俺は長門のお気に召したものがあると思われるおもちゃ屋の前までゆっくりと戻ってきた、俺が横まで戻ってきたと言うのに長門は見向きもしない、正直どんな玩具に負けたのかと思うと悲しくてしょうがない。俺は長門の興味のストライクゾーンど真ん中絶好球がどのようなものか確かめるために、長門が見ているであろう視線の延長線上まで恐る恐る目線を上げた……。そこにあったのは、おそらくであろうがパズルかルービックキューブといったところだ。長門を後方から見ているため目線を正確に確かめることはできないが、読書を好むほどのアナログ好きだ、こんなパズルや俺でも完成させたことの無いようなキューブなどのアナログ且つ知的な遊び道具が一家に一個はあってもいいと考えたんだろうか。どうせなら古泉に頼めばそれどころかどこか遠い国の伝統的なボードゲームまで持ってきそうだが、今さら古泉なんかに頼ることでもない、ただ俺が可愛らしく目を輝かせるこの宇宙人製のアンドロイドの知的遊戯のために、そして俺が自ら決めた定め(長門デーのことだ)のために俺は財布の口を緩めることにする。とりあえず大体の予想はついてはいるものの一応聞いておくことにする。
「長門、なんか欲しいものでもあったのか」
質問をしながら気付いたことだが、俺らは今周りから相当不思議なものを見る目で見られているんじゃないだろうか。実際そうに違いない、1組の男女がカフェではなく、映画館でもなく、デートスポットでもなくおもちゃ屋の前でおしゃべりをしているんだからこれほど不思議で理解の及ばないことは無い。やはり今日の長門はいつにも増して意思表示が多い。
「……」
台風の中心のような沈黙、この後どんなワードが出てくるのかが一番気になる、実は近所のガキのために、とか懐かしくてつい、だとかどうしてもやってみたくて、とかは世界が改変されたとしてもまずありえないだろうし、信じられない。
「……」「……」
何も言ってくれないんじゃ何も答えられない、できれば否定か肯定だけは伝えていただきたい。
「ある、しかしあなたに関係するようなことではないことは確か」
「いや、関係ないとしても俺と長門は関係があるんだ。もう何ヶ月も部室やらなんやらでせわになってるしな。」
何も言わない長門には本屋のときと同じように、肉眼では確認できないほどのオーラの変化によってすこし喜びの念があることに気が付いた。おそらく、いやほぼこれは肯定の印であろう。
「いいぜ、買ってやるさ。これだってお前の16年間分の誕生日プレゼントに比べたら安いもんだし、こんなもんじゃいくつあっても足りない。家一軒ぐらい進呈してやりたいぐらいの偉業をしてるんだ、御礼をされることを当然に受け止めればいいんだ、そして誇りに感じればいい。それだけ……それ以上のことをお前はやってのけてるんだ」
長門は俺に目線を向け、何か言うのかと俺が期待するころにはすでにまたショウケースを眺めていた、しかしここで今にも消えかけそうな小さく弱くしかしはっきりとした声で、
「……そう」
その一言で十分だった、長門との会話はいつも短いがコミュニケーションが取れればそれで問題ない、現にコンタクトがとれているのだ、その答えに対して適切な対応することが感謝の念をあらわすことに繋がるんじゃないか……ナンてね、難しいのは性に合わない。ただ長門に喜んで欲しい、長門に休息の時間を与えたいその気持ちを伝えたいだけである。
「じゃあ買ってやるから、店に入って、かごに買いたいのを入れてくれ」
長門は珍しく1センチほど頷き、図書館で本を探すときみたいにお目当ての玩具がある場所へと向かい、30秒も経たないうちに戻ってきた。持ってきたのは今流行(はやり)らしい色は同じだがそれぞれのブロックの大きさが違う新種のルービックキューブであった。
「これだけでいいのか、他には何か欲しいものとかないのか、パズルとかウノとか数学カードゲームみたいなのとか」
「いい……」
まあ、これだけでいいなら別に何も言わないが。遠慮はしなくていいんだぞ。
「……」
これ以上聞いても考えは変わらないだろう、できればはっきりとイエスかノーと言って欲しかったけど。
俺はルービックキューブなる(俺にとっては)複雑難解のパズルをレジへと置いた。
「これください」
「980円になります」
定員は微笑しつつも俺たちを少し疑い、なぜこんなところにいるのかというメッセージを載せた視線を俺へと浴びせた。見られても困る、答えられないし、答えたくも無い、向こうとしてはその理由を説明されても困る。長門と二人でいるときの沈黙とはフェーズのレベルが明らかに違う沈黙の時間、俺の後ろにいる長門の不可視かつ無害のオーラだけが今の俺の心の支えだ。
