これは韓国の映画、「ラブストーリー~classic~」を見てその映像を文章化したものです。映画の監督は「猟奇的な彼女」や「僕の彼女を紹介します」で有名なクァク監督です。「ラブストーリー」はちょうど先述の2作の間に出来た作品ですが、この3作の中では個人的には一番好きです。ストーリー以外に役者等々のえり好みもあるからかもしれませんが……。そんな感じです。
今回は映画の構成にのっとって全部で10章に分類しました。タイトルもDVDのやつを参考にして付け加えました。
プロローグ ~母の初恋~
ずっと昔、私がまだ子供の頃、川の上にかかる大きな虹を見たことがある。その時、母は私にこんな話をしてくれた。
「虹は天国へ続く門なの。人は死んだら虹の門を通って天国へ行くのよ」と。
父は私が幼い頃に亡くなっている。母は今、外国へ旅行中。再婚すればいいのに、と私は思うけど母はその気はないみたい。私の名前はジヘ。今は大学に通っている。
家で今、戸棚や古い本を整理している。そこに両親の交わした古い手紙が入った箱があった。米粒のように小さな文字が並んでいる。ここに母の初恋がある―。
少し興味があった。なぜなら時折、この手紙を見ては、母は涙するのだった。古い箱の埃を払い、そっと箱をあけた。中には溢れんばかりの手紙の束が入っていた。その一つにそっと手を差しのべてみる。
下のほうで電話が鳴った。出ないわけにはいかないのでとりに向かう。
「もしもし、私、スギョン」電話の主は友達でもあり、大学の同級生でもあるスギョンからだった。
「どうしたの?こんな朝早くに」彼女はいつも急だった。
「今日、サンミン先輩と美術館によってから、芝居を見に行くの。あんたもこない?」
「どうせ私を引き立て役にしたいのでしょ?」
「違うわよ。サンミン先輩が誘っているのよ。ジヘもどう、って」
「ほんとに?」私の鼓動が高鳴った。
「だから、今日の夕方に―」
彼女の声はあまり耳に入っていなかった。
私がサンミン先輩を知ったのは彼女のおかげだ。彼女が毎日送るメールの代筆を頼まれていた。
ある日、彼がいる演劇部の芝居を見に行った時、スギョンはこともあろうに、芝居の中に割り込んで彼に花束を渡したのだった。それ以後、彼女は演劇部に入った。もちろん、サンミン先輩目当てなのは言うまでもない。
サンミン先輩はみんなの憧れの的だ。スギョン以外にも多くの女の子は彼に夢中だ。キャンパス内の売店の女主人までも彼のとりこだ。かくいう私も、彼を見ていると胸が苦しくなる。でも、彼は私に見向きもしない。だから私は呪文を唱えるのだ。
以前、こんなやりとりがあった。彼が近くにいる時、振り向け、振り向け、振り向け……。そう心の中で念じた。
何かを感じたのか彼は急に後ろを見た。私はとっさに目を合わせまいと目をそらすので精一杯だった。
私は彼女との電話を適当に終え、また二階の部屋に戻るのだった。
二階に上がったのと同時に、しまった、と思った。窓を開けっぱなしにしていた。風が舞い込み、手紙が当たり一面に散らばっている。その上、鳩が数羽部屋に入って荒らしている。
必死に何度も部屋に入ろうとする鳩を追い払い、手紙を拾ってまた箱に戻した。適当に中から一通の手紙を開けてみた。差出人はソン・ジュヒ。母の名前だ。宛名はユン・テス。父の名前だ。
封を開けると見知らぬ名前があった。オ・ジュナ。誰だろうか? 私は興味深く手紙を読み始めた。
*朝、庭に面した窓を開けると涼やかな風が秋の訪れを教えてくれます。その風をこの手紙に乗せてあなたに届けましょう*
涼やか? ださい表現。まぁ、いっか。昔だから。手紙の入った底に古い日記があった。母の日記ではない。ぱらぱらとめくると、一枚の小さな写真があった。それは父ではない。オ・ジュナという人だろうか? 私はいつの間にかその日記を読み始めたのだった―。