みなさん こんにちは
当事務所で相談の多い相続に関するテーマを取り上げ、解説しています。
相続が開始されたときに相続人となる人が行方不明だったり、連絡がつかないということも、結構あります。
その場合は、相続や遺産分割ってできないんですか?
どうやればいいの?
よくある疑問にお答えします。
Q
先日、私(A)の父が亡くなりました。
相続人は私と弟(B)と妹(C子)ですが、弟は2,3年前から消息不明になり、連絡がとれません。
連絡が取れない弟は除外して私と妹で遺産分割協議をやった場合、問題があるでしょうか?
A
相続人を除外してなされた(相続人全員でなされていない)遺産分割協議は無効です。
民法25条で「不在者の財産管理」に関する定めがあります。
同条で「不在者」とは従来の住所又は居所を去った者と定義しています。
不在者の財産について管理人がいない場合は利害関係人又は検察官の請求により裁判所に「不在者の財産管理人」の選任の申立をすることができます。
利害関係人とは不在者の財産管理について法律上の利害関係を有する者のことです。
もちろん相続人であるAさんもC子さんも利害関係者となります。
家庭裁判所が選任した財産管理人とAさんとC子さんとの間で適法に遺産分割協議を行うことができます。
また、一定の条件が合えばBさんに対して「失踪宣告」を申し立てることも可能です。
失踪宣告とは不在者の生死不明の状態が一定期間経過した場合に申し立てることにより、失踪宣告がされた者は法律上死亡したとみなされる制度です。
普通失踪では7年間の期間生死不明の状態が継続すると家庭裁判所が失踪宣告をすることができます。
不在者は、住所または居所を去って行方不明になっていることが必要ですが、生死不明であることは不要でその場合に不在者の財産管理人を選任することができます。
相続人の一人が行方不明であったために失踪宣告を受けた者が遺産分割協議後に
行方が判明し、失踪宣告が取り消された場合はその相続人は遺産分割で遺産を受けた者に対してその者が現に利益をうけている限度で返還を請求することができます。
現に利益を受けている限度というのは、例えば、遺産を分割協議により受けた者が遺産を浪費した場合には返還を免れるということです(例:現金を遺産として取得した者が競馬や競輪で現金を消費してしまったというような場合です)