「ありがとうございました」
やれやれ、疲れるぜこういうところは。
俺たちは脱線した道から本線へと戻って、昼食をとるためそのバイキングの店があるであろう繁華街へと向かう、しかし朝見た地図の記憶からすると少し距離があった、それまでにまたお目当てのものでも見つかればそれはそれでうれしいんだが。いつものように言葉一つ交わさずに歩いていた俺だったが、どうせ道は長いので気晴らしというか時間潰しに長門でも興味を持ちそうな話題を出してみることにした。
「長門」
「何?」
「まあこういうのは失礼になるかもしんないけどさ、前さ長門の部屋に上がらせてもらった時に家具とかインテリアとか生活雑貨が凄く少なかったけど、そういうのって必要になったりしないのか?」
「必要の無いものはいらない、生活するのに最低限の家財があれば問題は無い。支障が発生した場合は、局地的且つ一時的に情報にオリジナルの改変をすれば問題は無くなる。なんら生活に不自由は無い」
「でも、この情報社会だしテレビやパソコンの1台くらいあってもいいんじゃないかと思うんだ、いやさすがに俺は買ってやれないけどよ。でもそういう情報を得る手段があったほうが退屈しなくなると思うんだ、ほら携帯でメールするとか、テレビでドラマ見るとかさいろいろ退屈しなくなる方法があるじゃないか。長門もパソコンの便利さは知っているだろ、あれがあると日常生活は結構楽しくなるぜ」
「この時代では情報ネットワークに接続するには基本的にそれに対応した機器が必要だが、私には必要がない。情報としてもあまり価値の見出せないものが大半と推測される」
「確かにわけの分からんお笑い番組やバラエティー番組もあるが面白い物だって結構あるもんだぜ、この時代の情報なんて朝比奈さんやお前に言わせりゃ稚拙なものかもしんないが案外いい部分もあるんだ、ほら昔の人が言ってたろ温故知新ってな。古い事だっていい事がなかなかあるんだ、だまされたと思って一回試してみろよ」
「……」
少し目線を落とした、考えてるみたいだ。
「あなたが一番最適だと思う情報伝達機器を教えて欲しい」
「そりゃ携帯電話に決まってるさ、ほら俺だって持ってるし。道行く人を見てみればそれがどんくらい普及しているのか分かるだろう」
「……」
「まあ、お前なら独自に携帯を作ってもいいさ、盗聴もされないし、電波だっていつも3本で動画だってアプリだって何でも動くようなのをさ」
「やってみる……」
長門が両手を胸の前で軽く握り、いつものごとく呪文を唱え始めた、長門の手の隙間からは金属の反射光が漏れる。
「できた……」
「なんじゃこりゃ?」
明らかにモデルが古い、白黒で折りたたみ式でもスライド式でもないしワンセグも見れない、まさかとは思うがさっき通りがかったおじさんの旧型携帯を真似たんじゃないだろうな、とういうか疑問の余地は無いそれをパクッたのだろう。しかし、電気屋が近くにない以上新しいモデルの携帯を見つけることもできないし、歩きながら電話してんのは昼食行きもしくは帰りのオッサンばっかだ、何か良いモデルはないかと考えていると長門が俺に手を差し伸べ唇を動かした。
「貸して……」
「へ?俺ので良いのか。電気屋に行けばもっといい機種があると思うけど……本当に俺のでいいのか?」
「いい……構わない…」
俺は長門に携帯を託した、長門はそれを左手に先ほどの旧世代オンボロ携帯を右手に持つと再びしかしさっきよりは短く呪文を唱えた、
「終わった……」
長門の右手には俺のと同じでほぼ新品状態のそれがあった、俺の携帯にもこんな時期があったなと悲しいく懐かしい思いが押し寄せる。長門は左手に持っていた俺の携帯を俺に返したが何かおかしい、傷が消えている、これは貸してくれてありがとうという事なのだろうか。しかし長門は俺の携帯について何も話そうとはしない、これは長門なりの感謝の気持ちなのだろう。
そんな感じで本筋とは外れた展開にはなったが時間を稼ぐ事ができた、歩いていて気付いたが長門はなぜか携帯電話をずっと右手で握り締めている、顔にはちっともうれしそうな表情は表さないのだが一応うれしいのだろうか。それともポケットに他のものが入ってて入れられない、ってこともないか。とにかく俺の携帯と同じならば説明書くらいは今度学校に持っていって見せてやるか、というかそもそも携帯電話なのか怪しいところだ。外見は携帯電話だが性能は現在のスパコンを軽く凌駕していたりしてな、洒落じゃなくてマジでありそうな話だから困る。それに通信費はどうなるのだろう、普通の通信手段なら月々の通信費がかさむだろうがこいつのはそんなこと無いのだろうか、不思議ではあるが聞くに聞けないな。
