夫にも長女にも最初は確かに愛情があったはずなのに、なんでこんなにこじれてしまったのか、自分の過去のブログなども読みながら考えてみた。

夫に関しては完全に産後クライシスだな。長女の出産後、子供の世話をお願いするたびにすぐにパニクって泣いて落ち込んですがり付いてくる夫を見るうち、この人にはあまり頼っちゃいけない、自分がしっかりしなきゃと思うようになってしまった。

そうなると不思議なもので、夫をどんどん見下すようになり、男性として見られなくなり、いつしかやることなすこと目につくようになり…みたいな。


長女に関しては、発達の問題が出てきてからも、次女が産まれてからも、しばらくは普通に心からかわいがっていた記憶がある。

でもそんな時期にコロナ禍になり、長女と家で過ごす日々の中で、共同注視ができないことや、予想したような反応が返ってこないこと、自閉症の特性に向き合い続けてしまったのがよくなかった。

それでも療育に通えばきっと大丈夫…と思っていたけど、通いだしてみたら長女の奇声と奇行が目立つようになる。

周りの刺激を正しく受け取れるようになったことの反動であって、成長の証ではあったんだけど、ボンヤリしてるだけならただおとなしい子に見えなくもなかったのに、一気に障害児感が強まって、こんなはずじゃなかったと思うように…


更に、今までブログに書いていなかった大きなきっかけがあるのです。

長女が4歳の頃だろうか、次女の寝付きの悪さに対応するため、長女の寝かしつけを夫に任せていた時期があった。

幸い長女は特に文句も言わず、赤ちゃんのときに一緒に寝ていたぬいぐるみを久しぶりに持ち出して素直に寝てくれるとかで、私も安心していたんだけど。


しばらくして、次女が少し落ち着いたので、久しぶりに長女と一緒に寝てみた日のこと。

以前は体をトントンしてなきゃダメだったけど、最近は横で寝てるだけで大丈夫だよと夫に言われたので、こっちもウトウトしていたのだけど、ふと気付くと長女がなかなか寝付かずに、隣の布団でゴソゴソしている気配がする。心なしか呼吸も荒い。


気になって目を向けてみて、一気に目が覚めた。

長女がうつ伏せになり、股の間に例のぬいぐるみを挟み込んで、必死に腰を動かしていたのだ。


その少し前に、幼児自慰に悩む親子の体験談マンガが話題になっていたので、幼児自慰に関する知識はあった。単に落ち着くから触ってしまうだけで、性的な意味があるわけじゃなく、何も特別視することはないのだと。

でもいざ自分の子がしている姿を見ると平常心ではいられず、血の気が引いた。


夫は寝かしつけ中もスマホを見ていたりしたらしいから、きっと幼児自慰は一人で寝付く手段として長女が編み出した技なのだろう。

マンガでも何か他のことに気を反らせばいいって書いてあったし、きっと以前のようにトントンしてあげたらいいんだ…と、手を伸ばしてみる。

すると汗だくの長女に手を振り払われた。

「長女ちゃん、長女ちゃん、トントンしてあげるよ」

「いいの、一人でねるからいいの、トントンしないで」

長女は私の手を逃れて布団の隅に行き、またぬいぐるみに腰をすりつけ始めた。


その後ろ姿を見るうちに、涙が出てきて仕方なかった。

次女は私の腕枕じゃないと寝なくて、今もピッタリと体をくっつけているのに、この違いはなんなの。

それにそのぬいぐるみ。それは長女が産まれて3ヶ月くらいして、家族でお出かけができるようになった頃、輸入のおもちゃを扱う店で一目惚れして買ったものだった。赤ちゃんを連れてかわいいぬいぐるみを夫婦で買うシチュエーションに浮かれて、ちょっと高いけどいいよねなんて言って。まだ長女に障害があるなんて思いもしない頃の話。

そのぬいぐるみを、そんなことに使わないで。私の思い出を汚さないでよ。


もちろん長女が幼児自慰をするようになったのは、親の都合で一人で寝付くことを求められるようになったからであって、長女には罪はない。むしろ長女は被害者だ。それに幼児自慰は珍しいことではないし悪いことでもない。

でもマンガでも書かれていた通り、頭でわかっていても嫌悪感が湧いてくるのが止められない。

その後しばらく寝かしつけ時に幼児自慰を目撃し続け、行き場のない悔しさやら情けなさやらに苛まれる日々を繰り返していたのだけど、ついには長女が昼間から股間を触ろうとするに至って、見てみぬふりもできなくなった。

性教育の本を見ると、自分の体を触るのは子供の権利!汚いとか恥ずかしいなんて言うのは子供に性への嫌悪感を植え付けるNG対応、ただ触るときのマナーを教えてあげて☆みたいなことが書いてあるので、嫌悪感を押し殺して、

「長女ちゃん、それは人のいるところではしないでね」

言ったのはそれだけなのに、長女は大声で泣き出した。

なんだろうね、こっちが何も言わなくても、本能的に罪悪感があるんだろうか。もしくは私の顔がよっぽど強ばっていたか。

なんにせよその後長女は昼間は幼児自慰をしなくなり、寝かしつけ中にたまにモゾモゾしてるときも「お母さんと一緒に寝るときはしないよ」と言えば諦めるようになり、問題は一段落したのだけど。


でもあのとき抱いた嫌悪感がその後もずっと尾を引いてる気がするんだ。あれがなければこんなに心の距離はできていなかったかもしれない。もちろん長女は悪くない。長女の寝かしつけができなかったのが一因なんだもの。でも次女の寝付きが悪すぎて一緒だと長女が寝られなかったのも事実で、ああするしかなかったんだよ。誰も悪くないけど不幸な出来事だったんだ…

…いや誰も悪くないとも言いきれんな。夫!お前だよお前!お前が寝かしつけ中にスマホなんか見ないでちゃんとトントンしてやってれば、長女だって幼児自慰なんかしなくて済んだかもしれないじゃないか!自由に振る舞うのもいい加減にせえよオイ…と再び夫への怒りに震えながら盗んだバイクで走り出す4○の夜…


↓ちなみに例のマンガは書籍化されていた。このマンガの親子関係は修復に至ったようだけど、うちはいまだに修復しきれてない気がする。