バンテージ・ポイントを観た。観るのは二回目。
スペインでの国際会議中、テロリストによってアメリカ大統領が狙撃される事件を、複数の登場人物の視点から再生していく映画。
同シーンの繰り返しが多く集中力散漫になりやすい展開だが、ピースが嵌まっていき真相が明らかになっていくのは心地が良い。
途中で急にカーチェイスを入れるのは欲張りだなと思ったり、前半と後半の展開のペース配分のアンバランスさは感じられるものの、中々楽しめるストーリーだ。
テロ組織のメンバーは全員死亡し、弟が人質にとられ仕方なくテロに加担した人間も死を迎えている。やられたら徹底的にやり返すというアメリカ合衆国の強い意志を感じ取った。
テロ組織のリーダーは容赦なく人質を殺す。計画の実行が最優先事項で邪魔者は排除する非情なリーダーだが、なんと女の子を轢かないように咄嗟に切ったハンドルで事故を起こし、計画が失敗に終わってしまう。人としての優しさや人間らしさ故に命を落とし、計画も失敗した彼ら。優しさが無ければ事件は解決しなかったし、彼らは死ななくて済んだし…
何とも複雑な気持ちになる。
最後にテレビ画面が映り、ニュースキャスターが一連の事件の内容をアナウンスするシーンにて。
実際は5人なのに、「単独犯」と報道したのが引っかかっている。
シークレットサービスの人間が裏切ったこと、恋人に騙され地元警官が爆発物を持ち込む失態、本物ではなく替え玉の大統領に演説させていたこと。
世間には明らかに出来ない事実ばかりで、結局嘘で塗り固めた報道で物語のラストを迎える。(序盤のリポーターとプロデューサーのやり取りや、狙撃事件前後の言動から、都合の良いことだけ放送し、がむしゃらに視聴率を求めるマスコミの軽薄さはずっと示してあったけど)
マスメディアの限界。それと共に、全てを知らずに生きている方が一般市民は幸せなのかもなと思った。