…の続き〈15話目〉です





  想像もしていなかった 事



            「一緒に住む」



        上司であり義父の提案…





その時の私は

それが救いの言葉に聞こえた





 
 義父と話をしてすぐ、


 「あいつにも話を聞こう」

               と

            主人のところへ






   義父と義母   そして  私・・・





   入院中の主人を前に


    病院の談話室のテーブルを囲み


     話をした・・・




というより、




 義父が一方的に


  「これから一緒に暮らそうと思う」


という内容の話を伝えた






話を聞く 主人の顔を見ながら、



  私は後ろめたいような…


         変な気持ちになっていた









     主人が帰ってくる場所は

     退院した後 私達 どこで暮らす?





   

 



 あんなに即答して


 なんの迷いもなく



     「よろしくお願いします」



               と



   自分で出した結論なのに






病院で

主人の顔を見ていると


           迷いだらけになった…







強制されたわけでもなく、



返事をした時は

         余計な事は全然考えもせず




     「ありがとうございます」





と私の口から何度も出てきて、


         救われた気にさえなっていた







それが・・・





主人の顔を見ていたら


迷いのモヤモヤでいっぱいになった






主人に話もせずに

あの時の勢いで即答したこと…





        それだけじゃない




自分の中で

スッキリしないモヤモヤが、


 自分で出した結論を否定していた








  「・・・で、  
  
            お前はどうなんだ?」
 



ひと通りの話を伝え、


              義父が主人に聞いた。







じっと話を聞いていた主人が



静かに一人 一人をみた…







 心の中で


          なんとなく・・・


     主人に断って欲しいと思っていた






主人が反対したらどうなるんだろう…




 この話は

  無かったことになるんだろうか…







あの日・・・

  あの人を前にして

          頭を下げながら

           「よろしくお願いします」


 と言った 私…




その返事に

笑顔で返した あの人






 ここで私が



       「やっぱり考え直します」



そう言ったらどんな顔をするか…





   

笑顔で話しているあの人


           きっと


            笑顔じゃなくなる






そして


       きっと 


仕事場の店で見せる上司の顔で、


時々向けてくる


  キツい眼差しをして、


私に言葉を浴びせてくるんだ…






   そんな思いで頭いっぱいになり


   自分の中にわいてきたモヤモヤ


   吐き出すことが怖くなっていた




だから、

主人がちょっとでも


何か意見を言ってくれたら…



少しでも


この流れが止まってくれたら…




そう心の中で思い始めていた







 そして

 ゆっくりと口を開き、

               主人が言った・・・






「〇〇(私の名前)がいいのなら…」





主人からすると、


  自分はこの状態で色々できない…

  

     だから、



   私が考えて決断したなら
                        それでいいと思う…


      そして、

 
 色んな意味で
          義父は力があるから安心だ…





 「〇〇をよろしくお願いします」





心の中で

 断って欲しいと思っていた主人は、



 私が 賛成したという話を聞いて



 あの日の私のように


 あの人に頭を下げていた・・・チーン







 これで

  あの人達と一緒に住む事は確実

                        




 主人の返事を聞いて



 あの人


   「任せとけ

            心配するな 」


と 笑顔で答えていた







その日を境に


引越しへ向けて、




あの人達との生活へ向けて、




毎日が動き始めた・・・