WOWOW鑑賞


レビューになってませんが(笑)

ちょっと今から仕事やめてくる


過剰なノルマと叱責と残業に追われる隆(工藤阿須加)。「明日なんか来なくてもいい」と思い、駅に入線する電車に引き込まれそうになった時、見知らぬ男(福士蒼汰)に助けられる。「ひっさしぶりやなぁ」と言うその男は小学校の同級生のヤマモトと名乗り、飲みに行こうと強引に誘ってきた。それをきっかけに二人はたびたび会うようになる。



自分に価値を見出せなくなり魔がさした隆。上がれば上がるほど膨れ上がる期待に潰されそうな五十嵐(黒木華)。彼らの心の内がわかりすぎるほどわかって痛い。ちょっと観てらんないかも、とスクリーンを回避したのだが、とても優しい作品だった。

ブラック企業を題材にしてるのに企業を責めてはいない。一番言いたかったことは「ヤマモト」であろう。人は追い込まれると視界が狭くなり、道を見失う。本人はそれに気付けない。誰かが言ってあげないといけない。その誰かがヤマモトなのだと。


辞めればいい。第三者が見れば答えは明白だ。が、当人は生活もあり、辞める=逃げると思い込み、その選択肢は最初からない。「仕事変えたほうがええんちゃう?」と言うヤマモトの問いに、しがみついてまでやりたかったことなのか…とやっと考える。

もうひとつ印象的なセリフ。「やめる」決意をしてもなお後ろめたい隆。「やめようと思うんだけど」という隆に「いいんじゃない」といともアッサリと言う母。隆は「そうか、やめていいんだ」と解放される。ジワっと目頭が熱くなるシーン。



僕の場合は「過剰な期待」。「you can do it!」が日常。意識を高くキープすることで、もちろん見返りも享受したけど…「これはオレか?」。価値観を捻じ曲げてまで登りつめた先にあるものって、そこまでして手に入れる価値のあるものなのか。

気付かせてくれる人ってすごい重要。僕の場合も異変に気付いて教えてくれた人がいたし「やめていいんだ」ってシーンはリアルにあった。「隆」は日常にたくさんいる。いつもと違う、と気付いた方は、どうか教えてあげてください。


レビューのつもりが実体験の話。そうなるとは思ったけど(笑)。蒼汰くんは難役。雑味が個性ではあるけど、着実に力もつけてるね。本作の出来も、最後のくだりはいるのかなーと思った以外は優しくまとめた良作。


僕ですか? まだなんとか辞めずにいられてます。微妙な立場ではあるけど、とりあえず「辞めちゃいけない」って呪縛からは解放されてる。僕にもヤマモトがいてくれて良かった。感謝。



 DATA

監督・脚本:成島出/脚本:多和田久美/原作:北川恵海/音楽:安川午朗

出演:福士蒼汰/工藤阿須加/黒木華/森口瑤子/池田成志/小池栄子/吉田鋼太郎



hiroでした。



僕は明日、昨日のきみとデートする ←蒼汰主演


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