結城市の歴史 近代結城のなりたち

引用 参考書籍 結城市史 第六巻 近代現代通史編 発行:結城市  編集:結城市史編さん委員会

P469

近代的織物業としての結城紬織物業(1)

これまで述べたように、結城紬織物業は、他県の織物産地が織物の種類、織機、染色法の点で

近代化を進めていくのに対し、旧来の織物と染織法を守ることに活路を見つけ出した。しかも、

伝統的織機と技術で生き伸びていく基本方針を決めるまでには、紬関係者はいくたびか他の地方

と同じような近代化の道を模索する試みと努力を重ねた。その結果、伝統的方法による紬生産の

維持という路線を選んだのである。一見、従来からの生産方法をかたくなに守っているように

見えながら、先進織物地帯の正常な近代化に対応して、このような形で結城織物業の特殊な近代

化が行われたことになる。つまり結城地方なりの織物業の<近代化>、いいかえれば伝統的生産

方法の再認識、維持という形で、紬織物業が現在まで存続するいとぐちをつかんだのである。

本場結城織物同業組合が石下や下館の織物同業組合とは別に組合を作ったことと、そして組合の

名称に<本場>とつけたことは、結城の問屋、生産者たちが伝統の再認識をした何よりの証拠である。

<近代的織物業としての結城紬織物業(2) につづく>