一見気づきにくい……けれど画期的な座席が注目を浴びている。飛行機の座席デザインや製造を手がける企業Molon Labe Seatingが開発した「S1 Space Seat」だ。以前、商品化される前にも報じられたことがあるこの座席が、ついにFAA(米連邦航空局)の承認を得たと先日報じられた。S1 Space Seatのデザインは、3つ並ぶ席の真ん中だけが数センチ低くなっていて、窓側や通路側の席よりも若干幅が広くなっている。加えて、両隣の席より少しだけ後ろに下げて設置される。真ん中に座る人が窮屈な思いをせず快適に過ごせるようにするのが目的。米メディア「ABC」によるとMolon Labe Seatingは既に航空会社から大口受注も受けているという。座席を選択するときに避ける人も少なくないだろう中央席だが、このように快適さを追求されたつくりであれば敢えて選ぶ人もでてくるはずだと。なるほど。
日本の新幹線も確か真ん中席が幅を広くしてあった気がして調べてみたら、新幹線の場合は両サイドより3センチ広いらしい。この飛行機のシートはそれの更に進化系だね。これはいいね。新幹線の3センチ広いくらいなら窓側の席がいいって思っちゃうけど、この「幅広+低い+下げる」までやるとちょっと悩む人も多くなるんじゃないかな。つまりこれで、快適度が両サイド席と同じくらいにやっとなったと言える。逆に言えば、日本の新幹線はまだ快適度に差があるってことだね。値段は同じなのに。
まあでも、日本の既存の新幹線のシートをこれに変えるなんてことは絶対しないと言える。なぜなら新幹線は独占市場だからだ。つまりライバルがいないってこと。飛行機なら乗る人が自分で航空会社を選べる。なので各社はサービスを高めて客を呼ぶ。でも新幹線に関しては、新幹線一択しかない。一応、「飛行機か新幹線か」みたいな選択肢となっているが、料金も時間も結構違うからそこまで迷わない。ってことは競合とは言い切れない。あとは鈍行か車かってくらいで、これらも全く競合ではない。つまり新幹線は近いライバルがいない状態だ。“早い鉄道” は新幹線一択の独占市場と言える。なのでサービス等の企業努力に注力することはそこまで無い。座席に文句があっても結局客は乗ってくれるからね。リニアができてもこれはまたライバルとは違いそうだ。料金にもよるが、“更に早い鉄道” という、近そうでちょっと違う市場だろう。どちらかというとリニアは飛行機の競合なんじゃないかな。
新たにJRじゃない鉄道会社ができて、同じくらいの時間と料金で運行する電車ができた時、初めてそれがライバルになるんだろけど、それは現実的じゃないね。なので既存の新幹線がこのシートを導入することは絶対無いと言える。新車両を作るならあるかもしれないけどね。
