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自分を曲げない信念

(C)2017 Papillon Movie Finance LLC.

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パピヨン


金庫破りのシャリエール、通称「パピヨン」(チャーリー・ハナム)は組織に裏切られ、無実の罪で終身刑となる。仏領ギアナの離島の刑務所に収監されたパピヨンは控訴しても勝てないと確信。脱獄を決意し、偽札造りで有罪となった囚人ルイ(ラミ・マレック)に接近する。


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実在のアンリ・シャリエールの自伝が原作。1973年、ダルトン・トランボ脚本、スティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマン主演で製作されたのに続き二度目の映画化。マックイーン→ハナム、ホフマン→マレックという図式。初見。


73年版をほとんど覚えていないので比べようもないが、トップスターを揃えた73年版に対して本作は小粒感はある。それでも「実話」の力。生き抜いて自由を手に入れることへの執着は、生きづらい今の時代でも十分に響く。


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実話ベースなので、派手な仕掛けやトリック、友情や裏切り、奇跡の大逆転等々の演出は一切なし。脱獄方法も「それで脱獄できたの?」とあっさりで、途上の苦労話や脱獄後の潜伏、組織との関わりなどにもノータッチ。一見地味な作品ではある。


パピヨンの選択肢は「脱獄一択」。パピヨンの自由への渇望とルイとの関係性のみが淡々と描かれる。心理描写の説明不足でエンタメ性が薄いととも取れるけど、説明しすぎてないのが昔っぽくて、むしろ作品の硬度を上げてる気もする。


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パシフィックリム」のハナムがパピヨン。トム・ハーディー、チャニング・テイタムらとのキャラ被りしてるか…もう少し人気が出ても良さそうなのにね。2年間の独房生活で痩せ細った肉体にビビる。序盤のマッチョとのギャップが役者魂。


ボヘミアン ラプソディ」で一躍スターの仲間入りする直前のマレック。繊細な役柄はお手のもの。その後も「007ノータイム トゥ ダイ」、「アムステルダム」等々好調維持。ちょっとだけ出演のイヴ・ヒューソンはU2ボノの御息女なんだって。


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正しいことが通用しない…日常でもよくあるよね。抵抗しても変わらないなら長いものに巻かれてしまえ、というのがありがちな結論。どうにもならない刑務所は、どうにもならない社会と置き換えると、今、本作が映像化された意図も見えてくる。


「自分」を曲げて長いものに巻かれることを、どうしても受け入れられない。それなら、その場から抜け出すという選択肢もある。どんな状況でも信念を持ち続ける姿は「ショーシャンクの空に」とも共通。「自分勝手」と「自分を曲げない」は違う。



 DATA

監督:マイケル・ノアー/脚本:アーロン・グジコウスキ/原作:アンリ・シャリエール

出演:チャーリー・ハナム/ラミ・マレック/ローランド・ムーラー/トミー・フラナガン/イヴ・ヒューソン/ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン



hiroでした。



パシフィック リム←チャーリー・ハナム主演


ボヘミアン ラプソディ←ラミ・マレック主演


ショーシャンクの空に←脱獄映画の金字塔