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コメディ消さずに感動を呼ぶ名作、ここにあり!

(C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会

50回目のファーストキス


ハワイでツアーガイドをしながら天体研究をしている大輔(山田孝之)は、ある朝、顔見知りのカフェで日本人女性・瑠衣(長澤まさみ)と出会う。意気投合し、翌朝も会う約束をするが、翌朝、カフェで瑠衣に声をかけると大輔のことを知らないという。店員の説明で、瑠衣が事故により1日前の記憶が維持できない障害を起こしていることを知る。


(C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会


アダム・サンドラーとドリュー・バリモアW主演による同名作品の日本版リメイクを初見。オリジナルは未見。コメディの巨匠・福田雄一がなぜラブストーリーを?…と思ったが、オリジナルはいわゆるロマンティックコメディ。そういうことか。


で、拝見したのだが、何これめっちゃ良い! 正直もっとふざけた緩〜いヤツかと思ってた。こういう障害モノを面白く、って難しい。笑いを手加減すると不自然になる。普通にふざけて、普通以上に感動した本作。福田さん、見直したわ。


(C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会


実話がモデルの本作。流れはシンプルな純愛。何回だって声をかける…とかストレートな行動だけだと「自己満足」で終わる。そこから一歩進める策があったからこその感動。リメイクの本作しか知らないが、お話的には大満足の出来。


原動力は山田くん。なんか可笑しいんだけど、振り返ってみると終始真面目な演技。何でもできる山田くんの実力に加え、真面目の中の滑稽(例:「勇者ヨシヒコ」)を自然に体現できるキャラ力。これができる人は、そう多くない。


(C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会


何気にカギだったのが太賀(現・仲野太賀)。ゼロ真面目で最後まで通した福田作品らしいキャラを配置したことで、佐藤二朗はツッコミに専念出来た。ムロツヨシも福田作品キャラを消すことなく要所を締められたし。空気を作ったMVPではないか。


ヒロイン長澤はこんな福田組の面々に身を任せるのみ。笑いは取らなくていいので「いつも通り」やってれば、あとは周りが何とかしてくれる。最高のチーム。全国の映画ファンの妹であり娘である山崎紘菜もガッツリ食い込んでて好印象。


(C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会


「一歩進める策」としたが、これがまたうまいのだが(元ネタも似たような感じ?)、時間が経つにつれてどんどん蓄積されて大変よね。ま、絵を描いてた時点で改善は匂わせていたし、希望のある終わり方なので好きです。


病気や障害を扱う作品は「重い」と敬遠されがち。こういう作品がもっと出てくると選ぶ側も「決めつけ」は危険。同時に「お涙頂戴」の定型を作っていればいいわけではなくなってきた作り手側のハードルも上がったかもね。



 DATA

監督・脚本:福田雄一

出演:山田孝之/長澤まさみ/ムロツヨシ/勝矢/太賀/山崎紘菜/大和田伸也/佐藤二朗



hiroでした。



大洗にも雪は降るなり←福田×山田のタッグ


銀魂←福田×長澤!