明治天皇を投げとばす | 人差し指のブログ

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本を読んで面白かったところを紹介します

 

 

 

 

「決定版 三島由紀夫全集 39」

三島由紀夫 (みしま ゆきお 1925~1970)

株式会社新潮社 2004年5月発行・より

 

      対話・日本人論 [林房雄・三島由紀夫]

 

 

 

<林房雄>     明治維新の忠臣たちは、帝王学によって明治天皇を           鍛えあげました。           

 

 

たいへんな御教育でね。骨っぽくて荒っぽい、村田新八とか山岡鉄舟などという侍従をつけましてね。

 

 

武芸と酒のお相手もさせたが、もっといろいろなことをお教え申しあげた。

 

 

 

テレビの 『明治天皇』 によれば、大奥の女官たちが若い天皇に酒を飲ませすぎるというので、山岡鉄舟が命をかけておいさめ申し上げるということになっているが、事実はそうではなく、若い明治天皇が毎晩毎晩、女官の部屋にお忍びになる。

 

 

それを山岡鉄舟がお廊下に待ちぶせて柔術の手でとって投げるのです。

 

 

「頭山満(とうやまみつる)伝」 に書いてありますが、「何をいたす。余は天皇だ」 と言っても、「天皇はこういうところにいらっしゃいません」 と言って、鉄舟が板の間にたたきつけるのですね。

 

 

それほどの天皇教育をお受けになったわけです。

 

 

元田永孚(ながざね)だとか、いろいろなむずかしい学者をつけて、学問的にもたたきあげたわけです。

 

 

そして、あの明治天皇ができあがった。

大正天皇の時にはそういうことはなかったようだ。

 

~対話・日本人論(初出・初刊)「対話・日本人論」・番長書房・昭和41年

10月~

 

 

 

 

 

5月18日 光が丘 四季の香ローズガーデン(東京・練馬)にて撮影