平成29年第1回大分県議会定例会 議員提出議案「参議院議員選挙における合区の解消を求める意見書案」への賛成(条件付き)討論より。
2年前の選挙制度改革で、公明党と民主党が大分県と宮崎県の合区を含む10県20合区を提案したこともあり、この問題は我が県にとっても他人ごとではありません。他方で、すべての都道府県が最低一人の議員定数を確保し、かつ一票の格差を縮小させようとすると、選挙区選出議員の定数を大幅に増やさなければなりません。これは、身を切る改革を政策として掲げる維新の会にとって容認できることではありません。
しかしながら、合区を解消し、一票の格差を無くし、それでいて議員定数を減らす方法があります。それは議決に際して、有権者数を反映した係数を議員の表決に乗じてから集計するという方法です。例えば、昨年行われた第24回参議院議員通常選挙では、埼玉県選挙区選出の議員は、福井県選挙区選出の議員よりも、議員一人当たりの有権者数が3.08倍も多いので、福井県選挙区選出の議員の表決にかける係数を1とするなら、埼玉県選挙区選出の議員の表決にかける係数を3.08とするのです。このように各議員の表決に係数をかけてからそれを集計し、過半数を超えるかどうかで議決するのです。参議院は、押しボタン式投票なので、算定は電算ですぐにできます。
もちろん、係数の違いは小さい方が望ましいのですが、そうしようとすると、選挙区選出議員の定数が増えてしまいます。しかし、一議員一票の原則を前提としないなら、比例代表選出議員96人を置く必要がなくなります。比例代表の結果は政党の持ち票として議決の際にカウントするのです。こうすることで、選挙区選出議員の定数を増やしても、議員の総数を減らすことができるのみならず、比例代表で当選しながら、党執行部に造反したり、離党したりするといった比例代表の制度が抱える問題をも解決することができます。
この方法は、衆議院における一票の格差の是正にも使えます。地方創生のためには、過疎地域の声を優先的に届けることができるよう、一票の格差を容認するべきだという意見もあるかもしれません。しかし、地方創生のためには、地方への移住を考えている都市住民の声にも国会議員は耳を傾けるべきです。また、何よりも、憲法第14条の理念である法の下の平等は守られるべきです。 以上の理由より、合区の解消を求める本意見書に、条件付きではありますが、賛成します。
参考 https://www.nagaitoshiya.com/ja/2013/malapportionment-representatives-japan/