この夏、まるで奇跡のような出来事が起こりました。
それは、生まれてから一度も会ったことのなかった従妹が、
私を探し出し、はるばるバルセロナまで訪ねてきてくれたのです。
少し複雑な家庭の背景があります。
彼女は、私の父の「実の父」——つまり、
私にとっての実祖父のもう一つの家族にあたる人。
父が幼い頃、戦後の混乱の中で実父と離れ離れになり、その後、実父の弟(つまり叔父)に育てられたという事情から、私たち姉妹には祖父の存在について詳しく知らされていませんでした。
私たちが「祖父」だと思って接していた人は、父を育ててくれた義父だったのです。
父が生前よく話していたのは、お正月の朝、枕元にそっとプレゼントが置かれていた思い出。
その前の晩は「どんな音がしても絶対に目を開けてはいけない」と祖母に言われていたそうです。
大人になってから、「あれは、実の父がこっそりプレゼントを届けに来てくれていたのかもしれない」と語っていました。
幼い父と、離れて暮らさざるを得なかった祖父。
それぞれの切ない想いが、今では胸に沁みます。
そんな祖父のことを、私たちはほとんど何も知らないまま大人になりました。
けれど従妹の方は、すべてを知っていて、ある日、偶然見つけた日本での私のコンサートの案内を通じて、マネージャーに連絡を取り、私の居場所を探してくれたのです。
そのご縁が繋がり、彼女は新婚旅行先にバルセロナを選び、
旦那様と一緒に私を訪ねてきてくれました。
初めて会ったにもかかわらず、言葉にできないほど懐かしい気持ちになり、まるで長年会えなかった家族とようやく再会できたような感覚でした。
やはり血のつながりとは、不思議で強いものですね。
会話は尽きず、時間がいくらあっても足りないほどでした。
そして何よりも感動したのは、従妹が祖父の写真を見せてくれたことです。
私にとっては名前だけの存在だった祖父。
でもその写真に写る顔を見た瞬間、父とあまりにそっくりで、胸が熱くなりました。目元も口元も、耳の形までよく似ていて、血のつながりをはっきりと感じました。
私は毎朝、ご先祖様にお水とお線香を供え、
静かに感謝を伝える時間を持っています。
そこに今、祖父の写真が加わりました。
顔のわかる祖父に向かって、心から「ありがとう」を伝えられる喜び。
そして、「いつもあなたに守られている」と占い師に言われ続けたことが、
本当だったのだと実感できるようになったのです。
戦争という避けがたい出来事に翻弄され、愛する家族と引き離されながらも、
静かに我が子を見守っていた祖父の存在。
その想いと絆を、時を超えて、従妹が運んできてくれました。
これが、私がこの夏に引き寄せた、かけがえのない贈り物です。
目には見えないけれど、確かに感じられる「つながり」。
今もなお私を包み込んでくれているその愛に、心から感謝しています。