思います!!・°・(ノД`)・°・ スマン、従姉妹。
母 「あらら~、形が似てたから、間違って出しちゃったわぁ~!
でも、もずくが好きな子 いたよねぇ?」
げらげらと笑う 子供たちをよそに、マイペースな母は
「ま、いいじゃん」 みたいな感じで スプーンを持ってきた。
いやいやいや、 たしかにもずく好きな幼稚園児は そこにおりますが、
おやつにはなりませんでしょう……。
そんなことがあった 数週間後、実家に行くと 母がなにやら コーヒーゼリーを持ってきた。
母 「これ、おとうさんが買ってきたんだけど、食べる?」
大きい袋に 10個ほどの 小さなゼリーが入った お買い得品のようだ。
ぺりぺりと 蓋をはがしながら 母は喋り続けた。
母 「おとうさんが 買ってきたのを見たときね、
こんなに入ってこの値段じゃ 美味しくないかなって思って ちょっとほっといたんだ。
でも 冷蔵庫に入れなきゃ いたんじゃうじゃない?
で、よく見たら、コーヒーゼリーだったの」
私 「……? 最初は なんだと思ったの?」
母 「もずく。」
なんでもかんでも もずくかい!
なんでもかんでも カップデザートかい!!!
母のあわてんぼうぶりは、なかなか治りそうもない……。