「長門、なんか欲しいものでもあったのか」
質問をしながら気付いたことだが、俺らは今周りから相当不思議なものを見る目で見られているんじゃないだろうか。実際そうに違いない、1組の男女がカフェではなく、映画館でもなく、デートスポットでもなくおもちゃ屋の前でおしゃべりをしているんだからこれほど不思議で理解の及ばないことは無い。やはり今日の長門はいつにも増して意思表示が多い。
「……」
台風の中心のような沈黙、この後どんなワードが出てくるのかが一番気になる、実は近所のガキのために、とか懐かしくてつい、だとかどうしてもやってみたくて、とかは世界が改変されたとしてもまずありえないだろうし、信じられない。
「……」「……」
何も言ってくれないんじゃ何も答えられない、できれば否定か肯定だけは伝えていただきたい。
「ある、しかしあなたに関係するようなことではないことは確か」
「いや、関係ないとしても俺と長門は関係があるんだ。もう何ヶ月も部室やらなんやらでせわになってるしな。」
何も言わない長門には本屋のときと同じように、肉眼では確認できないほどのオーラの変化によってすこし喜びの念があることに気が付いた。おそらく、いやほぼこれは肯定の印であろう。
「いいぜ、買ってやるさ。これだってお前の16年間分の誕生日プレゼントに比べたら安いもんだし、こんなもんじゃいくつあっても足りない。家一軒ぐらい進呈してやりたいぐらいの偉業をしてるんだ、御礼をされることを当然に受け止めればいいんだ、そして誇りに感じればいい。それだけ……それ以上のことをお前はやってのけてるんだ」
長門は俺に目線を向け、何か言うのかと俺が期待するころにはすでにまたショウケースを眺めていた、しかしここで今にも消えかけそうな小さく弱くしかしはっきりとした声で、
「……そう」
その一言で十分だった、長門との会話はいつも短いがコミュニケーションが取れればそれで問題ない、現にコンタクトがとれているのだ、その答えに対して適切な対応することが感謝の念をあらわすことに繋がるんじゃないか……ナンてね、難しいのは性に合わない。ただ長門に喜んで欲しい、長門に休息の時間を与えたいその気持ちを伝えたいだけである。
「じゃあ買ってやるから、店に入って、かごに買いたいのを入れてくれ」
長門は珍しく1センチほど頷き、図書館で本を探すときみたいにお目当ての玩具がある場所へと向かい、30秒も経たないうちに戻ってきた。持ってきたのは今流行(はやり)らしい色は同じだがそれぞれのブロックの大きさが違う新種のルービックキューブであった。
「これだけでいいのか、他には何か欲しいものとかないのか、パズルとかウノとか数学カードゲームみたいなのとか」
「いい……」
まあ、これだけでいいなら別に何も言わないが。遠慮はしなくていいんだぞ。
「……」
これ以上聞いても考えは変わらないだろう、できればはっきりとイエスかノーと言って欲しかったけど。
俺はルービックキューブなる(俺にとっては)複雑難解のパズルをレジへと置いた。
「これください」
「980円になります」
定員は微笑しつつも俺たちを少し疑い、なぜこんなところにいるのかというメッセージを載せた視線を俺へと浴びせた。見られても困る、答えられないし、答えたくも無い、向こうとしてはその理由を説明されても困る。長門と二人でいるときの沈黙とはフェーズのレベルが明らかに違う沈黙の時間、俺の後ろにいる長門の不可視かつ無害のオーラだけが今の俺の心の支えだ。
「ありがとうございました」
やれやれ、疲れるぜこういうところは。
俺たちは脱線した道から本線へと戻って、昼食をとるためそのバイキングの店があるであろう繁華街へと向かう、しかし朝見た地図の記憶からすると少し距離があった、それまでにまたお目当てのものでも見つかればそれはそれでうれしいんだが。いつものように言葉一つ交わさずに歩いていた俺だったが、どうせ道は長いので気晴らしというか時間潰しに長門でも興味を持ちそうな話題を出してみることにした。
「長門」
「何?」
「まあこういうのは失礼になるかもしんないけどさ、前さ長門の部屋に上がらせてもらった時に家具とかインテリアとか生活雑貨が凄く少なかったけど、そういうのって必要になったりしないのか?」
「必要の無いものはいらない、生活するのに最低限の家財があれば問題は無い。支障が発生した場合は、局地的且つ一時的に情報にオリジナルの改変をすれば問題は無くなる。なんら生活に不自由は無い」
