■空き家増加の様々な側面 

このように、一口に空き家が増えるからといっても、空き家の類型によってその要因は異なり、空き家率の高さが問題となるケースもあれば、問題とならないケースもあります。賃貸用、売却用物件の供給が活発な都市圏においては、それらの空き家率が高いとしても、問題視する必要性はあまりありません。空家率の高さが問題となるのは、将来的に誰も住む見込みがないにも関わらず、賃貸市場や売却市場にも出されず、手入れもされず朽ち果てていく住宅が増えていく場合です。日本においてはすでに人口減少局面に入っていて、早期に世帯数も減少に転じるため、ますます家余りになりやすい。また、親の住んでいた住宅を子どもが引き継ぐとも限らなくなっています。特に過疎地では、人口の大半が流出して空き家となっているような地域が今後、ますます増加していくことが予想されます。 

 

■空き家対策 

空き家率が上昇する中、各地で様々な対策が講じられるようになってきています。対策の方向性としては、大きく分けて二つあります。第一は、外部経済をもたらすような空き家の撤去を促進するという方向性であり、第二は、活用可能な空き家についてその利用を促していくという方向性です。第一の撤去の促進については、強制的に撤去する手段を設ける方法と、自主的な撤去が容易になるように助成を行うという二つの方法があります。 

 

★適用困難な既存の法律 

まず、第一のうち強制的な撤去について見ていきます。外部不経済をもたらす空き家については、周囲の住民などから苦情の形で自治体に持ち込まれることで問題として認識されるようになることが多い。しかし、従来から自治体としてできることは限られており、せいぜい所有者に連絡して是正を以来するなどのお願いをする程度であった。建築基準法では、既存不適格(建築された時点では適法だったが、その後の法令変更により違法となった)で、著しく保安上危険または衛生上有害であるものについては、所有者に建築物の除却などの措置を命ずることができ、これを履行しない場合、強制的に撤去できるとされています。しかし、これを適用するためには、空き家が既存不適格で、例えば、屋根材が飛散するなど著しく危険であることを証明する必要があり、この点でハードルが高い。また、除去する場合になっても、除却の範囲は必要最小限に限定されます。 

 

★景観関連の条例による空き家の強制撤去 

既存の法律では空き家の撤去を命じにくいため、空き家問題が深刻化するにつれ、独自に条例を定める自治体も出てきました。条例で対応する場合は、景観関係や環境関係の条例で定めるケースのほか、新たに空き家対策のための条例を定めるケースがあります。まず景観関係の条例ですが、自治体が条例で、景観法70条の内容よりも重い規制を設けることは可能で、廃屋と化した空き家の増加が観光地のイメージを損なうなどの懸念の強い自治体を中心に、早くから規制が設けられてきました。北海道のニセコ町の「ニセコ町景観条例」(2004年10月施工)では、廃屋のほか繋茂した草木、資材、土砂などの増加が、観光地としての町の景観を損なうものとして危機感を持ち、景観を阻害していると認められる場合は、所有者に指導、勧告、命令ができるとし、これに従わない場合は、強制的に撤去できると定めている。また、鳥取県の「鳥取県景観形成条例」(2007年3月施工)では、1年以上使用・管理されず、景観形成、生活環境の保全に支障を生じさせている建築物等について、周辺住民等の3分の2以上の申し立てがあった場合、所有者に勧告、命令ができるとし、これに従わない場合、行政代執行を行うことができると定めています。しかし、これらの条例で実際に行政代執行が行われることはありません。なお、鳥取県の景観形成条例は、景観行政団体(景観法による景観行政を司る自治体で多くは政令指定都市と中核市。それ以外については、都道府県がその役割を担う)以外の鳥取県の市町村について定めたもので、景観行政団体である鳥取市、米子市、倉吉市、三朝町の4市町については対象外で、鳥取市の景観形成条例でも空き家に関する規定は設けられない。しかし、近年、これら4市町についても空き家に関する苦情が増えるにつれ、条例に盛り込むなどの必要性も検討されています。環境関連の条例では、千葉県勝浦市は、「勝浦市きれいで住みよい環境づくり条例」(2003年4月施工)で、廃屋、雑草が著しく不適正な管理状態にある場合、指導、勧告、命令ができるとしています。ただし、行政代執行の規定はなく、命令も実際には行われたことはありません。勝浦市の条例ではこのほか、勧告、命令したものについて、実態が切迫している場合には、必要限度の措置を行い、その費用を請求できるとしています。これら先駆的に制定された条例の行政代執行は実際に発動されたことはないが、それ以前に指導、勧告が行われることは、事態が放置されることの一定の抑止力になっていると考えられます。仮に行政代執行を発動する場合には、その費用を所有者に請求するにしても、一時的には行政が肩代わりせざるを得ない状況となるが、そもそも所有者は撤去に多額の費用がかかるため放置している場合も多く、行政代執行には、最終的に費用を回収できないリスクがあるという問題も大きい。 

 

 

 

 

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