私の実家は、祖父母による嫁いびりの酷い家でした。
長男である私の父は、祖父母と同居していたのですが、母は奴隷のようにこき使われていました。
その皺寄せが私にも来ていて、橋○先生脚本でドラマ化できそうな家でした。
父には何人も兄弟がいるのですが、そのうちの一人の叔父は、いばりんぼうで、怖くて、私の悪口を祖父母と一緒になって言うので、苦手でした。叔父は東京に出たかったのにも関わらず、大学に進学できず、就職して地元に残る選択をせざるを得ず、
女ながらに都会に出れた私に嫉妬みたいなものがあったんだと思います。
叔父は、かなりの学歴コンプレックスで、今でも「〇〇は勉強はできるかもしれないけれど、・・・」と直接言われることがあります。
もうお互い良い年なのですがね
今でも叔父は苦手ですが、子供を持ってよく思い出すようになったエピソードがあります。
小学生の頃、ある時叔父が家にきて、一緒に出かけようと言われました。
叔父と、叔父の下の娘と3人で出かけました。
その日は梅雨か何かで洗濯が乾いておらず、私は、着ていける服が、穴の空いた学校指定のジャージしかありませんでした。
すっごく見窄らしい格好で、親にも着るなと言われていたのですが、それしかなかったので、仕方なくそれを着て行きました。
叔父にソフトクリームを買ってもらい、
スーパーのゲーセンコーナーで、二人で待つよう言われました。
私は、大きくてすぐ食べきったのですが、従姉妹はまだ小さく、溶けたクリームがぽとぽと落ちてしまいました。
私は困って、近くの定員さんに「ティッシュはありませんか?」と聞いてのですが、
店員さんは私を見て、ティッシュはくれず、「ティッシュコーナーはあっちだよ」と買うように言いました。
(ティッシュが欲しいことが伝わらなかったんだと思うのですが、穴の空いたジャージを見られて、その返答だったので、
すごく悲しかったのを覚えています)
手持ちのお金で、サンリオのティッシュを買って、従姉妹の手を拭いていると叔父がきました
「悪かったな(方言ではありがとうの意味)」と言って、帰りに本屋さんに寄りました。
それで、なんでも好きな本を一冊買ってあげると、言われ、私は値段を見ずに一番欲しかった本を取り出しました。
それは、5センチほどの厚みのある、3000円超の日本の昔話集でした。
叔父は何も言わず、買ってくれました
自分が見窄らしい姿で気まずかったこと、欲しいものを何も言わずに買ってもらえたこと、そのギャップが印象的で、今でも鮮明に覚えています。
帰宅して本をみた母が、私に、「これ、この間買ってって言われて、高いからダメって言ったやつだよ」と言いました。
私は、すっかり忘れていたのですが、何ヶ月か前に母に強請ったそうです。
私の実家は貧乏でした。田舎だし、叔父もすごく裕福なわけではありません。
当時、まだ27、8歳だったと思います。
子供を持って、今私は3000円超の本を何も言わずに子供に買うことはできません。
当時で3000円だから、今だったら5000円くらいかも。絶対無理です
今の私がど貧乏なのもあるけれど、それでもやはり、叔父にとっては大きな買い物だったと思います。
叔父に買ってもらった本は、子供時代の私のお気に入りで、何度も何度も読み返しました。
今、失業中とはいえ、私がこの道を選ぶ基礎になったと思います。
いつか、ちゃんとお礼を言いたいなと思っていますが、まだ機会がありません。
安定した仕事が見つかったら、おじさんのおかげだと言いたいなと思います
親になって、叔父のすごいところがわかるようになってきました。
おじちゃん、あの時は本当にありがとう。