今度の日曜日は、中秋の名月だって。今、テレビのアナウンサーが言っていた。
満月を見るとお父さんに聞いた話を思い出す。
実はお父さんも、お父さんのお姉さんから聞いた話なんだ。
それはね、お姉さんがまだ若くて、お勤めをしていたころの話なんだけれど・・・
家は町はずれにある山を少し上ったところにあって、お姉さんは仕事が遅くなり夜道を一人で歩いていたんだって。
その日は満月で、足元の細いでこぼこ道が白く光って見えていたそうだ。だから夜でも前がよく見えて、お姉さんは急ぎ足で歩いていた。
すると、後ろから誰かが歩いてくるような足音が聞こえてきたんだ。
お姉さんは(あれっ?)と思いながらそのまま歩いていたけど、いつまでもついてくるような気がして だんだん怖くなってきた。
そこで、お姉さんは怖いけれど本当に誰かいるのか確かめてみたくなった。
まず、1.2.3と三歩あるいて止まってみた。すると、後ろの足音も1.2.3で止まった。
お姉さんは益々怖くなったけれど、次に1.2.3.4.5と五歩あるいて止まってみた。
すると、後ろの足音も1.2.3.4.5で止まった。
もうお姉さんは怖くて怖くて堪らなくなりガタガタ震えてきたそうだ。
でも、勇気を出してスローモーションみたいに ゆっくり後ろを振り返ったんだ。
そこには・・・いた!丸い体にふさふさしっぽのタヌキが!
もうお姉さんは、びっくり仰天!!家まで必死に走って帰った。
それからお姉さんは夜に歩くのが怖くなったんだって。
そして、その道のことを「タヌキの道」って呼ぶようになった。
僕のお父さんはその話が大好きで、何度も何度もお姉さんに話してもらったそうだ。
そして、今度は僕に話してくれた。僕も大好きで何度も何度も聞きたくなる。
特に「1.2.3と三歩あるいて・・・」のところからドキドキしてきて、振り向くところでゾクッとするんだ。
満月の輝きに白く光る道、タヌキ・・・
そうだ、お父さん。タヌキは満月になると腹鼓を打って楽しむんだよね。
だから、お姉さんに腹鼓を聞かせてやろうとしたんじゃないのかな~?
きっと、そうだよ!