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夢のあるファンタジーに練り込んだ想い

E.T.


地球人にみつかり慌てて逃げ出した宇宙船。逃げ遅れて地球に一人取り残されてしまった異星人は地球人の少年エリオット(ヘンリー・トーマス)と出会う。純粋なエリオットは異星人の存在を受け入れ、E.T.と名付けて匿うことにする。兄(ロバート・マクノートン)、妹(ドリュー・バリモア)の協力でE.T.の通信装置が完成するが、地球人の追跡チームがエリオットらに迫っていた。


(C)UNIVERSAL PICTURES/McBROOM, BRUCE

/Album/Newscom


スピルバーグの地位を確固たるものにした名作。もはや説明も不要。1982年、空前のブームのなかスクリーンで体験できたのはベテランの特権。もう数え切れないほど観ているのだが、改めて再見してレビューを書いてみる。


1977年、2本の名作が誕生する。ルーカスの「スターウォーズ」とスピルバーグの「未知との遭遇」だ。「スター〜」は宇宙人を魅力あるキャラクターとし、「未知〜」では宇宙人との友好的な遭遇がテーマだった。この2本がヒットした意味は大きい。


それまでの宇宙人は凶暴で地球侵略の敵であるのが常。宇宙人と地球人が握手するのが「未知〜」なのだがサスペンスベースなので対象は大人。1982年の本作では宇宙人と接触するのを一般の子どもとしたことでファミリー層にも受けて大ヒット。


(C)UNIVERSAL PICTURES/McBROOM, BRUCE

/Album/Newscom


当時、宇宙人との接触を公表しようとしている米政府が一般国民の衝撃を和らげるためにスピルバーグに作らせたのでは…なんて都市伝説まで存在した。それだけ衝撃的なストーリーだったということ。若い方々にはピンとこないかもしれないけど。


序盤、ママ以外の大人の顔が出てこないことは今回気付いた。子ども目線の心象なのだろう。子どもにしたら大人はE.T.を捕獲するワルモノ。終盤、研究者の真摯な姿勢が明かされて、ようやく顔を晒す、というしくみ。物語の主人公は子どもなのだから。


なのでキャストも子どもたちメイン。エリオット役ヘンリーはパッとしないながら、今も地道に俳優業継続中。妹役ドリューがその後大成功したのは有名な話。「アウトサイダー」のトーマス・ハウエルがチョイ役なのでお見逃しなく。


(C)UNIVERSAL PICTURES/McBROOM, BRUCE

/Album/Newscom


面倒な世の中だ。相手を誤解したり先入観で決めつけてしまったり。そこに私利私欲が混入し物事をさらに複雑にする。E.T.が体現しているのはマイノリティであり弱者である。自分と違うというだけで知りもしないのに排除しようとしてないか。


本作で描くのは少年の成長ではない。少年は少年のままである。幼い子どもの純粋さは全宇宙の共通認識であり、かつては誰もが持っていた澄んだ心。それを見失わなければ、差別も半目も戦争さえも起きないのではないだろうか。


面倒な世の中は、そう見えているだけ。実はもっと単純なのかもしれないね。



 DATA

監督・製作:スティーヴン・スピルバーグ/脚本:メリッサ・マシスン/製作:キャスリーン・ケネディ/音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演:ヘンリー・トーマス/ロバート・マクノートン/ドリュー・バリモア/ディー・ウォレス/ピーター・コヨーテ/トーマス・ハウエル



hiroでした。



ジョーズ←USJでもお馴染み!


SUPER8←E.T.を怖くするとこうなる!


レディ・プレイヤー1←スピルバーグ×少年の近作