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まともじゃないのは誰だ?

(C)2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

まともじゃないのは君も一緒


クラスメイトの噂話にも熱中できず、どこか覚めている高校生の秋本(清原果耶)は、予備校の担当講師・大野(成田凌)のズレている生き方を「普通じゃない」と指摘する。「普通」を知りたい大野は秋本に普通の恋愛指南を依頼する。実業家の宮本(小泉孝太郎)を敬愛する秋本は大野に「練習」として宮本の婚約者(泉里香)を口説くよう仕向ける。


(C)2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会


初見。面白かった! アバンギャルドな雰囲気を醸すタイトルながら中身はライトな恋バナコメディ。複雑な話でなくコンパクトな尺なので、確実に連ドラよりも映画向き。普通じゃない予備校講師と普通っぽい高校生の会話に笑いが漏れる。


耳年増な高校生秋本はよく見かけるキャラ。本作の核は間違いなくその相棒である大野。主人公にはあまりないキャラという意味で「ヲタ恋」ヒロタカと同じ毛色かも。そんなキャラを生み出したのが原作なしのオリジナル脚本というのが嬉しい。


(C)2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会


「普通」という言葉に以前から敏感。「普通はAでしょ」と言われると「普通って何?」と返したくなる。「普通」は多数派、または平均でしかない。多数派に属さない人を「普通じゃない」と括るのは大嫌い。なので本作、笑いながらかなり刺さった。


「普通」を目指す大野に指南する秋本だが「なんで?」と聞く大野に返す言葉がない。そう、大野の疑問は物事の本質を突いてくるので痛快。「普通」の窮屈さや無意味さ。それに気づく秋本は素直なんだと思う。二人のやりとりがとても心地いい。


(C)2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会


成田と清原のW主演。成田はコメディアンとしての素質を披露。よく演じる斜に構えたちょいワル役より圧倒的に好き。「コードブルー」のオドオドキャラもできるのだから、成田の大きな振り幅は今後も期待。次は何を見せてくれるのか。


先だって主役朝ドラを完走したばかりの清原。本作でもストーリーを引っ張る。「アタシはナニをしてるんだ!」とクダを巻く高校生に大爆笑。清原の疾走はまだまだ続く。小泉が爽やかじゃない役で珍しい。泉の雰囲気は良い。


(C)2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会


「まともじゃないのは君も一緒」の「君」は秋本のことなのか。いや「普通じゃないのが変だったらみんな変」なんだと勝手に思った。自分の「変」ってつまり「個性」かと。みんなが「普通」だと同じ人ばっかでつまんなさそう。


「他人と違う生き方はそれなりに大変だぞ」…「耳をすませば」の雫の父の言葉を思い出す。同調圧って昔からある。多様性の時代と言われる今だってある。普通の生き方を望む人はどうぞ。僕は普通じゃなく(自分らしく)生きたいな。



 DATA

監督:前田弘二/脚本:高田亮

出演:成田凌/清原果耶/山谷花純/倉悠貴/泉里香/小泉孝太郎



hiroでした。



コードブルー←成田凌のオドオドキャラ



ヲタ恋←個性派の時代よね!



3月のライオン←清原果耶出演