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あなたはつまらない大人、ですか?

(C)2021 C&Iエンタテインメント

ボクたちはみんな大人になれなかった


2015年、テレビ番組の制作会社に勤める誠(森山未來)は、あるパーティー会場でかつて共に働いていた関口(東出昌大)が来ていると聞くがすれ違ってしまう。その夜、眠れずにネット検索していると若い時に付き合っていたかおり(伊藤沙莉)のフェイスブックにたまたま辿り着く。「ふつう」を嫌っていたかおりのアップする写真は「ふつう」の今を映し出していた。


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NETFLIXオリジナル作を初見。ミレニアムに沸いた20世紀末からコロナに見舞われた2020年までを俯瞰する。たった二十数年だけど、時代は大きく変わった。その時代を生きた人間も、だ。僕より少し若い設定だが、この空気感はかなり好み。


徐々に時代を遡る構成。若い頃は皆尖っているが、時代に呑み込まれ、翻弄され、やがて棘も鋭角さも失っていく。結果今の「つまらない大人になってしまった」とため息をつくわけだ。我々世代には身につまされる話だったりする。


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「ふつう」が嫌だった。「ふつう」というより「みんなと同じ」が。きっとどこかで思ってたんだろう…「自分は特別」なのだと。みんなと同じ服を着たくないというのがよくわかるので伊藤に共感。取引先の理不尽にマヂでキレる関口にも。


小さいこだわりでも、それが自分が自分である証。そういうものを捨てるのが「大人になる」ことなのか。主人公誠はあえて「つまらない大人」と言う。「つまらなくない大人」になりたい僕も、いつの間にか誰もが着ているUNIQLOコーデだ。


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「ダンサー」の肩書き封印の森山が20代からアラフィフまでを演じる。20代は特殊メイクでツルツル美肌を再現しているが、記憶にある「ウォーターボーイズ」の頃とは違う顔。相棒東出は若い役も違和感なし。ナイスキャスティングかも。


勢いが止まらない伊藤。周囲にいそうな親近感という最大の魅力を遺憾なく発揮。SUMIREが役者として爪痕を残した。奥野瑛太大島優子は贅沢なキャスティング。ゲイ役篠原篤が重要な立ち位置を超熱演。助演男優賞に推挙したい。


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「大人なんだから」「いい大人が」…組織の中で自己犠牲や諦めを強いる時の呪文だ。「つまらない大人になってしまった」と嘆く主人公。組織の中でも「ブレない自分」を持ってさえいれば「つまらない大人」にはならないのではないかな。


ラスト「…大人になれなかった」のテキストを修正しようとしている。「あなたはどう直す?」と投げかけている気がした。雰囲気は良いがストーリーは若い。もっと希望を持っていいよ。



 DATA

監督:森義仁/脚本:高田亮/原作:燃え殻

出演:森山未來/伊藤沙莉/東出昌大/SUMIRE/篠原篤/平岳大/片山萌美/岡山天音/奥野瑛太/高嶋政伸/ラサール石井/萩原聖人/大島優子/原日出子



hiroでした。



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