　9月、国内メジャー今季2戦目「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」。

　優勝したのはルーキー神谷そら。今季2勝目はメジャー初制覇だった。DS1位なのは周知だが、平均パットもこの時点で7位の神谷。スタッツ的にはもっと勝っても良い選手。

　その時の敗者を覚えているだろうか。

　最終日首位スタートの小祝さくらだったが、バックナインの2つのボギーで神谷に逆転され、その差は3打となった。

　残り3ホールで3打差。このまま神谷があっさりメジャーチャンピオンになりそうな雰囲気だったが、16番で神谷がボギーを叩く。1打詰めたい小祝のパーパット、バーディパットがここまで転がり距離は7m。
　ここで、普段ポーカーフェイスで感情が読みづらい彼女から「闘気」が出ているのがみえた。

　その闘気が乗り移ったボールは炎を出しながらカップイン。神谷との差は「2」になった。

　次の17番パー3も2.5mを決めバーディ、その差は「1」に。

　まだ小祝から「闘気」は出たままだ。流れは小祝にある。これは再逆転あるかも、と誰もが思ったのだが……

「メジャーは届きそうで届かない」

　ホールアウト後に小祝は言った。
　上田桃子、菊地絵理香らがメジャー大会に臨むときに「悲願」という言葉が添えられるが、通算9勝のこの小祝だって悲願のはずだ。

　「この悔しさをバネに、またがんばりたい」

　その言葉はとても強かった。今季残り２つのうち、ひとつは必ず獲るという覚悟がうかがえた。

このパーパット、（目から、ボールから）炎が出てた

美しいシーン