ボツにした歌[15]
[1033]鳴神なるかみの 遠光而とほくひかりて 雨霧あまぎらひ 振放見者ふりさけみれば 發度たちわたる 天雲遠あまくもとほみ 吾獨われひとり 漬濡可ひちてぬれるか 可待可まつべきか 何時霽日いつしかはるひ 将暮跡くらさむと 悒憤此日いぶせむこのひ 亦暮鴨またくらすかも[1034]刺雲さしくもり 俄霧にはかにきらふ 此夕このゆふへ 来通路きかよふみちに 将全吾背またけむわがせ[1035]久方ひさかたの 天欝悒あまはいぶせみ 雲隠くもかくり 不見朝開みえぬあさけの 月跡星鴨つきとほしかも[1036]何時いつしかは 興無之きょうのなかりし 君管乎きみくだを 數暇あまたのいとまに 獨之曾見ひとりしぞみる[1037]雨音あめのねを 聞津哉吾背ききつやわがせ 叢雨むらさめの 降敷頃ふりしくころに 數夜曾寝あまたよそぬる[1038]久方ひさかたの 天欝悒あめはいぶせみ 烏玉ぬばたまの 今宵月こよひのつきは 雲諸伏くものまにまに[1039]夜籠よごもりに 幽来声かそけきこえを 遠聞者とほきけば 秋日異あきはひにけに 深去物鴨ふけゆくものかも[1040]嬬等をとめらが 為挿頭かざしのために 風流士みやびをの 為鬘かづらのためと 敷座流しきませる 平城都ならのみやこに 落尓蹴ふりにける 峨奈雪がなのゆきの 匂波母安奈にほひはもあなに本歌(元ネタ)~不詳・万葉集 8-1429[1041]去年冬こぞのふゆ 相有之公あへりしきみに 戀尓手之こひにてし 峨奈雪がなのゆきは 迎来良之母むかへけらしも本歌(元ネタ)~不詳・万葉集 8-1430[1042]朝夕あさよひに 公将往きみはゆくらむ 久方ひさかたの 朝雨あしたのあめは 不零在与ふらずありこそ