全力で、遊ぼうものなら、ひじやひざの衣類に穴があく。ましてやクツシタに穴があこうもの
なら、それをみるなり、どれどれ針と糸をもってこいという。古びた金属の菓子箱に針や糸が
はいっており、糸をてのひらで確認してちょうどいい糸の太さや色をみるなり、針穴に糸を
通す。くねくねと針を動かすものの、みているなりたちまち穴はふさがれていく。
今は買ったほうが衣類は、たちまち新品にかわろうものなら、今度は衣類に穴をあかぬよう
遊ぶ様になる。
それをみて笑おうものなら、まんじゅうをほおばりながら、時の流れを感じるも、
泣きながら、この衣類に穴があいたとうったえる。それをみてまた笑いながら、どれどれ
と針と糸をもってきておくれ、とたのむ。
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糸をとると、すうすう、ずうずう、ぷいぷいと音がなり糸ができる。たずね人が、この糸とり
はむずかしいことかね?というと、私にできることだから、あなたにもできるでしょうととう。
するとたずね人は、わしにもひとつ糸とりをやらせてくれぬかねというので、みようみまねで
やるがどうも糸にはならぬ。
糸とりはかんたんにみえるが、いざやってみるとどうもうまくはいかぬ。夢中になって糸とり
を続けると、あたりは暗くなって、結城のまちが、変わってみえる。
この景色もいとおしやとおもいつつ、また織物もいいとおもい、駅へむかった。
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絣をやろうものなら、こうでもない、ああでもないと くくってはしばり くくってはしばり
とくりかえす。墨の上にうまく、くくれぬ、おのれに、まがさして 休むとあぐらをといて
休憩しようものなら、糸とりをやっているばあさんがいる。時の流れはとまらぬものだと
おもい、またあぐらをかきなおしては くくりにはげむ。
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織りはむずかしいですか?ととうと、その人はいう。いちにち3cmを織ることにする。
3cm織ったら、あとは、休むなりしたらいい。また、いちにちと3cm織る。百日後には
3メートルになっている。きがついたときは、いちにち5cm織れるといきごんで
またきがついた時は、もう先生になっている。という。
 
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これは休日(2014.8.10.日)に、結城紬の三要件を昭和の作業風景からその三つをくみたてて
連結させるという作業の流れからコマ送り式につくった文章である。私もこれは油性ペンで
下書きしてかいたのだが、なかなかうまくいったと思って、ネットに掲載してみた。ただその
シーンごとに絵もかいてみようと思ったのだが、昭和の風景がおもいうかばないので絵が
かけなかった。半分睡魔の中にペンをはしらせ、よみにくいかもしれない。北村陵