4人は立ち止まり、振り返る。歩んできた30年の道を。この場所に立つことすら3年ぶりである。共に歩んだファンと会い、一緒に歌うことすら許されなかった。状況は少しだけよくなった。さぁ行こうか、40年、そして50年、半世紀に向けて。
Mr.Children結成30周年ツアー「半世紀へのエントランス」。30年とはいえ、僕が初めて彼らのライブに参加したのは2011年「SENSE」ツアーなのだから、30年の歴史のうち3分の1程度しか共には歩んでいないことになるのだが。
3年ぶりのライブ参加は日産スタジアム。ファンの間で語り継がれる2015年「未完」ツアー雨中のレジェンドライブの舞台。実はその伝説に参加しており、おかげで11年のファン歴にも関わらず彼らの濃度は高いと自負している。
定刻、オープニングビジュアルが映し出され、3時間のステージが始まる。「終わりなき旅」「名もなき詩」で冒頭からロケットスタート。桜井和寿が言う。「僕たちがMr.Childrenです」とまるでルーキーのように。
「海にて、心は裸になりたがる」が声を出せない会場をひとつにする。さらに「シーソーゲーム-勇敢な恋の歌-」「innocent world」と幾度となくライブのクライマックスを飾ったスーパーチューンが続き、働く人々のテーマソング「彩り」へ。
3年の間、ファンが聴きたかった曲たちを惜しげも無く披露する。そうか、これは彼らが演奏したかった曲でもあるわけだ。Mr.Childrenは距離がとても近いと思っている。メンバーとスタッフとファンが一体になってライブを作っているのだと。
ここ十年、僕の人生のラストスパートに向けて本当にいろいろあった。思うのだが、Mr.Childrenのファンの方々は、いろいろあった方、もっと言うと失敗や挫折を経験した方が多いのではなかろうか。みんなそうだとは思っちゃいないが。
世の中に失望したり、自分が嫌いになったり。「それでもいいよね。あなたはあなた。弱いあなたも含めて、僕らはあなたを信じてます。僕らだって同じだから」…彼らの詞は言い方こそいろいろだが、そんなふうに語っている曲が多い気がする。
コロナ禍、活動がなくなり、一度退会したファンクラブ。ツアー再開の今回は一般枠でのエントリーだったが、運良く一回で取れた。スタンド席で、同じ思いのファンの方々に囲まれ、4人の喜びに溢れたパフォーマンスに触れた。濃度はまた濃くなった。
Mr.Children史上屈指のライブを終えてもう半月。ロスは激しくなるばかり。毎日、Spotifyで作ったセットリストを聴いて過ごしている。やはり彼らはいつもそばにいてくれる。彼らと共に半世紀ライブを祝うその日まで生きなきゃ。
最後に胸に刺さり続けるパワーフレーズをいくつかご紹介して締めます。
hiroでした。
知らぬ間に築いてた
自分らしさの檻の中でもがいてるなら
誰だってそう 僕だってそうなんだ
笑っていても 泣いて過ごしても
平等に時は流れる
未来が僕らを呼んでる
その声は今君にも聴こえていますか
誰が指図するでもなく 僕らはどこへでも行ける
そうどんな世界の果てへも
気ままに旅して廻って
そして僕はこのままで 微かな光を胸に
明日も進んでいくつもりだよ いいだろ?
なんてことのない作業が 回り回り回り回って
今僕の目の前の人の 笑い顔を作っていく
知らぬ間に増えていった荷物も
まだなんとか背負って行けるから
君の分まで持つよ だからそばにいてよ
誰の真似もすんな 君は君でいい
生きるためのレシピなんてないさ