WOWOW鑑賞

僕もあなたも旅の仲間
ロード・オブ・ザ・リング
/王の帰還

フロド(イライジャ・ウッド)とサム(ショーン・アスティン)がゴラム(アンディ・サーキス)と共に滅びの山へ向かっている頃、ローハンでオーク軍に勝利したガンダルフ(イアン・マッケラン)、アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)、ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス)、レゴラス(オーランド・ブルーム)はアイゼンガルドでサルマン(クリストファー・リー)を捕らえたメリー(ドミニク・モナハン)、ピピン(ビリー・ボイド)と合流。サウロンの次の標的がゴンドールの王都ミナスティリスだと知ったガンダルフは、ビビンを連れてローハンとの同盟のためにゴンドールの執政デネソール(ジョン・ノーブル)のもとへ向かう。


スペシャル・エクステンデッド・エディションの通し再見もついに最後。ラストは劇場公開版より50分増量の4時間30分。3作通算12時間に及ぶ長旅となった。スクリーン初見時も思ったけど、観てるこっちも結構な達成感。もう僕らも旅の仲間。

主人公はフロドからアラゴルン、そして最後はフロドに戻る。だが本作、サムももう一人の主人公。一作目の最後、フロド一人で旅立っていたら成功はなかったわけで。チームプレーに徹して自分の役割を果たしたサムにMVPを進呈したい。


合戦の舞台は王都ミナスティリス。執政に代わって人類最後の砦を守るガンダルフ。緒戦は互角の戦いもジリジリ劣勢に追い込まれるゴンドール。そこへローハンの騎馬兵が、アラゴルン率いるかつての王が。スクリーン体験必須。空前絶後の大スケール。

一方で指輪に魅せられていくフロド。執着であり所有欲。指輪は所有する者に代償を求める。指輪の求めるままに誠実さを捨て、信頼を捨て、友を捨てたフロドは、疲弊し、衰弱し、追い込まれる。その表情や一挙手一投足は本作の見せ場のひとつ。


エオメル役カール・アーバン、孤高の貴族ファラミア役デビッド・ウェナム…二人ともイケメン。特にアーバンは今も大作で活躍中。デネソールのノーブルはオーストラリアのベテラン俳優。物語の発端ビルボを演じたイアン・ホルムも最後に再登場。

最後はウッドで締める。勇猛な戦闘シーンはほぼなし。種族間の争いも反対派の説得もなく、ひたすら歩く。託された物の重さに全集中。憔悴した鬼の形相は「スターウォーズep3」のアナキンレベル。きつい仕事だったんだな、と思わずにいられない。


トールキンの「指輪物語」の刊行は66年前。戦争を跨いで執筆・刊行されている。軍事力で拡張する「新興国家との戦い」を冒険になぞるだけなら英雄伝でよい。ところが本作はチーム戦。今でこそスタンダードだが当時は革新的だったのではないか。

では、本作が欧州だけでなく、世界中の人々に愛され続けたのは何故か。弱き者=ホビットが争いを止め、世界に平和をもたらす。弱き者=庶民が抱いた希望こそがこのファンタジーを名作にし、半世紀を超えてなお語り継がれているのかと。

スペシャル・エクステンデッド・エディションの長い長い旅はこれにて終了。みなさんもお時間のある時にぜひ旅の仲間に。


監督・脚本・製作:ピーター・ジャクソン/脚本・製作:フラン・ウォルシュ/脚本:フィリッパ・ボウエン/原作:J.R.R.トールキン/音楽:ハワード・ショア
出演:イライジャ・ウッド/イアン・マッケラン/ヴィゴ・モーテンセン/ショーン・アスティン/ビリー・ボイド/ドミニク・モナハン/ジョン・リス=デイヴィス/ショーン・ビーン/オーランド・ブルーム/ケイト・ブランシェット/リヴ・タイラー/アンディ・サーキス/クリストファー・リー/ヒューゴ・ウィーヴィング/バーナード・ヒル/ミランダ・オットー/カール・アーバン/デビッド・ウェナム/ブラッド・ドゥーリフ/ジョン・ノーブル/イアン・ホルム


hiroでした。


スターウォーズep3 ←鬼の形相といえばこれ


二つの塔 ←前作ね


ホビット ←3部作の前日談も併せてどうぞ