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その勇姿 目に焼き付けろ 心に刻め

ブラック・ウィドウ


父アレクセイ(デヴィッド・ハーバー)、母メリーナ(レイチェル・ワイズ)、妹エレーナ(ヴァイオレット・マッグロウ)と共にアメリカで暮らすナターシャ(エヴァー・アンダーソン)。普通の家族に見える4人の正体は東側スパイの偽装家族だが、当局に露見してミッションは終了。偽りの家族は解散する。21年後、ナターシャ(スカーレット・ヨハンソン)はさまざまな経緯を経てアベンジャーズの一員になるが考え方の相違でチームは二分。ナターシャは一人逃亡の旅路にいた。隠れ家で何者かの襲撃にあったナターシャはエレーナが送ったであろう荷物を見つける。


待ちに待ったMCU作品がようやく公開。MCUでは「スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム」から2年空いたことになる。しかも「アベンジャーズ/エンドゲーム」の後に公開されるブラック・ウィドウのピン作品。彼女の勇姿を目に焼き付けよう。

MCUは「全部は観てない」というのを境に新作を観るか観ないか二分される。本作、過去作ネタは多いがベースのストーリーとの関係は薄い。「ネタはただの背景」と仕分けすれば一見さんも参戦は可。ビームなしの生身アクションが堪能できる。


常連さん向けサービスも満点。シリーズ時系列では「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」と「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の間。その前後のメンバーの動きもチラチラ見えて、キャラいじりも満載。たしかにわざとやってるかも(笑)

ベースにあるのは「家族」。アベンジャーズを「家族」と呼ぶナターシャのもうひとつの家族。どちらも血ではなく絆だけで結ばれた家族。一度壊れた偽りの家族は絆を取り戻せるのか。その答えはバラバラになったアベンジャーズの希望でもある。


衝撃だったエンドゲーム後の本作は本当に嬉しい。ヨハンソンの一挙手一投足から目が離せない。あのポーズは永遠にナターシャのものだ。ハリウッド注目のフローレンス・ピューがエレーナ役で早くもMCU登場。テレビシリーズ(?)で続投か。

女王陛下のお気に入り」のワイズは初のMCU。演技派としての十分な名声を獲得した後の出演は嬉しい。「ヘルボーイ」のハーバーはいい役でしかもこんなにセンターという。タスクマスターがボンドガールのオルガ・キュリレンコだったとは。


公開が決まっては延期の繰り返し。さらに同時配信の問題で日本での劇場公開すら危ぶまれた。何とか公開に漕ぎ着けたもののTOHOのスクリーンにはかからず限定的な公開。「ムーラン」「クルエラ」…この先もこの問題は続くのだろうか。

小さいナターシャやエレーナが大きなスクリーンで躍動。ラストの空中戦はスクリーンならではの臨場感だ。劇場鑑賞に勝る映画体験はない。それが十分すぎるほど伝わる本作。配信では面白さ半減。ぜひ劇場で。


DATA
監督:ケイト・ショートランド/脚本:エリック・ピアソン
出演:スカーレット・ヨハンソン/フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/エヴァー・アンダーソン/ヴァイオレット・マッグロウ/オルガ・キュリレンコ/ウィリアム・ハート/レイ・ウィンストン/レイチェル・ワイズ


hiroでした。