らせんかい 合歓閉ぢて 酒川 ふみこ おもひ出を探す夏野のつきるまで 蛍火に蹤いて身に添ふ水の音 合歓閉ぢていつかやさしさとり戻す 夏野来て人には言へぬことおもふ 蝉の声降る森に身を預く 悪口もときには楽し遠き雷 あえかなる花合歓に風過りては 玫瑰や沖より暮るる凪の間を 冬草 十月号 第三十九巻 第十号(通巻四四六号)より