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正月、料亭花丸で行われる、立花組の新年会は、盛大なものだった。

甲会辻村の隣に座っていたのは、二代目、花井半二郎という歌舞伎役者。所望されれば、軽やかに踊る。そのうち、舞台に幕が引かれて、始まった歌舞伎は、立花組組長権五郎の息子、喜久雄と部屋住みの徳次。母、マツが入れ込んで、舞台を用意するのが恒例だった。踊りで書いた汗を流すべく風呂に入ってるとき、宮地組の殴り込みがあり、権五郎は死んだ。

この時の縁で、半二郎は、喜久雄と徳次を預かることになる。踊りの才能を見出された喜久雄は半二郎の元、歌舞伎のけいこにのめりこんでゆく。半二郎には、俊介という一人息子がいた。極道と梨園の息子二人、芸の道を生きてゆく。

 

物語は、語り口調で進む。読みながら、耳で聞いているような錯覚を覚える。よどみない語り口にどんどん進む。

半二郎が二人に見出したのは、立役ではなく、女形の才能だった。そして、二人で、二人娘道成寺で名を売り、興行会社三友の社長の目に留まる。

極道の一人息子と、梨園の一人息子。同じ女形として、しのぎを削る二人。二人して切磋琢磨してる間は、まるで兄弟のように育ち、相乗効果で良いほうへと進んでいたのに、芸の道は実力次第。喜久雄の方が才能があったため、大人たちの思惑がからみ、二人の運命が飲み込まれてゆく。大阪万博のあった時代背景である。まだ成人にも満たない男の子たちには、どうするすべもない。

~でございます。と続く語り部の穏やかで丁寧な語りなのに、なぜか耳元で三味線が大音響で鳴ってる気がする。実力がものをいうのか、家柄には敵わないのか?下巻が楽しみである。