NETFLIX鑑賞

軽妙なタッチと手作り感と最高の音楽

フィフス・エレメント


すべてを滅ぼす謎の生命体が地球を目指して進行していることを知った宇宙連邦は、地球を守る最終兵器を起動する第五のエレメントとなる人物の存在をコーネリアス神父(イアン・ホルム)から聞く。ところがその人物(ミラ・ジョボビッチ)を乗せたモンドシャワン人の宇宙船は攻撃を受けて墜落。エレメントは残った体の一部から再生されるが、政府の施設から逃亡し、元特殊部隊のタクシー運転手コーベン(ブルース・ウィリス)に助けられる。


ひっさしぶりの再見。当時はブームと言っていいほどスクリーンの中で何度も危機を迎えていた地球。その大半はドーンとド派手なCGモノ。人類存亡の危機を手作り感と軽いテンションで描き切った本作は異色作であり超エンターテインメント。

リールーの魅力が本作をリードする。無垢さは「レオン」(←未見)。「ブレードランナー」のレプリカントも連想。演じたミラは「バイオハザード」のずいぶん前。「ジャンヌ・ダルク」にも続けて主演したのだから、ベッソンさまさま。



本作、音楽がとても凝ってる。カリスマDJルビー・ロッドのラップ(?)はまるでミュージックビデオ。ビジュアルがプリンスなのはいうまでもなく、楽曲中にはマイケル・ジャクソンやライオネル・リッチーのパク…引用も。80s世代にはたまらん。

終盤、クライマックスのコンサートシーン。登場する宇宙の歌姫のパフォーマンスも驚愕。歌姫役マイウェン・ル・ベスコは当時のベッソン妻だが、歌声はフランスの有名オペラ歌手インヴァ・ムラの吹き替え。納得。未編集で聴けるサントラはオススメ。



リールーのミラは前述のとおりで、主演を食う存在感。その主演、汗くさ王ウィリス演じるコーベンは「ダイハード」のジョン・マクレーンが見え隠れ。それを意識したであろうセリフも散見される。ロッド役クリス・タッカーも本作の空気を作る。

姿なき敵役の声はベッソンの盟友ジャン・レノだったのは今回知った。イアン・ホルム、ゲイリー・オールドマンという重鎮も軽すぎるキャラを一生懸命熱演する贅沢。特にオールドマン、その容姿も独特で彼だと知ったのは今回が初(笑)。



そんなわけでキャラのクセがすごい。すべてのキャラがだ。CAから人気歌手、警護担当まで立っていないキャラが一人もいない。パロディめいた演出もジャンジャン投入。それらがベッソンの流れるようなストーリーに乗っかってく。

テーマは「愛は地球を救う」(笑)。文字通り愛が救うのだからまんまストレートで小細工なし。でもまあテーマは「一応」。仲間は死なないし悲しい別れもない。御涙頂戴の感動がなくてもSFアドベンチャーならハッピーエンドで良い、という論法。


 DATA

監督・脚本:リュック・ベッソン/脚本:ロバート・マーク・ケイメン/音楽:エリック・セラ
出演:ブルース・ウィリス/ミラ・ジョボビッチ/イアン・ホルム/クリス・タッカー/マイウェン・ル・ベスコ/インヴァ・ムラ/ジャン・レノ/ゲイリー・オールドマン


hiroでした。