WOWOW鑑賞

コレはもう鉄板コメディシリーズか!
嘘八百 京町ロワイヤル

利休の茶器の贋作を使って骨董界の不正を暴いた小池(中井貴一)。今は古美術獺の店主として京都で真面目に働いていたが、老舗骨董店嵐山堂二代目直矢(加藤雅也)のテレビ番組で店の信用に傷付けられる。そんな折、店を訪れた志野(広末涼子)に祖母が大事にしていた茶器の複製を頼まれる。見せられた写真から盗まれたという茶器は所在不明になっていた「古田織部のはたかけ」だと確信した小池は陶芸家でかつての相棒野田(佐々木蔵之介)に話を持ちかける。


前作、地味なのに面白かった。「まさか」の続編を心待ちにしていたのだが公開は2020年1月31日。コロナが嫌〜な感じで拡大してきた頃。どうしようと逡巡しているうちに終わっちゃったという。そんなだったので待ってましたのWOWOW放送。

再び彼らを巻き込むのは骨董界の闇。とんでもない額で取引される古美術。真偽のわかる人なんてひと握りしかいないのがカギ。「値打ち」にしか興味のない輩にとっては古の人々が遺した崇高な精神の象徴も札束にしか見えないのか。


骨董を愛する人々がそんな「輩」の悪企みを暴く異色シリーズ。口の立つ骨董商、腕は確かな陶芸家、筆跡模写の名人、紙や木工品の職人、メイキャップアーティスト…各方面のプロが再集結。本作ではテレビマンも加えての大掛かりな仕掛け。

面白いだけでもコンテンツとして成立。が、そのストーリーの中に練り込まれている、生きるのが下手な男の再生と陶芸家の矜持。これがあるから本作は続編ができるほど愛されているのだろう。陶芸家野田の佇まいが本作をキュッと絞める。


中井貴一・佐々木蔵之介のツートップ。わかっちゃいるけど確かな演技力。この2人が揃っていれば盤石。コメディアンとしての貴一さんは超一流。蔵之介さんのナチュラルな関西ことばも心地よく、本作の空気をつくっている。コレ案外重要。

友近森川葵前野朋哉木下ほうか坂田利夫宇野祥平ブレイク・クロフォードのチームの面々も続投。なかでも友近は賞レベルの活躍。広末は次(あるの?)以降も登場チャンス。山田裕貴が爽やか。雅也さんもこういう役ができるのは武器。


日本版「オーシャンズ」だよね(←前作レビューでも書いた)。特に骨董の茶器なんていかにも和風。織部なんてのも日本史ファンの心をくすぐる。話題作「百円の恋」、配信ドラマ「全裸監督」等々絶好調・武正晴のメガホンも前作同様の冴え。

中井貴一・佐々木蔵之介。日本映画界を背負う実力派でしっかりとコメディを作ればこんなに面白い。好評を受けての続編。「面白くて当前」のハードルはどんどん高くなるのだが、それでも次を期待してしまうわけで。


監督:武正晴/脚本:今井雅子/足立紳/音楽:富貴晴美
出演:中井貴一/佐々木蔵之介/広末涼子/友近/森川葵/山田裕貴/坂田利夫/前野朋哉/木下ほうか/宇野祥平/ブレイク・クロフォード/塚地武雅/吹越満/冨手麻妙/山田雅人/浜村淳/国広富之/竜雷太/加藤雅也


hiroでした。