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観終わったらラーメンが食べたくなる

南極料理人


南極地域観測隊の調理担当・西村(堺雅人)は昭和基地から1000キロ離れたドームふじ基地で、気象学者のタイチョー(きたろう)、雪氷学者の本さん(生瀬勝久)とサポートの大学院生・兄やん(高良健吾)、大気学者の平さん(小浜正寛)、車両担当の主任(古舘寛治)、通信担当の盆ちゃん(黒田大輔)、医療担当のドクター(豊原功補)のプロフェッショナルたちと共にウイルスすら生存できない過酷な環境で任期を過ごす。



沖田監督の長編デビュー作を再見。極限状態のなかを「決死のサバイバル」ではなく普通に仕事し普通に暮らせるのは普通に3食食べられるから。元越冬隊員西村淳氏の実話エッセィ「面白南極料理人」を元ネタにした映像作品。これ大好き。


何がいいって「ゆるい」。愛と感動はない。原作で語られるあんなエピソードこんなエピソードをかき集め、「過酷なんだろうな」という日常をゆるく描いている。いや、ホントは過酷なはず。それでも食べるって大切なんだ、日常って重要なんだと。



過酷なことは伝わる。平均マイナス50度以下の世界では持ち込める食材も限られるし、栽培もできない。隊員は工夫で生きる。8人の隊員が各分野のエキスパートであり、その知識をもってすればラーメンだって作れる(笑)。知は人間の武器である。


その限られた食材と調理方法で作られた料理たちがキモ。飯島奈美の名とフードスタイリストという仕事を知らしめたレシピの数々は必見。そのすべてが原作エッセイでも紹介されているので、ご一読を推奨。ラーメンが食べたくなること必至。



堺くんがゆるい系の好演。というか僕はゆるい系の方が好きだったりする。本作では最高の「へ?」。当時駆け出しの高良くんも若者枠で若者ゆえの苦悩も披露。生瀬さん、きたろうさんがしっかり締めてくれるのは安心。豊原さんが最高のスパイス。


古舘さん、黒田さん、小浜さんの脇になりそうな方々も有名俳優と均等な扱い。これに応えるベテランの味も堪能。子役小野花梨の唯一涙を誘うシーンでの「なんで」の間は最高。もしかしたら母役西田尚美のような名脇役になるかもしれない。



太陽が上らなくなり、少しおかしくなっていく流れは、極地ってやっぱり怖いと思う。メンタルでも朝の日光は重要だしね。毎日太陽の光で目覚め、3食食べて、仕事して、日が沈めばお風呂に入り、ぐっすり眠れる。そんな当たり前は素晴らしい。


コロナ禍の生活は何かと制約がある。そんななかでも工夫する。できなければ方法を変える。一人ひとりが持っている「知」を出し合って、前に進む方向に使ってみれば、なんとか乗り越えられるのでは。ってゆる〜いコメディを観ながら思った。


ちなみにロケ地は北海道網走市(笑)



 DATA

監督・脚本:沖田修一/原作:西村淳/フードスタイリスト:飯島奈美/音楽:阿部義晴

出演:堺雅人/生瀬勝久/きたろう/高良健吾/西田尚美/古舘寛治/黒田大輔/小浜正寛/小野花梨/小出早織/宇梶剛/嶋田久作/豊原功補



hiroでした。

画像は「Yahoo!映画」より引用。



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