#13 7/14 TOHO_HIBIYA
おかしい世の中から目をそらしてないか
プロミシング ヤングウーマン
昼間はコーヒーショップで働き、夜はバーで泥酔したふりをして男を誘うカサンドラ(キャリー・マリガン)。以前は医師への道を夢見ていたカサンドラだったが、今は夢を捨て、ある目的のために行動していた。ある日偶然コーヒーショップを訪れた医大時代の同期ライアン(ボー・バナム)と再会し、ランチに誘われたカサンドラ。デタラメな電話番号を教えて無視するとライアンは再びコーヒーショップに顔を出す。
(C)2020 Focus Features
アカデミー賞で旋風を巻き起こした注目作。ようやく日本公開が決まり、本公開前の先行上映で少し早く観賞。あらすじを読んでもよくわからなかったのであえて最小限の事前情報でトライ。うむむ、これは困ったぞ。何を書いてもネタバレじゃないか。
ジャンルすら真っサラで観賞。コメディタッチで始まり、スリラー、ミステリー、サスペンス、ロマンス…そしてラストは衝撃。エンタメ的な面白さがあるのにテーマは重い。目まぐるしく変わる空気にカサンドラの表情もどんどん変わる。
(C)2020 Focus Features
そう、重い。根が深く、現代も解決していない大問題がテーマ。若かったから、そこにいたけど何もしてないから…どんな理由を並べても言い訳に過ぎない。それなのに悪くないと主張する男たち。お願いがある。男はみんなああだとは思わないでほしい。
本作はスルーする女たちも描く。人の嫌なところをガッツリ見せつけてくる。正しいか正しくないかは歴然。正しいことを正しいと言えない世の中。間違ったことがまかり通る世の中。おかしいことはみんなわかっている。あとは発言し行動すること、だ。
(C)2020 Focus Features
本作でオスカーにノミネートされたマリガン。演技巧者なのは若手の中でも折り紙付き。ここでも1作品の中で変幻自在にいろんな顔を見せてくれるマリガンは製作総指揮にも関わる力の入れよう。恋人役バナムは監督業もやっているそうだ。
監督・脚本のエメラルド・フェネルは「リリーのすべて」などにも出演する俳優。アカデミー賞らしくない過激な作品ながら脚本賞を受賞。監督デビューは好発進。製作には「スキャンダル」のマーゴット・ロビーという強い味方も名を連ねる。
(C)2020 Focus Features
「悪を懲らしめる」という意味では痛快なラストなのだが、あれしか方法はなかったのかと思うと悲しいよね。ハッピーエンドとは言えない結末。あんなことしなくても解決する…いや、そんな事件すら起きない世の中に早くなれば良いのに。
類似事件だけじゃない。いじめやハラスメントにも通じるメッセージ。知らないうちに加害者にもなりうるのだから、目を背けてはいけない。推論だったり感想だったり…書きたいことはいくつかあるがネタバレになる。わからない部分はご容赦を。
*体験的に不快を覚える方は観賞を中断してくださいね。
DATA
監督・脚本・製作:エメラルド・フェネル/製作:マーゴット・ロビー/製作総指揮:キャリー・マリガン
出演:キャリー・マリガン/ボー・バーナム/アリソン・ブリー/クランシー・ブラウン/ジェニファー・クーリッジ/ラヴァーン・コックス/コニー・ブリットン
hiroでした。