これは冬のお話。 
 
 
 
前にも書いたが、
 
休日で なおかつ おうちでごはんの日は、
 
『早くごはんを作らなきゃ!!』
 
と 若干あせったりするひよ子。
 
ゴソゴソ動く夫さんを尻目に、キッチンで戦場を繰り広げている。
 
 
 
なにやらゴトゴトと音を立てて、夫さんがリビングから消えた模様。
 
2階に行ったのかな? ごはんにありつけなくて暇なのか。急がなくちゃ。
 
ひよ子のあせりは増すばかりだ。
 
 
 
しばらくしてふときづくと、夫さんがリビングに戻っている気配。
 
……なんだか視線を感じる。
 
 
 
対面キッチンの向こう側から。
 
 
 
キッチンの入り口から。
 
 
 
シンクの横に立って、ひよ子の顔を覗き込みながら。
 
 
 
ちょっとずつひよ子のもとに近づいてくる夫さんは、横目で見たところ、なんだか悲しそうな表情をしている。 
 
 
 
私 「どうしたの?お腹すいたの?」
 
夫 「……怒ってる?」
 
 
 
は???
 
 
 
私 「怒ってないよ。何で??」
 
夫 「何も言わないから…」
 
 
 
……えーーーと、なんですって??? 
 
 
 
私 「そりゃ、ご飯作ってるんだから、独り言いってたらコワイでしょ」
 
夫 「うん、そうなんだけど、だって、……灯油入れちゃいけなかったのかなって思って…」 
 
 
 
ちんぷんかんぷん。なんじゃらほい。
 
 
 
私 「灯油がなに?今、ストーブの灯油を入れてくれてたの?」
 
夫 「うん…」
 
私 「ごめん、全然気づかなかった。ありがと」
 
夫 「うん…」
 
私 「それでじっと見てたの?」 
 
夫 「だって、いつもならすかさず 
 
 『ありがとう』 って言ってくれるのに、
 
   言わないから、……怒ってるのかな…って……」
 
 
 
どうやら ゴトゴト音を立てていたのは、ストーブの灯油タンクを抜く音だったらしい。
 
2階に行ったと感じたのは、2階のバルコニーにある灯油のポリタンクの所へ行った気配だったのか。
 
そんなありがたいことをやってもらって、怒るはずないじゃないですか。
 
 
私 「ごめんね、気づかなくて。料理に集中してただけだからね。怒ってないよ」
 
 
 
怒ると黙り込むクセがあるひよ子。普通に黙ってても、怒って見えるのね……。
 
気づかなかった自分に反省しつつも。
 
将来やってくる私たちの子供ちゃんも、このナイーブなDNAを受け継ぐのかしらと思うと
 
大雑把なひよ子に母ちゃんが勤まるか 少々不安が残るのでありました。