「でも、この情報社会だしテレビやパソコンの1台くらいあってもいいんじゃないかと思うんだ、いやさすがに俺は買ってやれないけどよ。でもそういう情報を得る手段があったほうが退屈しなくなると思うんだ、ほら携帯でメールするとか、テレビでドラマ見るとかさいろいろ退屈しなくなる方法があるじゃないか。長門もパソコンの便利さは知っているだろ、あれがあると日常生活は結構楽しくなるぜ」
「この時代では情報ネットワークに接続するには基本的にそれに対応した機器が必要だが、私には必要がない。情報としてもあまり価値の見出せないものが大半と推測される」
「確かにわけの分からんお笑い番組やバラエティー番組もあるが面白い物だって結構あるもんだぜ、この時代の情報なんて朝比奈さんやお前に言わせりゃ稚拙なものかもしんないが案外いい部分もあるんだ、ほら昔の人が言ってたろ温故知新ってな。古い事だっていい事がなかなかあるんだ、だまされたと思って一回試してみろよ」
「……」
少し目線を落とした、考えてるみたいだ。
「あなたが一番最適だと思う情報伝達機器を教えて欲しい」
「そりゃ携帯電話に決まってるさ、ほら俺だって持ってるし。道行く人を見てみればそれがどんくらい普及しているのか分かるだろう」
「……」
「まあ、お前なら独自に携帯を作ってもいいさ、盗聴もされないし、電波だっていつも3本で動画だってアプリだって何でも動くようなのをさ」
「やってみる……」
長門が両手を胸の前で軽く握り、いつものごとく呪文を唱え始めた、長門の手の隙間からは金属の反射光が漏れる。
「できた……」
「なんじゃこりゃ?」
明らかにモデルが古い、白黒で折りたたみ式でもスライド式でもないしワンセグも見れない、まさかとは思うがさっき通りがかったおじさんの旧型携帯を真似たんじゃないだろうな、とういうか疑問の余地は無いそれをパクッたのだろう。しかし、電気屋が近くにない以上新しいモデルの携帯を見つけることもできないし、歩きながら電話してんのは昼食行きもしくは帰りのオッサンばっかだ、何か良いモデルはないかと考えていると長門が俺に手を差し伸べ唇を動かした。
「貸して……」
「へ?俺ので良いのか。電気屋に行けばもっといい機種があると思うけど……本当に俺のでいいのか?」
「いい……構わない…」
俺は長門に携帯を託した、長門はそれを左手に先ほどの旧世代オンボロ携帯を右手に持つと再びしかしさっきよりは短く呪文を唱えた、
「終わった……」
長門の右手には俺のと同じでほぼ新品状態のそれがあった、俺の携帯にもこんな時期があったなと悲しいく懐かしい思いが押し寄せる。長門は左手に持っていた俺の携帯を俺に返したが何かおかしい、傷が消えている、これは貸してくれてありがとうという事なのだろうか。しかし長門は俺の携帯について何も話そうとはしない、これは長門なりの感謝の気持ちなのだろう。
そんな感じで本筋とは外れた展開にはなったが時間を稼ぐ事ができた、歩いていて気付いたが長門はなぜか携帯電話をずっと右手で握り締めている、顔にはちっともうれしそうな表情は表さないのだが一応うれしいのだろうか。それともポケットに他のものが入ってて入れられない、ってこともないか。とにかく俺の携帯と同じならば説明書くらいは今度学校に持っていって見せてやるか、というかそもそも携帯電話なのか怪しいところだ。外見は携帯電話だが性能は現在のスパコンを軽く凌駕していたりしてな、洒落じゃなくてマジでありそうな話だから困る。それに通信費はどうなるのだろう、普通の通信手段なら月々の通信費がかさむだろうがこいつのはそんなこと無いのだろうか、不思議ではあるが聞くに聞けないな。
そんなこんなで目的の店に着いた、店はいかにも中華料理らしい中華料理店だった、外にも美味そうな香りが漂いいるものの食欲をそそる、店の名前を確かめていざ店に入るとやはりバイキングのお店である、大皿に盛られた、いやもはや積まれたおかずが手に取るものを今か今かと待つように見るものの視覚に作用して空腹感を倍増させる、あいにく空席は無かったものの待っているのは俺らだけだったのですぐに席が開くだろうと思いレジの横で暫し空席ができるのをじっと待った。もちろんすぐに席が開き俺と長門は勿論バイキングコースを注文した、やっと昼食にありつけると思うとなんだか幸せになるが少し嫌な予感がするのは俺だけであろうか。
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今回は友人に手伝ってもらっちゃいましたwwww
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