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ストーリーにリンクする楽曲が響く

(C)2019「さよならくちびる」製作委員会

さよならくちびる


ハル(門脇麦)がレオ(小松菜奈)に声をかけて始まったギターデュオ・ハルレオ。ローディーにシマ(成田凌)を迎え、インディーズとして成功への道をたどっていた矢先、二人は解散を決意。最後のツアーに出発する。


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会


秦基博とあいみょんが楽曲提供している音楽映画を初見。三人寄れば色々とあるのがエンタメドラマの定石。本作も三者三様の想いがすれ違う。それでも「音楽」というひとつの共通項が三人を結びつけ、離さないでいる。


互いに「言わず」にいることで微妙なバランスをとっている。それがまたもどかしい。全国のライブハウスをめぐる解散ツアーのあいだ中、大きな事件もなく付かず離れずが繰り返される。描かれているのはひたすら内面だ。


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会


小出しの回想をつないでそれぞれの関係性を描く構成。ヘビーな話ではあるのだが、大きな展開にはならない。解散を決意した理由も徐々に見えてくるのだが、ラストで「え?」となる。オチが甘い雰囲気映画ではある。が、不思議と心に残る。


音楽が響いたからだ。ライブシーンが多い。繰り返し歌われる3曲の楽曲が良い。それが秦基博のタイトル曲とあいみょんの2曲。口下手なハルが本当の自分やレオへの想いを書いた曲たち。流して聴いてちゃ伝わらない。観るなら詞に注目。


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会


菜奈ちゃんと麦ちゃんがW主演。当然劇中で演奏して歌うのだがこれがまた味がある。俳優はギターも弾けて歌も上手くないといけないのだからすごい。この二人、劇中ユニット名で曲をリリースしているのでDLしちゃったよ。要チェック。


クールとベイビーフェイスを使い分ける成田くん。本作ではクール側。3人共通なんだけど、少ないセリフでの心情表現だったから、簡単じゃなかったと思う。本作はロードムービー要素が強かったのでほぼ3人劇。3人の演技を堪能できる。


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会


オチの投げ出した感は、ストーリーにリンクした書き下ろし楽曲が良いのでもったいない。ただ、音楽映画好きにはそれで許せてしまう。音楽映画の「音楽」がいいのは当たり前? 数ある音楽映画の中、本気でいいと思えるのは案外多くはない。


楽曲の高い完成度。作品の空気にマッチしたアレンジ。キャラクターの心情や状況にリンクする詞。曲の好き嫌いはあるだろうが、僕にとって本作は間違いなく「本気でいいと思える」そのうちの一本だ。



 DATA

監督・脚本・原案:塩田明彦

出演:小松菜奈/門脇麦/成田凌/松本まりか/マキタスポーツ



hiroでした。



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