その18話目です






「外出許可」をとって

 親子3人 

はしゃいで向かった 

          久々の家での時間…





   ほんの数十分で、





私達に


全く逆の感情をわかせた…







許可は取ったとはいえ、




そうそう長い時間の外出は


主人の身体にもよくない







結局




あの ベッド を壊し、





主人が気になる小物をまとめて




早々に 家をあとにした…








もう二度と

          戻ることのないであろう


         3人で暮らした我が家…






3人で 家を出る最後が


       こんな形になるなんて・・・






家の中は


もう

取り返しがつかない状態で、



       まとめられた荷物…


       捨てるモノ…


      持っていけないモノ…




それらが
    アチコチに置かれた状態だった









あの日・・・

主人と共に家に入り、

あの空間で感じた

                 思いや迷い・・・





その事に

立ち止まって考え直す間もなく


 【その日】に向かって


ただ無感情に…


         毎晩     毎晩     


                作業を続けた・・・







周りから専務と呼ばれる義父


その人から発せられる言葉は


たとえ
      
      「頼み」であっても、


 店の人間が受け取ると

       「指示」にかわる…
                        





引越し作業も同じことだった



みんなの好意や

主人への思いも きっとあったろう…



でも

多少の無理や

強引な事は



         「頼めるか?」


         「すまんな…」



というセリフで

 全て  
   
             断る隙を与えなかった




私達のため、


私のために、



みんなが指示を受け

                 自分の時間をさいて…







直前には



仕事を終えた状態で
バイトの子達が
家まで手伝いに来てくれた…





「コレいらないんですか?」

「こっちも捨てちゃうんですか?」

「それ壊しちゃうんですか?!」


そんなセリフを何度も言われながら、



私は笑いながら


  「いるなら持ってていいよ」


そんな余裕あるセリフを吐いていた…






        バッカじゃなかろか…






モノを大事にする主人と一緒になって


こんなにひどい

      モノとの別れ方するなんて






結婚したばかりの時

主人が買ってくれた 三面鏡




「ちゃんとオシャレしろ




組み立て式のだから安かったんだ。と



私に内緒で、

家に帰ったら
   部屋に置いてあった三面鏡







「髪の毛サラサラにしとけ」と

   買ってくれたイオンドライヤードライヤー








    「オレはどうでもいいんだえー




なんて言って、

いつも私にばっかり…





出かけた先で


    「コレお前に合いそう


と古着を見つけて買ってきたり…





家中

主人の思いが…

    私や娘への気持ちが溢れていた








  全て 




                    今思えば・・・













そして、




引越しを目前にしたある日









専務である義父から


                 新たな話を聞く・・・






店を、


主人も私も働いてきた


この 


             レストラン 

               
                             を閉める…






 30年以上前から


西新宿でやってきたという、


 このレストランを



                終わりにする・・・







みんな

     いつまでも

ここで働いているとは思ってない




いつかは

終わる時が来る…






ただ、


その終わりが






こんな突然


こんなタイミングで

                      やってくるとは…












専務は…



義父は

              私にこう伝えた…







   ゆくゆくは・・・



主人と私に
店を任せようと考えていた…




自分は
現場から離れて
今の奥さんとゆっくり暮らそう…と。







 
主人の状態は決してよくない…




でも




そこから






               店を閉める






という決断へ行き着くとは…









何人もの社員、バイト…

何十年もの付き合いの従業員達…










       全てを終わらせるという決断









医師から



          「ある程度の覚悟を…」




と伝えられた


                 主人の入院から




  ひと月もしない間の事だった