NETFLIX


アイデンティティはシンプルに

ザ・プロム


かつて一世を風靡したブロードウェイスターのディーディー(メリル・ストリープ)も、今や舞台初日で打ち切りになるなど人気も下り坂。共演のバリー(ジェームズ・コーデン)、万年コーラスガールのアンジー(ニコール・キッドマン)、元俳優バーテンダーのトレント(アンドリュー・ラネルズ)は一発逆転のために「活動家になる」ことを決める。田舎町でLGBTs差別に悩むエマ(ジョー・エレン・ベルマン)の存在をネットで知った4人は、救済のために立ち上がる。



ブロードウェイミュージカルをNETFLIXが映画化した作品を初見。ミュージカルとはいえ配信作、と侮ってて申し訳ない。濃度の高い社会問題に壱之型霹靂一閃。原作力もあるけど、豪華キャストに胡座をかいてない、なかなかの一本。


米国のプロムは卒業を目前に控えた高校生最大のイベント。我々日本人には縁が薄いもので「バック トゥ ザ・フューチャー」で知った方も多いはず。プロムに参加できないショックは想像しにくいが、要はアイデンティティの否定だよね。


レズビアンだとカミングアウトした高校生。周囲に理解されない田舎の難しさ。対照的に多様性に寛容な都会(ニューヨーク)に暮らすエンターテイナー(うち一人はゲイ)がひとはだ脱ぐ。話題集めで始めたことがそのうち…というなりゆき。



マンマミーア」「イントゥ ザ・ウッズ」のストリープはこれが初NETFLIXかな。「イントゥ〜」で共演のコーデンは重要なキャラクター。歌はお墨付きだが演技のほうも良かった。「ムーランルージュ」のキッドマンは優しいお姉さんキャラ。


オーディションでエマ役を勝ち取ったペルマン。お初だがミュージカルあるあるな雰囲気が良い。アリッサ役アリアナ・デボーズは実は大注目。ブロードウェイ経験もあるデボーズはこの後「ウエストサイド ストーリー」のアニータ役で脚光を浴びる。


glee/グリー」などテレビ界で暴れるライアン・マーフィー監督。ライネルズの演じたトレントがテレビドラマを皮肉ってて面白い。ハマっていたライネルズだがブロードウェイ経験は豊富。キーガン=マイケル・キーは声が素敵。



LGBTs問題を扱う作品というと重いとかシュプレヒコール的なイメージがある。そこに陽性なミュージカルが合うのか、なんて語っているのはもう古いのかも。「ディア エヴァン・ハンセン」なんかもっと根が深いもんね。


苦境を訴えようと思えばそれもできる。だが「プロム」という華やかなワードをあえて置き、日常の中で向き合い、取り組むスタイルをとっている。アイデンティティは難しい問題ではなく、もっともっとシンプルなことなんだ。



 DATA

監督・製作:ライアン・マーフィー/製作総指揮・原作・脚本:ボブ・マーティン/チャド・ベゲリン/製作総指揮・原作・音楽:マシュー・スクラー

出演:メリル・ストリープ/ジョー・エレン・ペルマン/ジェームズ・コーデン/ニコール・キッドマン/キーガン=マイケル・キー/アンドリュー・ラネルズ/アリアナ・デボーズ/ケリー・ワシントン/トレイシー・ウルマン

*画像は映画.comより引用しています。



hiroでした。



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