頭文字D@天雷 -55ページ目

頭文字D@天雷

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 『ある家族の話です』


 リサちゃんのママは重い病気と闘っていました。


 死期を悟ってパパを枕元に呼びました。そのときリサちゃんはまだ2歳。


 「あなた、リサのためにビデオを3本残します。1本目はリサの3歳の誕生日に、


2本目はリサの小学校の入学式に。そして3本目は○○の日に見せてあげてください」


 まもなく、リサちゃんのママは3本のビデオを残し天国へ旅立ちました。




 
 リサちゃんの3歳の誕生日。1本目のビデオがかけられました。




 テレビ画面に、病室のママが映し出されました。


「リサちゃんお誕生日おめでとう。ママうれしいなぁ。でもママはね、テレビの中に引っ越したの。


だからこうやってしか会えないの。パパの言うことをよく聞いて、お利口さんでいてね。だったらまた、


ママ会いに来るからね。」





 リサちゃんの小学校入学の日、2本目のビデオがかけられました。




「リサちゃん大きくなったネ。おめでとう…ママ、うれしいな。どんなにこの日を待っていたか。


リサちゃん、ちゃんと聞いてね。ママが住んでいるところは天国なの。だから、もう会えない。


パパのお手伝いがちゃんとできたら、ママはもう1回だけ会いにきます。じゃあ、魔法をかけるよ。


エイッ!! ほうら、リサちゃんはお料理やお洗濯ができるようになりました。」




 ある日、パパに義母が見合い話をもってきました。パパは再婚する気はなかったのですが、


リサちゃんの将来を考えてお見合いをすることにしました。


 パパが再婚の話をリサちゃんにした時、リサちゃんは自分の部屋に走っていき、


「リサのママはママしかいないのに」とママの写真を見て泣きました。




 リサちゃんが結婚を受け入れないまま、新しい母親を迎える日がやってきました。




 この日が、3本目のビデオを見る日でした。タイトルにはこう書いてあったのです。


「新しいママが来た日のリサちゃんに」…それはリサちゃんが10歳のときでした。


「リサちゃん、お家の仕事がんばったね。えらいね。でももう大丈夫。新しいママがきたんだから。


・・・リサちゃん、今日で本当にお別れです。


・・・リサちゃん、今、身長はどれくらい?


ママには見えない・・・・・・




(ママは泣き崩れ、カメラを抱え込む姿が映ります)


 ママもっと生きたい・・・


 あなたのために、おいしいものをいっぱいつくってあげたい・・・あなたの成長を見つめていたい・・・


本当はリサちゃんと友達の話をしたり、ボーイフレンドの話をしたかった・・・


・・・リサちゃん、これがママの最後の魔法です。


 それは【ママを忘れる魔法】です。


ママを忘れて、パパと新しいママと新しい暮らしをつくってください。では、魔法をかけます。1・2・3・ハイ!!」


そこでビデオは終わります。




 リサちゃんは魔法の通りに、3人で仲良く暮らしました。


しかし最後の「ママを忘れる魔法」だけは、リサちゃんにも、パパと新しいママにも効きませんでした。