島崎藤村に親しむ会 | お山の杉の子

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詩吟・なんの負けるか今にみろ…

3月2日、「【島崎藤村に親しむ会】詩吟発表と朗読・講談」という催しが、長野県の南木曽町の南木曽会館で、松本深志岳風会の木曽部会の主催で行われました。
演目は、藤村の近代詩が12編、民話の会による朗読「藤村少年の遊学」、講談師宝井駿之介さんによる講談「島崎藤村」でした。

私は音感に乏しいので、近代詩は難しく、頑張って稽古した近代詩は、星落秋風五丈原と雨ニモマケズぐらいです。
それでも、プロの講談師による「島崎藤村」の講談が無料で聴けるというので、見に行ってきました。

それぞれの近代詩は、各教室毎の合吟で発表されました。
聴いてると、皆さんが喉を開いて、高音は沈めて、低音も力があって、太い声でやっておられ、美しく力強い朗詠に、ああやってやらなきゃいかんなあと、すごく勉強になり、感動しました。
男女混成の合吟形式の連吟も多くありましたが、不思議なほどにうまくリレーされていて、構成にも感心しました。
すごくレベルが高いなあ、こういうのこそ入場料を払ってもいい発表会だなあと感心しました。
昨年の倶利伽羅全国吟詠大会で、木曽の方々がいっぱい入賞されたのも当然だなあと、わかりました。

地方の新聞記事でも告知されたようで、会場は大盛況で、ぎりぎり、なんとか座れました。
ケーブルテレビの大きなカメラが、最初から最後まで3時間ずっと撮影していました。
プログラムも、想定された数よりも多くの一般のお客さんが来られたようです。
教本のコピーを用意していったのですが、詩文と譜付けと、現代語訳まで印刷してある、完璧なプログラムが用意してありました。

独吟は、マサジイさんが「あけぼの」、西尾岳栄先生が「椰子の実」を、自分で譜付けして、朗詠されました。
詩の意味にピッタリの譜付けに、感心しました。
両先生とも、姿を見ただけでも感動。吟を聴いて、また感動!
浅学なので、ただ、素晴らいとしか、言葉を知らないのが残念です。

片道1時間半の距離なので、日帰りも楽勝なのですが、3人でマサジイさんの民宿に泊まってきました。
昨年は、皆の都合を調整していたら、いつしか時期を逃がし、2年ぶりの宿泊でした。

夕食は、美味しかった!
姿造りの川魚のお刺身も、とろけるように美味しく、「こんな美味しいのは食べたことがない」と、いきなり、びっくりしました!
五平餅も、お米の搗き加減の柔らかさといい、クルミの入ったタレの香ばしさといい、甘さや焦げ具合といい、やはり日本一の五平餅です。

キノコのいっぱい入った土瓶蒸しも、お野菜の煮つけも、干し柿の入ったお料理も、柚子かなにかのお料理も、みんなみんな、箸をつけるたびに感動でした。
その割に、ビールばっかり飲んでたようで、皆が食べ終わっても、私の前にだけ、まだいっぱい料理が並んでいて、トイレに通ってばかりいました。

食卓の様子をビデオ撮影していたので、検証してみたら、美味しさに、あっという間に一時間が経過していました。

冷静に考えたら、こんなに飲んで、詩吟は絶対無理だ。

3人で、合吟しました。
「妻籠の民宿 古香を存す。主人の清唱 飄揚を楽しむ。満卓の佳肴 心を用いて調う。幸福満々として夢郷に入る。」

そして、マサジイさんに、「生きるのだ 坂村真民」を、詠じてもらいました。
ちょうど、埼玉県から来られている、日本橋から中山道を踏破中だというお客様が、同宿でした。
太くて朗々とした声と、感情に、お客さんはすっかり感動し、詩吟というものに、驚いておられました。
「埼玉にもあるんですか?」

その後、私もやりました・・・('◇')ゞ
ビデオを見てみたら、読みが早すぎるのだと、わかりました。
もうちょっとゆっくり読まないといけないとわかりました。

何本でやってるかわからない・・・上がったり下がったりの吟でした・・・(-_-;)
ただでさえ狂うのに、無謀だ。

私がやったら、電気のブレーカーまで飛んで、真っ暗になってしまいました(*_*;
ビデオのコンセントは飛んでなかったので、よかったです。

詩吟というものは、コンクールで良い成績をとることが目的でなく、価値ではない。
詩に自分の心を託して、心を表現することに楽しみがある。

あと、なおさんが、一生懸命稽古した、牧水調の暮坂峠をやりました。
2時間半も寛いで、幸福満々の晩餐でした。

翌朝の朝ごはんも感激でした!
甘露煮も付いた豪華な朝食でしたが、もっと驚きは、ホカホカの美味しい美味しいお米でした!
田を耕し、苗を植え、水の心配をし、汗を流して草を取り、埃にまみれてハサにかけ脱穀し、美味しく炊くのも大変だなあと、とてもありがたかったです。

帰り道で、マサジイさんが96点出たという、カラオケ屋さんにも寄ってきました。
むずかしい!!
85点出すのもは難しく、私の最高点は86点でした。

私は、カラオケをいくら稽古しても上達しないのがわかったので、詩吟ならいいかなあと、詩吟に音階があるとは知らずに始めました。
キーなんて何のことかわからず、どうして前奏を聴くと音の高さがわかるのかも不思議に思っていました。
きっと、60点ぐらいだと思います。
ちょっとずつ進化したのも、詩吟の先生のおかげです。
でも、コンクールでは、審査員の先生が、いっぱい減点してくれます・・・(:_;)


雨にも負けず、風にも負けず、毎日詩吟の稽古をして、
雪にも夏の暑さにも負けず、汗を流して働き、
丈夫な体を持ち、欲はなく、下に優しく、上には強く、礼節をわきまえ、決して怒らず、
いつも静かに笑っている。
一日に玄米4合と、味噌と少しの野菜を食べ、魚は浜ちゃんみたいにきれいに食べ、
あらゆることを自分を勘定に入れずに、他人のことと、詩吟のことを考え、
よく見聞きし、研究し、そして忘れず。
西に東に骨身を惜しまず、
木曽の片田舎で、築後110年の旧家を護り、
せせらぎを伴奏に木曽節を唄えば、木曽の山々に木霊し、青空に響き渡る。
そんなマサジイさんでした。