日本ペンクラブが会員の作家達に体験談を募ったもの(2001年)
「犬にどこまで日本語が理解できるか」
山本鉱太郎:柴犬 「ポチ」牡
まず最初に教えたのが、定番『お手、お座り、チンチン、
お預け、伏せ』で直ぐ覚えた。 次は棒切れを遠くへ投げて
『行け』と命じると、喜び勇んで駆けっていく。
くわえて戻ってきたら頭を撫で、頬ずりして思いきりほめて
やると、今度はどんな命令が下がるかと、耳をそばだてじっと
待っているのだ。 1か月ほどで、『待て、よし、だめ、廻れ、
走れ』といった初歩的な言葉をまず覚えた。
私は、旧制中学の受験で塾に通い、帰宅は毎夜10時頃で、寒い
冬の夜道は辛かった。 「ポチ」はいつも500メートルぐらい先
から私の足音を聞き付け、雪の中を転げるようにして水門の橋
まで迎えに来てくれたのだった。
