#1 1/1 TOHO_YOKOHAMA

佐田の弁護士としての矜持

(C)2021「99.9 THE MOVIE」製作委員会

99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE


ある事件の調査を進める班目法律事務所の深山(松本潤)、河野(杉咲花)らは被害者遺族の民事訴訟に、依頼人の利益のために方法を選ばない弁護士南雲(西島秀俊)が関わっていることを知る。南雲のやり方に不満を抱く所長の佐田(香川照之)だったが、15年前の事件で担当していた南雲が不可解な行動をとっていたことが気にかかる。


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ドラマシリーズの劇場版。ドラマ未見だが家族の横でチラ見してたのでだいたいは把握。本筋はドラマで完結してるので、本作は後日談として観ることができる。直前放送されたSPドラマも大きな伏線にはなってないので未見でも安心を。


心配だったのは「松潤映画じゃね?」の不安。アイドル主演作(キムタクとかね)にありがちな監督はじめ製作陣が主演アイドルに気を遣っちゃうやつ。本作は脚本がドラマでは深山の引き立て役だった佐田をインスパイアしてたのでセーフ。


(C)2021「99.9 THE MOVIE」製作委員会


テレビは主役がすべて。一人の活躍でみんなを助けちゃう。わかりやすいのでテレビではありだが、お金をかけて多くの俳優陣を揃える映画はちがう。ふだんはのび太と仲がいいとは言い難いジャイアンやスネ夫が活躍するのが「映画版」なのだ。


本作で大活躍する佐田。いつもはダメな佐田の弁護士としてのプライドが際立つ。いつもディスっている妻と娘の佐田への想いもサラッと挿入。「あんなだけど必要なキャラなんだよ」で終わらせていたドラマ版との大きな違いだ。


(C)2021「99.9 THE MOVIE」製作委員会


その佐田を演じる香川。脇で光るのはご存じのとおり。テレビではテレビの、映画では映画の光り方を熟知している。深山の相棒になる杉咲。昨年はたくさんのレビューを書かせていただいた。「楽園」は今まであまりやってない新境地だった。


西島はSP版ではクセ強だったが本作はマイルド。蒔田彩珠は朝ドラブレイクの勢いそのまま。主演松潤はいい素材なので、一役者としてもっともっと映画経験を積んでほしい。榮倉奈々木村文乃はゲストなのでいなくても成立する役(笑)


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佐田推しの脚本で映画化は成功。スケール感や熱量はセーブして、いつもどおりの軽さを踏襲したドラマファンにも安心の出来。そもそも監督の木村ひさし、「トリック」出身だものね(笑)。ご家族みんなで楽しめる一本ナンデス!


アイドル主演作品…ホントいつも思う。下に置かない気遣いや忖度は主演俳優のためにならないよな、って。せっかくいいものを持っている俳優を潰してるのはそういう忖度なんじゃないかと思うんだけどね。



 DATA

監督:木村ひさし/脚本:三浦駿斗

出演:松本潤/香川照之/杉咲花/西島秀俊/蒔田彩珠/高橋克実/ベンガル/道枝駿佑/渋川清彦/片桐仁/マギー/馬場園梓/馬場徹/池田貴史/岸井ゆきの/映美くらら/畑芽育/榮倉奈々/木村文乃/青木崇高/石橋蓮司/岸辺一徳/奥田瑛二/笑福亭鶴瓶



hiroでした。


陽だまりの彼女←の松潤が好き


楽園←花ちゃん覚醒作


トリック←のシリーズにかかわっていた木村監督